友人の会社は「夏季休暇5日」で“9連休”なのに、私は「夏季休暇の代わりに有休5日消化」です…有休が減る分“7万5000円の損”ですが、有休を夏休みに充てるのは問題になりませんか?
この場合、有休が減った分だけ損をしているのでは、と感じる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、夏季休暇と有休の違いを整理したうえで、有休5日をお金に置き換えるといくらになるのかを計算式で確かめます。あわせて、夏休み以外に使える日数がどれだけ変わるのかも見ていきます。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
目次
夏季休暇は法律で決まった休みではない
まず押さえておきたいのが、夏季休暇には法律の裏づけがないという点です。労働基準法には年次有給休暇が定められていますが、お盆に休ませなさいという決まりはありません。
つまり、夏季休暇は会社が独自に設ける休みです。あるかないかは就業規則しだいで、日数も会社ごとに違います。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、夏季休暇や病気休暇といった特別休暇の制度がある企業は60.3%です。そのうち、「夏季休暇」があるのは41.5%でした。夏季休暇のある会社は、4割ほどにとどまるということです。
有休5日をお金に置き換えると
では、使った有休5日には、どれだけの価値があるのでしょうか。月給30万円、年間の所定労働日数を240日として計算します。
30万円×12ヶ月÷240日=1万5000円
1日あたり1万5000円です。5日分なら次のようになります。
1万5000円×5日=7万5000円
7万5000円分の休む権利を使った計算になります。ただし、この金額が手元から出ていったわけではありません。有休を使っても給料は減らないため、実際に減ったのは有休の残り日数です。
損をしたと感じるのは、同じ日数を休むのに、一方は権利を使い、もう一方は使わずに済んでいるからでしょう。
夏休み以外に使える有休は1年、5年、10年でどれだけ変わるか
とはいえ、夏休みで5日分の有休を消化すると、急な体調不良や用事で使いたいときに有休が残っていないこともあります。毎年夏休みとして5日分の有休を使った場合、夏季休暇のある会社との差は次のとおりです。
・1年:5日(1万5000円×5日=7万5000円)
・5年:25日(1万5000円×25日=37万5000円)
・10年:50日(1万5000円×50日=75万円)
ただし、この日数がそのまま積み上がるわけではありません。
有休の請求権は2年で時効になるため、使わなかった分は翌年度までしか繰り越せません。50日が貯金のように残るのではなく、毎年5日ずつ枠が細ると考えるのが実態に近いでしょう。
夏季休暇として有休を消化させることに問題はないのか
夏季休暇に有休を使うかどうかは個人の自由ですが、会社が夏休みとして有休を充てることはよいのでしょうか。
厚生労働省の資料には、有休の計画的付与制度があり、労使協定を結べば取得日を定めて有休を与えられるとされています。夏季や年末年始と組み合わせて大型連休にする例も挙げられています。
ただし、同資料には、労働者が自ら請求・取得できる有休を最低5日残す必要があるとの条件も付いています。有休の全部の時期を会社が決めるわけではありません。
・労使協定がある:夏季休暇として有休を充てても問題ない
・労使協定がない:会社が一方的に有休を充てることはできない
なお、計画的付与で取得した有休は、2019年4月から義務づけられた「年5日の確実な取得」にも数えられます。独自に設けた夏季休暇はこの5日に含まれません。
まとめ
夏季休暇は法律上の休みではなく、制度がある会社は4割ほどです。有休5日を月給30万円で換算すると7万5000円分になりますが、給料が減るわけではなく、減るのは残り日数になります。
気にすべきなのは、夏季休暇として有休を5日使うことで、夏休み以外に使える枠が毎年5日ずつ細ることです。
会社が有休を夏休みに充てるには労使協定が必要で、最低5日は自分で使える分が残ります。就業規則を確かめ、残りをいつ使うか先に決めておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和7(2025)年就労条件総合調査の概況
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

