「子どもの教育費が終わったあとに老後資金を貯める」ことは可能か? ~子育て家庭が陥りやすい家計管理の間違いとは

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「子どもの教育費が終わったあとに老後資金を貯める」ことは可能か? ~子育て家庭が陥りやすい家計管理の間違いとは
今の時代、子どもの教育費は多額です。教育費を支払い終わった後、自分たちの老後資金を貯めることができるのか、不安になるっている方も多いでしょう。この不安にFPがお答えします。
當舎緑

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

子育て中は周囲が見えないことが多い

令和8年度は、高校生向けの「授業料無償化」と大学生向けの「給付型奨学金」と」授業料減免」、さらに多子(子ども3人以上)の授業支援など、子ども向けの教育費支援が拡大しています。
 
ただ、普段からFPとして、家計相談を受けている筆者の実感としては、子育て世帯の家計が楽になっているとは実感できていないのが現状です。
 
「教育費がある期間は、何があっても教育費優先!」という考え方の親が多いために、保険の見直しがされていなかったり、老後資金の準備ができていなかったり、さらに夫婦どちらかの親の介護などが重なることも多く、日常生活があまりに忙しくなったりして、家計に問題があっても気づかないケースが多いようです。
 
この問題に気付かず、放置したままだと、親の老後資金が不足していると気づいたときには遅いのです。ぜひ、家計の見直しを考えたいものです。
 

教育資金が楽になるなら、その分は老後資金に回したい

子育て世帯で教育資金がかかるご家庭では、「教育資金が必要なくなってから老後資金を貯めよう」と思っているケースが多いかもしれませんが、老後資金の準備はすぐできるものではありません。仮に65歳から100歳までにかかる費用を「老後資金」と考えると、35年分です。老後資金の準備のキホンは公的年金です。
 
令和8年度の国民年金年金額は7万608円(40年の満額加入とした場合の月額)で、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準な年金額)は23万7279円ですが、この月額で35年が乗り切れるとは思えません。
 
この公的年金をもとに、例えば、この標準的な年金額では不足する額を10万円とすると、月に10万円を貯蓄から補填するということであれば、10万円×12ヶ月×35年=4200万円の準備が必要となるわけです。
 
子どもの教育費の支出が終わるのが50歳だと仮定しても、15年間でこの4200万円を準備ができるかというと、なかなか現実的に難しいといわざるを得ません。
 

教育費と老後資金を並行して準備するためにしておきたい3つのこと

食品をはじめ、さまざまな物価が上昇している現状の中、教育資金と老後資金を並行して準備することは、非常に困難なことです。普段家計簿をつけている方でも、家計簿の金額を見直すのが怖くなる方もいるでしょう。
 
ただ、ここで家計管理の見直しをすることで、老後の安心が手に入るのです。具体的には、以下の3つを進めていくことをお勧めします。
 

(1) 現状の把握

子どもの就学支援が拡大したことを前提として、具体的に、自分の家計でいくら支援され、何が不足するのか、「具体的な金額」を出してください。これまで所得制限のために、高校無償化の恩恵にあずかれなかったご家庭もあるでしょうが、この所得制限が撤廃されています。
 
ただし、この「無償化」の意味は、子どもにかかる費用がすべて無償になるという意味ではありません。児童手当、高等学校等就学支援金制度などの支援を、そのまま学校外の費用、例えば塾代や習い事、受験代など、他の費用に充てるのもいいのですが、その金額を具体的に洗い出してください。
 
不足する金額を計算するときには、その費用が、本当に必要なのか、金額は妥当かについても確認しましょう。特に、夫婦共働きであれば、その金額が妥当かどうかわからない「ブラックボックス」の部分があるケースは多いものです。親子でお金の話をオープンに話し合うことが現状の把握につながります。
 

(2) とりあえずの先取り貯蓄先を見つける

最近、「NISA貧乏」という言葉を聞くこともありますが、NISAはいつでも引き出せる口座ですから、数年後の教育費の準備に使えることもできます。
 
無理をして「貯める」ことが目的ではなく、できることから、例えば、〇年後の車の買い替え費用として、NISAで積み立てる、老後資金のために、iDeCoI口座で積み立てる、など、とりあえず目的ごとに貯蓄先を決めましょう。
 

(3) ライフプランをイメージする

子育てをしている現状では、将来は「子どもが独立してから考える」と漠然としたイメージしかない方もいるでしょう。ただ、どんなライフプランを描くかということは、老後資金として準備するべき金額に直結します。
 
今住んでいる自宅はいつまで住むのか、住むのであれば何年後にリフォームするのか、引っ越すのであれば、どんな地域に引っ越すのか、老後は自宅ではなく施設に住むのかなど、選択肢によって予算も変わります。
 
子育て中に、住宅ローンを返済中というご家庭もあるでしょうが、そのローンが変動金利であれば、負担増も予想されます。子どもが大きくなるにつれて、必要補償額も変わりますので、保険の見直しをすることで、固定費の減額も可能となります。子育て中の家計管理をしっかりすることは、将来の安心につながるのです。
 
執筆者 : 當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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