住宅ローン残高「1000万円」で“変動金利0.945%”…金利上昇が不安で「ボーナス80万円」で繰り上げようとしたら、ママ友は「オルカンのほうが絶対得」とのこと。本当にNISA優先で大丈夫ですか?
一方で、最近はNISAの利用者も増え、「住宅ローンを返すより、NISAで運用した方が資産が増えるのでは?」という声を耳にする機会も少なくありません。「自分に合った選択はどちらなのだろう」と、ボーナスの使い道を決めかねている人もいるのではないでしょうか。
では、仮にボーナスが80万円ある場合、繰り上げ返済とNISAではどちらを優先すべきなのでしょうか。
本記事では、住宅ローン金利の上昇によって返済額がどの程度増えるのかをシミュレーションするとともに、繰り上げ返済の重要な判断材料、そして「NISAの方がお得」と一概には言えない理由について解説します。
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
目次
金利上昇で住宅ローン返済額はどのくらい増える?
現在、日銀の政策金利引き上げを背景に、変動型住宅ローンの金利が上昇していくのではないかと話題になっています。例えば、借入3000万円、変動金利0.945%、返済期間35年のローンについて考えてみます。この場合、毎月の返済額は8万3918円です。
仮に金利が2%まで上昇すると返済額は毎月9万9378円となり、約1万5500円増加します。さらに金利が3%まで上昇すると毎月11万5455円となり、現在より約3万1500円増える計算です。
一方、借入残高が減ると、金利上昇による返済額への影響も小さくなります。例えば、借入残高1000万円、残り15年では、変動金利0.945%なら毎月の返済額は5万9607円です。金利が2%になった場合でも約6万4350円で、増加額は約4700円です。
もちろん金利上昇により家計への負担は増えますが、借入当初と比べると影響は限定的です。このように、住宅ローンは借入残高だけでなく、残りの返済期間が長いほど、金利上昇の影響を受けやすくなります。
NISAなら住宅ローン金利以上のリターンも期待できる
一方、NISAでは全世界株式(オルカン)などへ長期投資する人が増えています。
オルカンのベンチマークであるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスは、長期的に見ると上昇を続けていますが、年によっては下落することもありました。
「住宅ローンを繰り上げ返済するより、NISAで運用した方が資産が増える可能性がある」という意見にも一定の根拠はありますが、確実ではない点には注意が必要です。
投資は利益が出る場合もあれば、含み損を抱える場合もあります。投資に「確実」はありません。運用開始直後に相場が下落すれば、一時的に資産が大きく目減りする可能性もあります。
NISAは将来の利益を保証するものではありません。一方、住宅ローンの繰り上げ返済は、将来支払う利息を確実に減らせます。この点が、両者の大きな違いと言えるでしょう。
「どちらが得か」ではなく、家計全体で考えたい
では、夏のボーナス80万円は、結局どちらに使うべきなのでしょうか。実は、「繰り上げ返済が正解」「NISAが正解」と一概には言えません。例えば、
・変動金利で借入残高が多く、返済期間も長い人
・金利上昇への不安が大きい人
であれば、繰り上げ返済によって将来の利息負担を減らすメリットは比較的大きいでしょう。一方で、
・借入残高が比較的少ない人
・返済期間が残り10~15年程度の人
・長期投資を続ける予定で、価格変動も受け入れられる人
であれば、NISAによる資産形成を優先するという考え方もあります。
まず生活防衛資金を確保することが優先
現在は住宅ローン金利が上昇局面にある一方、インフレによる物価高も続き、生活コストは増加しています。
住宅ローンを返済している子育て世帯では、将来、教育費や住宅修繕費など、まとまった支出が必要になることも多いでしょう。特に、お子さんの進学など、時期を先送りできないライフイベントでは、十分な手元資金があることが安心につながります。
そのため、ボーナスが残ったとしても、すべてを繰り上げ返済や投資に回すのではなく、まずは今後の物価上昇にも対応できる生活防衛資金を確保することが大切です。
そのうえで、余裕資金を住宅ローンの繰り上げ返済に充てるのか、それともNISAで長期運用を始めるのかを検討するとよいでしょう。
まとめ
住宅ローンの繰り上げ返済は「確実に負担を減らす」選択肢であり、NISAは時間を味方につけながら「将来の資産を増やせる可能性がある」選択肢です。大切なのは、「どちらが絶対に得か」を考えることではありません。
自分の借入残高や返済期間、家計の状況、そして投資のリスクをどこまで受け入れられるかをふまえ、まずは物価上昇に備えた生活防衛資金を確保する、そのうえで、自分の家庭に合った方法を選択することが重要です。
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
