「出張の移動が勤務時間にならないの納得いかない」SNS投稿に「土日つぶれる」「本当に理不尽」など共感多数! 仕事のために“拘束されてる”のに、なぜ労働時間にならないの?「法律の理不尽」を緩和する仕組み

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「出張の移動が勤務時間にならないの納得いかない」SNS投稿に「土日つぶれる」「本当に理不尽」など共感多数! 仕事のために“拘束されてる”のに、なぜ労働時間にならないの?「法律の理不尽」を緩和する仕組み
出張の多いビジネスパーソンにとって、移動にかかる時間は心身ともに大きな負担になりがちですが、「移動時間は労働時間に含まれないから、残業代は出ない」という会社のルールに、モヤモヤした経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
 
なぜ、仕事のために移動しているのに、「勤務」とはみなされないのでしょうか。今回は、このようなルールの背景にある「法律上の理由」と、会社が行っている「手当」について解説します。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

「移動時間は勤務としてみなされないのは理不尽」SNS投稿に共感多数

最近、SNSのX(旧Twitter)に、現在はアメリカ在住と思われる日本人が投稿した、
 
「日本企業にいたとき、『出張の移動時間は勤務とみなさない』という日本の法律はどうしても納得できなかった。」
 
という趣旨の文章が大きな話題となりました。同様の思いを持つビジネスマンと思われる人から、
 
「土日が前泊の移動でつぶれるのにタダ働き同然なのはおかしい」
「移動中は休めないのに給料が出ないのは本当に理不尽」
 
といった、共感の声が数多く寄せられました。
 
会社員からすれば、「会社の命令で、会社のために新幹線や飛行機に乗っているのだから、当然それは『労働時間』だろう」と思うのは自然でしょう。しかし、少なくとも日本の法律の解釈は異なっています。
 

どこからどこまでが「労働時間」といえるのか? 最高裁で争われたことがある

日本の労働基準法では、出張先への往復の移動時間は、原則として「労働時間には該当しない」とされています。その根拠となったのが過去の最高裁判決(三菱重工長崎造船所事件・平成12年)で、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であると明確に定義されました。
 
この判決では、造船所で働く作業員が雇用主により義務付けられている、以下のような作業については「労働時間」であると定義されています。
 

・所定更衣室への移動、更衣室での作業服・保護具の装着および脱衣
・業務に必要な工具や保護具の受出し、始業前の散水
・始業前の準備体操や朝礼(参加が実質的に義務付けられている場合)
・業務上必要な資材の積み込みや移動時間

 
逆に、出張における移動時間においては、雇用主から明確に何らかの作業を指示されているのでなければ、基本的には「労働者にとっての自由時間」ととらえられ、「労働時間」の対象外となります。
 
通常の通勤にかかる移動時間と、出張における移動時間については同様のあつかいとなり、
 
「通勤における移動時間は、電車や車などから降りて自由に行動できないものの、到着までは車内で何をしていようとも問題なく、従業員にとって自由な時間である」
 
というように解釈され、移動時間は労働時間であるとは認められていません。
 

出張日当や代休の仕組みは、「法律の理不尽」を緩和している

とはいえ、現場の実態としては「出張の移動時間による事実上の拘束」は労働者の大きな負担となっています。そこで、多くの企業では社内の就業規則に「片道◯キロメートル以上の移動がある出張には、1日あたり◯円の手当(出張日当)を支給する」というようなルールを設けています。
 
この日当は、「給与」ではなく、「会社経費」として扱われるために、所得税などが引かれない非課税のお金として、労働者の収入となることはメリットです。
 
また、出張のために日曜日から前泊で時間を拘束されたなどの場合は、法律上の義務はなくても代休を付与する企業もあります。
 
最高裁の判例や法律では「出張中の移動時間は、労働時間にならない」とされているとしても、それをカバーするようなルールが日本企業に作られているということは、雇用主である企業側も「日本の法律の理不尽さ」を意識しているのかもしれません。
 

まとめ

出張中の移動時間は、法律上「労働者が自由に過ごせる時間」であり、労働時間ではないと解釈されるため、残業代や休日手当の対象になりません。SNSで多くの人が「理不尽だ」と嘆く気持ちはわかりますが、現行の法律がそのように運用されている以上、正面から状況を変えていくのは難しいといえるでしょう。
 
しかし、実際はその不利益をカバーするように、会社の就業規則や出張旅費規程において「出張手当」や「代休制度」が定められている企業も多いです。
 
労働者としては、法律の改正や解釈変更を求めるよりも、自分の所属する企業の就業規則を改めるように求めるほうが、労働環境を改善するための近道かもしれません。
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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