4・5・6月に「月5万円」の残業代が支給された若手社員。秋になって給与明細を見たら、社会保険料が跳ね上がり“1年間の手取り”が激減して絶望……! 「春の残業」が引き起こす社会保険料のワナとは?
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
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社会保険料の決まり方
まずは、社会保険料の決まり方について確認していきます。
会社員の方の場合、支払わなければいけない健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、毎月の給与から天引きされています。この社会保険料の金額は、その人の収入によって決められています。簡単に言うと、収入が高い人は保険料の金額が高く、収入が少ない人は保険料が少なくなる仕組みです。
そして、その基準となる収入は、「標準報酬月額」というもので決められています。標準報酬月額は、原則として毎年4~6月に支払われた報酬をもとに決定され、その金額によって、社会保険料が決まる仕組みです。決定された標準報酬月額は、その年の9月~次の年の8月まで1年間採用されます。
春の残業代が社会保険料に影響を与える理由
標準報酬月額は、毎月の基本給だけではなく、残業手当なども含めて計算されます。そのため、4~6月に残業代が多く支給され、標準報酬月額が高くなってしまった場合、その後9月から支払う社会保険料が上がってしまう可能性があります。
タイトルの方のように、4~6月に毎月5万円の残業代が支給された場合、月給30万円の人でも、標準報酬月額の基準となる給与は35万円として計算されます。
そのため、月給30万円の場合と、残業代を含めた給与35万円の場合を比較すると、35万円の場合は、その年の9月から支払う社会保険料の負担が毎月大体8000円増える計算となります。年間では、10万円近くの負担増となります。
これが、春に残業をしすぎると、社会保険料の負担が増えると言われている理由です。
残業しすぎると損ってホント?
確かに、春に残業をたくさんすると、その後支払わなければならない社会保険料は増えてしまいます。しかし、人生でもらえるお金をトータルで考えると、残業することが必ずしも損になるとは言い切れません。
まず、タイトルの方の場合、残業することで社会保険料の負担は月約8000円アップとなりますが、そもそも残業をすると基本給だけの場合に比べて、全体的な収入は大きく増えています。3ヶ月で15万円も多く稼いでいるため、決して損をしているわけではありません。
また、厚生年金保険料を多く納めると、将来もらえる年金額が増えます。そのため、標準報酬月額が増え、保険料の負担が増えますが、長生きすることで将来より多くの年金を受け取ることができ、トータルで見ると決して損をしているとは一概に言い切れません。
まとめ
いかがだったでしょうか。社会保険料の決まり方について知っておくことは、手取り額や、保険料の負担額を知る上で重要です。原則として、9月~翌年8月までの社会保険料は、4~6月に支給された報酬をもとに決まることを頭に入れておきましょう。
また、春に残業を多くすると、社会保険料の負担が増えることは事実です。結果として損をするとは言えませんが、どうしても社会保険料の負担を増やしたくないという方は、春の残業代に注意する必要があります。今回ご紹介した内容を参考にしながら、自分の社会保険料の金額や、標準報酬月額を確認してみてはいかがでしょうか。
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
