「新電力=電気代が安い」と思い“乗り換え”をして後悔…請求額はまさかの「3万円」!? 普通に使っただけなのに高すぎませんか?「市場連動型プラン」の落とし穴
原因の1つとして考えられるのが、「市場連動型プラン」です。安いときは確かに安くなりますが、夏はしくみ上、負担が重くなりやすい面があります。
本記事では、その仕組みと夏に高くなりやすい理由を整理し、自分の契約を確かめる方法まで見ていきましょう。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
市場連動型プランはどんな仕組み?
電気は、発電した会社と小売の会社の間で売り買いされています。その取引の場が、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)が運営する卸電力市場です。
市場連動型プランは、この市場の価格に合わせて電気の単価が動くプランです。市場が安いときは単価が下がるため、大手電力より安くなることがあります。半面、市場が高いときは単価が上がります。料金の考え方は次のとおりです。
電気代=使った量×その時の単価
大手電力の一般的なプランは単価が決まっているので、電気代は使った量でほぼ決まります。市場連動型は単価そのものが動くため、同じ使い方でも請求額が変わります。
冷房も暖房もあまり使わない春や秋は、電気の需要が落ち着き、市場の価格も下がりやすい時期です。この時期に安くなりやすいことが、市場連動型プランの魅力といえます。電気をよく使う時間帯を避けられる家庭なら、恩恵はさらに大きくなるでしょう。
夏に電気代が跳ね上がりやすい理由
猛暑の夏には、2つの理由が重なります。1つはエアコンで使う量が増えること。もう1つは、家庭や企業の需要がい一挙に増えて、市場の価格が上がりやすくなることです。
仮に、使った量が普段の1.2倍、単価が1.5倍になったとします。増え方は次のように計算できます。
1.2×1.5=1.8倍
普段の電気代が1万5000円の家庭なら、次の金額です。
1万5000円×1.8 =2万7000円
単価が動かないプランなら、増えるのは使った量の分だけです。
1万5000円× 1.2=1万8000円
同じ使い方でも、単価まで動くかどうかで9000円の差が出る計算になります。
これが「まさかの3万円」が起こる背景です。なお、単価がどこまで上がるかは、その年の天候や電力の需給によって変わります。あくまで考え方を示した計算であり、この数字になると決まっているわけではありません。
自分の契約を確かめる方法
まず見てほしいのが、契約している会社のマイページや検針票です。単価が固定か、市場に連動するかは、料金プランの説明に書かれています。「市場価格調整額」「電源調達調整費」といった項目があれば、市場に連動するタイプの可能性があります。
料金プランの名前に「マーケット」「スポット」などが入っているときも、市場に連動するタイプかどうかを確かめておきたいところです。分かりにくいときは、契約先の問い合わせ窓口に直接たずねるのが確実です。
国民生活センターにも、電気料金が大幅に上がったという相談が寄せられており、料金のプランや計算方法をよく説明してもらい、確認するよう呼びかけています。
経済産業省は「電力の小売営業に関する指針」を定め、需要家が安心して電気の供給を受けられるよう、事業者の取り組みを促しています。それでも不安が残るときの相談先が、消費者ホットライン「188」です。
まとめ
市場連動型プランは、卸電力市場の価格に合わせて単価が動くプランです。市場が安い時期は得をしやすい半面、猛暑の夏は使う量と単価の両方が増え、請求額が想定を超えることがあります。
まずはマイページや検針票で、自分のプランが市場連動型かどうかを確かめましょう。請求額がいくらになるか予想しづらいと感じるなら、単価が固定のプランに切り替える方法もあります。乗り換えるときは、安さだけでなく単価の決まり方まで見ておくと安心です。
出典
一般社団法人日本卸電力取引所 スポット市場
経済産業省「電力の小売営業に関する指針」を改定しました
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
