夫が「定年退職」したら、これまで「扶養内・年収120万円」で働いてた妻の“社会保険”はどうなりますか? 今後は「年収の壁」を気にせず働くべきでしょうか? 定年後の“社会保険制度の変化”を確認
「これからも扶養内で働くべきか、それとも勤務時間を増やしてしっかり働くべきか」と悩む人は少なくありません。実は、夫が定年退職を迎えると、それまで前提となっていた「扶養」や「年収の壁」の考え方が大きく変わる可能性があります。
本記事では、定年退職後の社会保険制度の変化と、今後の家計を支えるための働き方の選択肢を解説します。
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目次
夫の退職によって変わる「扶養」の仕組み
会社員である夫の健康保険に扶養家族として加入し、年金では第3号被保険者となっている期間は、妻自身が健康保険料や国民年金保険料を直接負担する必要はありません。
しかし、定年退職して会社を離れた夫は、これまで加入していた健康保険を任意継続する場合や再就職する場合を除き、多くは国民健康保険や国民年金(第1号被保険者)に切り替えることになります。
ここで重要なのは、国民健康保険には会社員の健康保険のような「扶養」という制度がないことです。つまり、夫が国民健康保険へ加入すると、妻も同じ国民健康保険へ加入することになりますが、「扶養されているから保険料がかからない」といった仕組みはなくなります。
新たな保険料負担と「年収の壁」の考え方
扶養制度がなくなると、妻も国民健康保険の加入者となります。国民健康保険料は世帯全体の所得や加入者数などを基に計算されるため、夫婦で加入すれば、その分の保険料負担が必要です。
また、妻が60歳未満であれば、原則として国民年金の第1号被保険者となり、国民年金保険料として1ヶ月あたり1万7920円(2026年度定額保険料)を自身で納める必要があります。
これまで妻が年収120万円程度に抑えていたのは、「130万円の壁」を超えると夫の扶養から外れ、自分で社会保険料を負担しなければならないためでした。
しかし、夫が退職して扶養制度そのものがなくなると、年収を120万円に抑えていても国民健康保険料と国民年金保険料負担が発生します。そのため、以前のように「年収の壁」を意識して働くメリットは小さくなると考えられます。
自ら勤務先の社会保険に加入するという選択肢
国民健康保険料と国民年金保険料負担が発生する状況では、妻自身が勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できる働き方へ切り替えることも、有力な選択肢です。
パートやアルバイトであっても、勤務先の規模や週の労働時間が20時間以上、賃金が月額8万8000円以上など一定の加入要件を満たせば、健康保険・厚生年金へ加入できます。
勤務先の社会保険へ加入すれば、保険料は会社と本人で折半して負担するため、保険料を全額自己負担する国民健康保険や国民年金より有利になるケースが少なくありません。
さらに、年収を気にして勤務時間を抑える必要がなくなるため、働いた分だけ世帯収入を増やしやすくなり、「働いたのに手取りが増えない」といった不満を軽減できます。
将来の年金額アップと手厚い保障も魅力
勤務先で厚生年金に加入する大きなメリットは、将来受け取る老齢年金が増えることです。老後の基礎年金に加えて、加入期間や給与額に応じた老齢厚生年金が上乗せされるため、長く働くほど将来の年金受給額は増えていきます。
また、会社の健康保険には、病気やけがで長期間仕事を休んだ際に給与の約3分の2相当が支給される「傷病手当金」など、国民健康保険には原則としてない保障が用意されています。
こうした保障を受けられる点も、勤務先の社会保険へ加入する大きなメリットです。
定年後は「年収の壁」より世帯収入全体で考えることが大切
夫の定年退職は、妻の働き方を見直す大きな転機になります。
夫が会社員時代の健康保険を離れ、国民健康保険へ加入すると、「扶養」という考え方がなくなります。そのため、妻がこれまでどおり年収120万円程度に抑えて働いていても、以前のような扶養のメリットは受けられません。
これからの老後資金をより充実させるためには、年収の壁だけにとらわれるのではなく、勤務先の社会保険へ加入できる働き方も含めた検討が重要です。
収入を増やしながら厚生年金を積み立て、将来の年金額を増やすとともに、健康保険の手厚い保障も活用することは、定年後の家計を安定させる有効な選択肢となるでしょう。
出典
全国健康保険協会 任意継続
厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について
日本年金機構 国民年金保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

