勤務先で「仕事に必要な資格の更新費用は自分で払ってください」と言われました。会社から取得を求められた資格でも、個人負担にするのが一般的なのでしょうか?
ただし、仕事に必要な資格だからといって、すべての資格取得費・更新費を法律上必ず会社が負担するという一律のルールはありません。資格の種類や会社の就業規則、取得時の約束などによって扱いが変わります。
一方、労働安全衛生法に基づいて会社が実施する必要がある特別教育などでは、事業者負担とされるものがあります。まず、自分の資格がどの種類に当たるのかを確認しましょう。
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仕事に必要な資格でも更新費用が必ず会社負担とは限らない
資格にはさまざまな種類があります。
たとえば、転職しても本人がそのまま使える国家資格や民間資格もあれば、特定の危険な業務を担当するため会社が受講させる安全衛生関係の講習もあります。
前者のように資格が本人に帰属し、退職後も個人のキャリアとして使えるものについては、取得費や更新費を誰が負担するかを会社の規定で決めていることがあります。そのため、「会社から取得を求められた」という理由だけで、更新料も必ず会社負担になるとは断定できません。
まず就業規則、資格手当の規程、資格取得支援制度などを確認しましょう。
たとえば「会社が業務上必要と認めた資格について受験料と更新料を負担する」と書かれていれば、その規定に従うことになります。反対に「取得費は初回のみ会社負担、更新費は本人負担」と明記されている会社も考えられます。
取得時に上司や人事から「今後の更新費も会社が負担します」と説明を受けていたなら、そのメールや申請書なども確認しておきましょう。
なお、会社が従業員の資格取得や能力開発を金銭面で支援すること自体は珍しいものではありません。
厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」によると、労働者の自己啓発を支援している事業所は81.9%でした。正社員への支援内容では、「受講料などの金銭的援助」が74.7%と最も高くなっています。
ただし、この調査の「自己啓発」は会社から取得を命じられた資格や、その更新費だけを対象としたものではありません。そのため、この数字から「資格の更新費は会社が負担するのが一般的」とまではいえず、実際の扱いは会社の制度などを確認する必要があります。
労働安全衛生法に基づく教育は会社負担となるものがある
一般的な資格と分けて考えたいのが、労働安全衛生法に基づいて会社が実施する必要がある教育です。
厚生労働省によると、会社は労働者を雇い入れたときや仕事内容を変更したとき、必要な安全衛生教育を実施しなければなりません。また、一定の危険・有害な業務では特別教育が必要です。
厚生労働省の通達では、労働安全衛生法59条や60条に基づく教育は「事業者の責任」で行うものとされ、企業外で行う特別教育や職長教育について、講習会費や旅費なども事業者が負担すべきとされています。
さらに、こうした教育に必要な時間は労働時間として扱われ、法定時間外に行えば割増賃金も必要です。
つまり、「仕事に必要な資格」と一括りにせず、それが会社の任意の資格制度なのか、法律上会社に実施義務がある教育なのかを確認することが重要です。
労働安全衛生関係の資格や講習については、厚生労働省の「労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など」のページで確認できます。
給与から更新費を勝手に差し引く場合は別の問題もある
会社が「更新料は自己負担」とする場合でも、給与から一方的に差し引いてよいとは限りません。
労働基準法24条では、賃金は原則として全額を労働者へ支払うことになっています。税金や社会保険料など法律で認められたもの以外を賃金から控除するには、労使協定などの条件が必要です。
たとえば更新費1万円について、「今月の給与から勝手に1万円引いておきます」と言われた場合は、単に更新費を誰が負担するかだけでなく、給与控除の方法も確認する必要があります。
自己負担であることに納得できない場合は、人事担当者へ「会社から取得を指示された資格ですが、更新費を本人負担とする根拠はどの規程にありますか」と確認しましょう。
あわせて、同じ資格を持つ他の社員の負担状況など、社内でのこれまでの前例や実際の取り扱いについても確認してみると、話し合いの参考になります。
会社と話し合っても解決せず、法律上会社が負担すべき教育に当たる疑いがある場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の相談窓口へ相談できます。
まとめ
会社から取得を求められた資格でも、その更新費が法律上すべて会社負担になるとは限りません。本人に帰属する一般的な資格では、就業規則や資格支援制度、取得時の約束によって扱いが変わります。
一方、労働安全衛生法に基づき会社の責任で実施する特別教育などについては、講習費や旅費を事業者が負担すべきとされるものがあります。
まず資格名と更新制度を確認し、就業規則や資格取得支援規程を見てみましょう。また、自己負担だとしても、更新料を給与から自由に差し引けるわけではありません。
「仕事に必要だから会社負担のはず」「資格は個人のものだから自己負担のはず」と決めつけず、資格の法的な位置付けと会社の規程を分けて確認することが大切です。
出典
厚生労働省 令和7年度「能力開発基本調査」の結果を公表します
厚生労働省 労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など
厚生労働省 労働安全衛生法および同法施行令の施行について(◆昭和47年09月18日基発第602号)
e-Gov 法令検索 労働基準法
厚生労働省 労働基準法第24条(賃金の支払)について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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