30歳の息子は派遣社員で「時給2200円」。正社員の友人より手取りが多いそうで、「一生派遣でいい」と言っています。生涯年収や退職金を考えても、本当にこのままで大丈夫なのでしょうか?
特に30歳前後では、毎月の手取り額を比べた結果、「このまま派遣社員を続けても問題ないのでは」と考えることもあるでしょう。
本記事では、時給2200円で働く派遣社員の収入をもとに、正社員との生涯年収や退職金の違い、将来に向けて考えておきたいポイントについて解説します。
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時給2200円の派遣社員と正社員の収入差
時給2200円で1日8時間、月20日働く場合、月収は額面で約35万2000円です。年間を通じて同じ条件で働けば、年収は約422万円になります。
ここに残業代や交通費が加われば、さらに収入が増える可能性もあります。特に30歳前後では、時給水準や残業時間によっては、同年代の正社員より手取りが多くなるケースも珍しくありません。
厚生労働省の「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」によると、30~34歳男性の所定内給与額は、正社員・正職員が月33万7000円、正社員・正職員以外が月24万7900円でした。時給2200円で安定して働けている人は、非正規雇用の平均を大きく上回り、正社員の平均と比べても高い水準と考えられます。
ただし、時給から計算した月収は、祝日や休業日が多い月には減り、月収も下がる可能性があります。また、賞与が支給されない場合、毎月の手取りが正社員を上回っていても、年間収入では逆転することがあります。
そのため、実際にどちらの年収が高いかは、派遣社員の勤務日数や、正社員に支給される賞与の金額まで含めて比較する必要があります。
年齢が上がるほど正社員との収入差が広がるのか?
現在の時給が高くても、同じ条件が定年まで続くとはかぎりません。正社員は勤続年数や役職に応じて賃金が上がる傾向がある一方で、派遣社員は業務内容が変わらなければ時給が大きく上がらないこともあります。
「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」によると、男性正社員の所定内給与額は30~34歳で月33万7000円、45~49歳で42万9700円、55~59歳で46万700円でした。
これに対し、正社員以外では30~34歳が24万7900円、45~49歳が26万2800円、55~59歳が26万2000円です。この平均値を見ると、年齢が上がるにつれて両者の差が広がっていることが分かります。
仮に時給2200円のまま30~60歳まで働くと、単純計算の収入は約1億2672万円です。ただし、これは30年間、一度も仕事が途切れず、毎月160時間働けた場合の金額です。
一方、正社員の生涯賃金は企業規模や学歴によって大きく異なります。労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2025」によると、大学卒男性が60歳までフルタイムの正社員を続けた場合、退職金を除く生涯賃金は約2億6280万円です。学校卒業後からの合計なので単純比較はできませんが、長期的な昇給の影響が大きいことは分かります。
派遣を続ける前に確認したい将来への備え
派遣社員だからといって、退職金が必ずないとはかぎりません。派遣会社によっては、退職金制度への加入や、退職金相当額を賃金に上乗せする仕組みを設けています。まずは雇用契約書や就業規則を確認し、現在の時給に退職金相当額が含まれているかを調べましょう。
参考として、「ユースフル労働統計2025」では、大学卒の正社員が60歳で受け取る退職金を約1840万円と推計しています。もちろん、すべての正社員がこの金額を受け取れるわけではありませんが、老後資金に与える影響は小さくありません。
派遣を続ける場合は、退職金が少ない分を自分で準備する必要があります。例えば、毎月3万円を30年間積み立てると、元本だけで1080万円になります。ただし、備えるべき資金は、老後資金だけではありません。
契約終了後に次の派遣先がすぐ決まらず、一時的に収入が途絶える可能性もあるため、生活防衛資金として生活費の6ヶ月分程度を預貯金で確保しておくと安心です。あわせて、資格取得や実務経験を通じて、別の職場でも同程度の時給を得られる状態を目指しましょう。
派遣を続けるかは将来の収入まで考えて判断しよう
時給2200円で安定して働けている場合は、現時点で無理に正社員へ転職する必要があるとはかぎりません。ただし、「今の手取りが多い」という理由だけで、一生派遣でも大丈夫と判断するのは早いでしょう。
重要なのは、今後も時給を維持または上げられるスキルがあるか、退職金に代わる資産形成ができるか、契約終了に備えた貯蓄があるかという点です。
これらを準備できれば、派遣という働き方を続けながら、将来の不安を抑えることは可能です。正社員になるかどうかではなく、10年後や20年後にも収入を確保できる計画があるかを基準に考えましょう。
出典
厚生労働省 令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2025 -労働統計加工指標集- 21 生涯賃金など生涯に関する指標
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

