妻は“年収103万円”に収めるため「時給1100円×月70時間」でパート中。子育てが落ち着いたので“扶養”を外れてほしいですが、いくら稼げば「損にならない」でしょうか?
ただし、子育てが落ち着いているのであれば、扶養を外れて働いたほうが世帯収入を増やせて、老後に向けての資産形成が有利になるケースもあります。本記事では、扶養を外れるならどのくらい稼げば損にならないのかなどを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
年収の壁とは?
「扶養内でアルバイト・パートをするなら103万円まで」と考えている人もいるでしょう。
しかし、かつて103万円はいわゆる年収の壁の1つとされていましたが、この壁は2025年の税制改正で103万円から160万円に引上げられています。この壁以外にも、実際にはいくつかの壁が存在します。主な年収の壁は、次のとおりです。
・103万円:所得税が発生するとされていた(現在は160万円に引上げ)
・106万円:一定の要件をみたすと扶養から外れる(2026年10月に撤廃予定)
・130万円:扶養から外れる
・150万円:配偶者特別控除が段階的に減額
・160万円:所得税が発生
実際には、年収106万円を越えた時点から扶養を外れる可能性があります。学生でない人が従業員50人超の企業に、週20時間以上勤務する場合は扶養から外れ、社会保険料の支払いが発生します。
そのため、大手企業でアルバイト・パートをしている人は、扶養から外れやすくなるでしょう。
どのくらい稼げば扶養を外れても損にならない?
「子育て中は忙しいから扶養内」と考えて働いていたものの、子どもが中学生や高校生になると、時間に余裕が出てくる人もいるでしょう。「扶養を外れて働くとしたら、どのくらい稼げばよい?」という疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
一般的に手取りが減らないようにするためには、年収150万~170万円以上稼ぐ必要があるとされています。時給1100円で働いていたとしたら、月114~129時間働く計算です。1週間に換算すると28~32時間働く計算になるため、十分現実的な働き方でしょう。
扶養を外れるメリット
扶養を外れると、社会保険料や税金の負担が発生しますが、収入額によっては世帯年収を増やせて教育費や老後資金を貯められます。収入が増えれば、NISAで資産形成がしやすくなり、老後資金の心配も減らせるでしょう。
また、扶養を外れると、将来受け取る年金が増える可能性があるのもメリットです。勤務先の社会保険に加入すると、傷病手当金や障害年金など、利用できる保障が充実するのも魅力でしょう。
一概に「扶養を外れて働いたほうがよい」とはいえませんが、「ずっと扶養内で稼ぐ」とかたくなになってしまうのは、かえって損をする可能性があります。
子育てが落ち着いた、時間に余裕ができたなどの場合は、「扶養から外れて働く」というのも選択肢に入れて、検討してみてもよいのではないでしょうか。
扶養を外れる前に確認したいこと
「扶養から外れる」メリットを解説しましたが、事前に確認しておきたいことがあります。配偶者の勤務先によっては、扶養から外れることで家族手当が支給されなくなる可能性があります。
また、勤務時間が増えれば、家事や趣味などとのバランスも変化するため、ストレスが増えるケースもあるでしょう。
扶養内で働いている世帯収入で、十分に教育費や老後資金を用意できるのに、「もっと稼がなくては……」となってしまい、家庭内の雰囲気が悪くなるのは避けなければなりません。
本当に扶養を外れて働く必要があるのか、勤務時間を多くしても家庭に支障が出ないのかなどを慎重に考慮する必要があるでしょう。メリットとデメリットを比較して、稼ぐほうがよいと判断すれば、扶養から外れるのも選択肢です。
まとめ
アルバイトやパートで、年収106万円を超えると配偶者の扶養から外れる可能性があります。一般的にパートナーの扶養から外れるなら、150万~170万円以上稼がなければならないとされています。
自分で勤務先の社会保険に加入するのは、費用がかかりますが、デメリットばかりではありません。税金や社会保険料が増えても世帯収入が増えるのであれば、無理のない範囲で勤務時間を増やしてみるのもよいでしょう。
執筆者 : 藤岡豊
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

