派遣で月収「30万円」の娘は、「正社員より残業が少なくて働きやすい」と言います。今の収入が高くても、“生涯賃金”では正社員とどれくらい差がつくのでしょうか?
ただし、将来も同じ月収が続くとは限りません。正社員は年齢とともに賃金や賞与が増える傾向があり、長く働くほど収入差が広がる可能性があります。本記事では、統計データを基に、20歳から64歳までの収入を試算します。
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目次
月収30万円の派遣社員は同年代の平均より高収入の場合がある
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、正社員・正職員以外の月額賃金(きまって支給する現金給与額)は、男女計で20~24歳が22万5500円、25~29歳が25万4700円、30~34歳が25万6900円です。月収30万円の娘さんは、少なくともこれらの年齢層の平均を上回っている可能性があります。
派遣社員は、担当する仕事内容や勤務時間が契約で決まっていることが多く、残業を抑えやすい点が特徴です。また、勤務地や職種などの希望に合わせて仕事を選びやすい面もあります。正社員より責任の範囲が限られ、仕事と私生活を両立しやすいと感じる人もいるでしょう。
一方、派遣社員は契約更新が必要で、同じ勤務先で長期間働けるとは限りません。賞与や昇給も勤務先や契約内容によって異なります。現在の月収だけでなく、今後も安定して同じ収入を得られるかを確認することが大切です。
20歳から64歳まで働くと正社員との収入差は9600万円ほどとなる可能性
今回は、前述の厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の年齢階級別データを使います。各年齢階級の収入が5年間続くと仮定し、20歳から64歳までの45年間について、次の式で試算しました。
・年間収入=きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額
その結果、正社員・正職員の累計収入は約2億5861万円となりました。一方、月収30万円が45年間続き、賞与がないと仮定した場合は1億6200万円です。差は約9661万円になります。
また、統計上の正社員・正職員以外の年齢別賃金と賞与を使うと、累計収入は約1億4476万円です。正社員との差は約1億1385万円となります。
正社員の生涯賃金が大きくなる主な理由は、勤続年数や年齢に応じて賃金が上昇し、賞与も増える傾向があるためです。例えば、正社員・正職員の年間収入は20~24歳で約372万円ですが、55~59歳では約698万円です。一方、正社員・正職員以外は、20~24歳で約276万円、55~59歳でも約314万円にとどまります。
ただし、「正社員・正職員以外」には派遣社員だけでなく、契約社員やパートなども含まれます。そのため、この結果がすべての派遣社員にそのまま当てはまるわけではありません。また、退職金や福利厚生、転職による収入変化も試算に含めていません。今回の数字は、現在の統計上の平均が将来も続くと仮定した目安です。
派遣の働きやすさを生かしながら将来の収入を増やす方法
生涯賃金の差が大きいからといって、すぐに正社員へ転職すべきとは限りません。本人が今の働き方に満足しているなら、その利点を残しつつ収入を高める方法を考えるのが現実的です。
例えば、専門性の高い仕事を選び、時給を上げる方法があります。経理、IT、貿易事務など、経験や資格が評価されやすい分野なら、派遣でも収入を伸ばせる可能性があります。また、派遣会社の研修を利用し、実務で使える技能を身につけるのも有効です。
安定性を重視するなら、紹介予定派遣や無期雇用派遣も選択肢です。紹介予定派遣は、一定期間派遣社員として働いた後、本人と企業が合意すれば直接雇用に移る仕組みです。無期雇用派遣は、派遣会社と期間を定めずに雇用契約を結ぶ働き方で、一般的な登録型派遣より雇用が安定しやすい特徴があります。
さらに、月収30万円のうち一定額を貯蓄や資産形成に回すことも重要です。派遣社員は賞与や退職金が少ない場合があるため、収入が高い時期から将来に備えておくと安心です。
まとめ:生涯賃金だけでなく希望する働き方も含めて考えよう
今回の試算では、20歳から64歳まで月収30万円、賞与なしで働いた場合の累計収入は1億6200万円となり、正社員・正職員の平均データを基に算出した約2億5861万円とは9600万円ほどの差が生じました。
ただし、生涯賃金が高い働き方が、必ずしも本人にとって最適とは限りません。残業の少なさや仕事の選びやすさを重視するなら、派遣社員を続けることも合理的です。その場合は、技能を高めて単価を上げる、無期雇用や直接雇用を検討する、早めに資産形成を始めるといった対策が役立ちます。
今の働きやすさを大切にしながら、5年後や10年後の収入と希望する生活を定期的に確認することが、納得できる働き方につながるでしょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 雇用形態別 表番号1 雇用形態、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 正社員・正職員計、正社員・正職員以外計
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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