妻が扶養内でパートをしています。最低賃金の引き上げで時給は上がりそうですが、「年収の壁」を超えないためには働く時間を少なくしたほうがよいのでしょうか?
ただし、年収の壁には税金や社会保険など複数の基準があり、勤務先の条件によっても影響は異なります。本記事では、最低賃金の引き上げで年収が増える場合に確認したい年収の壁と、働く時間を決める際の考え方について解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
最低賃金の引き上げが収入に与える影響
時給が上がれば、勤務日数や勤務時間を変えなくても年収は増加します。例えば、時給1100円で週20時間働く場合、単純計算した年収は約114万円です。時給が1200円に上がると、同じ週20時間でも年収は約125万円になります。
扶養内に収めるための勤務時間を計算するときは、「希望する年収÷時給÷52週」が目安になります。
仮に年収を130万円未満に抑えたい場合、時給1200円なら週約20.8時間が上限です。ただし、実際の給与には残業代や各種手当が加わることもあります。年収ぎりぎりまで働くと、想定外の残業によって基準を超える可能性があるため、余裕を持った勤務計画が必要です。
なお、2026年度の地域別最低賃金については、厚生労働省が全国加重平均1176円となる目安を示しています。ただし、最終的な金額は各都道府県の審議を経て決まります。
扶養内で働くときに押さえておきたい年収の壁
扶養内で働くときは、税金と社会保険を分けて考えましょう。所得税の配偶者控除は、2026年分の場合、妻の収入が給与のみであれば、年収136万円以下であることなどが条件です。
ただし、136万円を超えた瞬間に夫の控除がなくなるわけではありません。一定の条件を満たせば配偶者特別控除が適用され、妻の所得に応じて控除額が段階的に減っていきます。
一方、手取りへの影響が大きくなりやすいのが社会保険です。2026年9月までは、従業員数51人以上の勤務先で、週20時間以上、月額賃金8万8000円以上などの条件を満たすと、原則として勤務先の健康保険と厚生年金に加入します。
ただし、2026年10月には月額8万8000円以上という賃金要件が撤廃される予定です。そのため、以降は対象となる勤務先で週20時間以上働くかどうかが、社会保険への加入を判断するうえで、これまで以上に重要となります。
また、勤務先の社会保険に加入しない人でも、年間収入が原則130万円以上になると、夫の社会保険の扶養から外れる可能性があります。扶養を外れた場合は、自分で健康保険料や年金保険料を負担することになるため、手取り額が減る点に注意が必要です。
勤務時間の調整前に確認するポイント
年収の壁を超えそうだからといって、すぐに勤務時間を減らす必要はありません。まず、妻の勤務先が社会保険の適用対象か確認しましょう。
その際は、会社の従業員数だけでなく、雇用契約上の週の所定労働時間も確認する必要があります。社会保険への加入条件を判断するときは、実際のシフト時間ではなく、雇用契約書や労働条件通知書に記載された時間が基準になる場合があるためです。
扶養を維持したい場合は、年収だけでなく週の所定労働時間を20時間未満にする必要があるケースもあります。一方、今後も時給の上昇に合わせて勤務時間を減らすことになる場合は、社会保険に加入したうえで、働く時間を増やす選択肢も検討するとよいでしょう。
なお、前述のとおり、2026年10月以降は賃金要件が撤廃される予定ですが、企業規模要件は段階的に縮小されるため、勤務先が対象となる時期も確認が必要です。
社会保険料の負担が始まると、一時的に手取りの伸びが小さくなる場合があります。ただし、厚生年金に加入すれば将来受け取る年金額が増えるほか、病気やけがで働けないときに傷病手当金を受け取れる可能性があります。
また、世帯の手取りを考える際は、夫の会社から配偶者手当や家族手当も確認しておきましょう。これらの手当は、税金や社会保険とは別に収入基準が設けられている場合があり、例えば「配偶者の年収130万円未満」といった条件を定めている企業もあります。
年収だけでなく勤務先の条件を確認して働き方を決めよう
妻の時給が最低賃金の引き上げによって上がっても、必ず勤務時間を減らす必要はありません。税金の負担は段階的に増えるため、年収の壁を少し超えただけで手取りが大幅に減るとはかぎらないからです。
働き方を見直す際は、妻の勤務先の従業員数や週の所定労働時間、年間の見込み収入を確認することが大切です。夫の会社に配偶者手当がある場合は、その支給条件にも目を向けてください。
そのうえで、扶養内で働く場合と社会保険に加入して働く場合の手取りを比較し、家計や今後の働き方に合う働き方を選びましょう。
出典
厚生労働省 令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について
国税庁 No.1191 配偶者控除
財務省 令和8年度税制改正の大綱
公益財団法人生命保険文化センター 生活基盤の安定を図る生活設計 配偶者控除・配偶者特別控除は年収いくらまで受けられる?
厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

