「もったいない」が貯金を増やす? 食費のムダを卒業する、今日からできる食品ロス対策の基本
雨の日は買い物に行くのが面倒になり、休日に食材をまとめて購入したり、予定外のデリバリーや総菜に頼ったりすることも増えがちです。しかし、せっかく安く買った食材も、食べ切れずに捨ててしまえば、節約にはなりません。
日本では、令和5年度に年間約464万トンの食品ロスが発生し、そのうち約233万トンは家庭から出たものと推計されています。国民1人当たりに換算すると、年間約37キログラムです。
食品ロスというと環境問題として捉えられることが多いですが、家計の面から見れば、購入した食品と一緒にお金も捨てていることになります。
この記事では、食品ロスによる家計への影響と、買い物や冷蔵庫の管理でできる対策について紹介します。
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士
新卒で警察官としてキャリアをスタート。その後、都内税理士法人で勤務し、多くの企業の経理業務を手がけた経験を活かして独立しました。現在は、「会社のお金」と「家庭のお金」をワンストップで相談できるパートナーとして活動しています。
小学生の子どもを育てるママでもあり、ライフプラン作成やキャッシュフロー分析など、個人やご家庭向けの具体的で実用的なアドバイスを提供しています。
企業経理相談や経営分析にも精通しており、これまでの経験を基に、経営者が抱えるお金の悩みに幅広く対応。さらに、執筆やセミナー活動も行い、「知って得するお金の知識」を届けています。お金の管理や経営に関するお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
食品ロスは家計にどれくらい影響する?
「食品ロスで月に数千円を失っている」といわれても、あまり実感が湧かない方も多いでしょう。実際には、高価な食品を一度に捨てているのではなく、数百円程度の食品を少しずつ捨てることが重なり、まとまった金額になっていきます。
例えば、週末に冷蔵庫を整理したとき、次のような食品が見つかったとします。
・使い切れずに傷んだ野菜や果物 約300円分
・期限を過ぎた肉や総菜 約500円分
・食べ切れずに残した料理や弁当 約250円分
・開封後に使わなくなった食品や調味料 約200円分
合計すると、1週間で約1250円です。これが4週間続けば約5000円、年間では約6万円です。
実際の金額は、食材の価格や家族の人数によって異なります。しかし、一つひとつは数百円程度でも、繰り返せば家計にとって無視できない支出です。
食費を節約するというと、安い店や特売品を探すことに目が向きがちです。しかし、購入価格を抑えるだけでなく、買った食品をどれだけ食べ切れたかという視点も欠かせません。
食品ロスが起きる原因
食品ロスは、食べ物を粗末にしているから発生するわけではありません。日々の買い物や生活の中に、食材を使い切れなくなる原因が隠れています。
1.使い切れる量よりも多く買っている
特売品や大容量の商品を見ると、「安いうちに買っておこう」と考えがちです。しかし、使い切れなければ節約にはなりません。価格だけでなく、期限内に使い切れる量かどうかを考えましょう。
2.冷蔵庫の中身を把握できていない
冷蔵庫の奥に入れた食品は、存在を忘れてしまうことも。まだ家にある食品をもう一度買ったり、賞味期限が近い食品に気づかなかったりすると、二重買いや期限切れにつながります。
3.予定の変更に対応できていない
食材を購入した後に、残業や外食、家族の予定変更が入ることもあります。
予定していた日に料理ができなくても、そのまま冷蔵庫に置いておけば、食材は少しずつ傷んでいきます。食品ロスを減らすには、買い物の仕方だけでなく、購入後の管理まで考えることがポイントです。
今日からできる3つの対策
食品ロス対策のために、まずは次の3つから始めてみましょう。
1.買い物前に冷蔵庫を撮影する
買い物へ行く前に、冷蔵庫や野菜室の中をスマホで撮影しておきます。
店頭で「冷蔵庫に何が残っていたかな」と迷ったときも、写真を見れば確認できます。すでにある食品の二重買いや、必要以上の買い足しを防ぎやすくなります。
2.早めに使う食品の置き場所を決める
賞味期限が近いものや、使いかけの野菜などは、冷蔵庫の中で置き場所を決めておきましょう。透明な容器やカゴにまとめておけば、冷蔵庫の奥に入ったまま忘れてしまうことを防げます。その中にある食品から優先して使いましょう。
3.週に一度、冷蔵庫の食材を使い切る日をつくる
週に一度は、新しい食材を買い足す前に、冷蔵庫や食品庫にあるものを確認して、できる限り使い切ってみましょう。
余った野菜はスープや炒め物に、少量の肉や魚は丼やチャーハンに使うなど、残っている食品から献立を考えます。
ただし、食品ロスを減らすために、傷んだ食品を無理に食べる必要はありません。特に気温や湿度が高い時期は、食品の状態を確認し、安全を優先しましょう。
おわりに
節約というと、安い商品を選んだり、買う量を減らしたりすることを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、今あるものを無駄なく使い切ることも、家計を守る方法の一つです。
食品ロスを減らせば、食費の無駄だけでなく、廃棄される食品やゴミも減らせます。「これ以上、節約するのは難しい」と感じている方も、まずは冷蔵庫の中を確認し、買った食品を使い切ることから始めてみてはいかがでしょうか。
1回あたりの金額は小さくても、積み重なれば、将来の自分や家族のために残せるお金になります。食品ロス対策を、無理なく貯金につなげる取り組みの一つとして、ぜひ生活に取り入れてみてください。
出典
環境省 我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和5年度)の公表について
執筆者 : 富澤佳代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士

