大学生の娘は「バイト代は手渡しだから税金かからないよ」と言います。でも“親の扶養”から外れると、親の税金が「年10万円以上」も跳ね上がりますよね? 少しでも損しない稼ぎ方を知りたいです

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大学生の娘は「バイト代は手渡しだから税金かからないよ」と言います。でも“親の扶養”から外れると、親の税金が「年10万円以上」も跳ね上がりますよね? 少しでも損しない稼ぎ方を知りたいです
「少しでも損しない稼ぎ方を知りたい」という方は多いことでしょう。そのためには税金や“扶養”について、きちんと理解する必要があります。
 
そこで本記事では、本事例を基に「バイト代が手渡しだと税金はかからないのか?」「“親の扶養”から外れると親の税金が年10万円以上も跳ね上がるのか?」について解説します。税金のしくみについてよく分からない、知りたいという方はぜひ最後までお読みください。なお、本記事では税金=所得税として解説します。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

バイト代が手渡しだと税金はかからないのか?

結論からいうと、バイト代が手渡しでも銀行振り込みでも所得税はかかります。所得税の納税義務者について、所得税法第5条第1項に、以下の規定があります。

第5条 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。

この法律において「居住者」とは「国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」をいいます。本事例における「大学生の娘」は、これに該当すると考えます。
 
所得税額の計算は、収入(本事例では給与収入)から所得(本事例では給与所得)、所得から課税所得金額を求め、課税所得金額に所得税率を乗じて行います。所得税がかからない基準として取り上げられる“年収の壁”は、所得税の計算過程における給与所得控除と基礎控除を基に計算します。
 
令和8年分でいえば、給与所得控除が74万円(給与などの収入金額が220万円以下の場合)、基礎控除額が104万円(合計所得金額=給与所得控除後の金額が489万円以下の場合)ですので、給与などの収入金額が178万円(=給与所得控除74万円+基礎控除額104万円)以下であれば所得税はかからないといえます。
 
また、所得税法第6条には、源泉徴収義務者について以下の規定があります。

第6条 第28条第1項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第4編第1章から第6章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。

ここで規定しているのは、給与やその他源泉徴収が必要な支払いをする者(会社などがこれに該当)は、その支払い時に所得税額を源泉徴収(天引き)する義務があるということです。
 
源泉徴収する金額は源泉徴収税額表から算定しますが、源泉徴収する金額がある場合はバイト代が銀行振り込みであろうと手渡しであろうと源泉徴収をしなければならず、これを怠ると違法となります。
 

“親の扶養”から外れると親の税金が年10万円以上も跳ね上がるのか?

所得税額の計算において、「“親の扶養”から外れる」とは、扶養控除を受けられないことを意味します。本事例における扶養控除は、「大学生の娘」とあることから、特定扶養親族に係る扶養控除と考えられます。
 
扶養控除は基礎控除と同じく所得控除に該当し、この控除を受けることで結果として所得税額が少なくなります。つまり、この控除を受けられなくなるということは、所得税額が多くなるということになります。
 
その影響は、「受けられなくなった控除額×所得税率」で試算できます。例えば、受けられなくなった扶養控除額が63万円で、所得税率が20%であれば、所得税の増額は12万6000円(=63万円×20%)と予想できます。
 
令和8年分の場合、扶養控除を受けるためには「扶養親族の合計所得金額が62万円(収入が給与だけの場合は年収136万円)以下」である必要があり、この金額を超えた場合は扶養控除の適用を受けることはできません。しかし、その場合であっても、特定親族で合計所得金額が一定の金額以下であれば、特定親族特別控除の適用を受けることができます。
 
例えば、合計所得金額が62万円超85万円(収入が給与だけの場合は年収136万超159万円)以下であれば63万円、合計所得金額が85万円超90万円(収入が給与だけの場合は年収159万超164万円)以下であれば61万円の控除を受けることができます。
 
控除額が減ることに伴う所得税額の増額は、先述の「受けられなくなった控除額×所得税率」で試算できます。例えば、控除額が63万円から61万円になった場合、受けられなくなった扶養控除額は2万円となり、所得税率が20%であれば、所得税の増額は4000円(=2万円×20%)と予想できます。
 
特定親族特別控除は、合計所得金額に応じて控除額が段階的に少なくなっていく仕組みです。したがって、できるだけ損をしたくない(所得税を支払いたくない)のであれば、特定親族の合計所得金額を85万円(収入が給与だけの場合は年収159万円)以下にすることが、控除額や所得税額に影響を与えないため、いいのではないかと思います。
 

まとめ

本記事では、本事例を基に「バイト代が手渡しだと税金はかからないのか?」「“親の扶養”から外れると親の税金が年10万円以上も跳ね上がるのか?」について解説しました。ポイントをまとめると、以下のとおりです。

・所得税がかかるか否かは、支払方法に影響を受けない
・“親の扶養”から外れて親の所得税が年10万円以上跳ね上がるのは、「受けられなくなった控除額×所得税率」が10万円以上になった場合に限られる

扶養親族が特定親族(生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族などで、合計所得金額が一定金額以下の控除対象扶養親族に該当しない者)の場合、扶養控除として63万円、または特定親族特別控除として3万円から63万円の控除を受けることができます。

“親の扶養”から外れて親の所得税が年10万円以上跳ね上がるのは、以下のようなケースに限られます。
・親の所得税率が20%×受けられなくなった控除額50万円以上
・親の所得税率が23%×受けられなくなった控除額44万円以上
・親の所得税率が33%×受けられなくなった控除額31万円以上
・親の所得税率が40%×受けられなくなった控除額25万円以上
・親の所得税率が45%×受けられなくなった控除額23万円以上

なお、特定親族の合計所得金額が85万円(収入が給与だけの場合は年収159万円)以下であれば、控除額が変わらず所得税額に影響を与えないため、少しでも損をしたくない(所得税を支払いたくない)のであれば、この範囲内に合計所得金額を抑えるのがいいのではないかと思います。
 

参考・出典

e-Gov法令検索「所得税法」
国税庁「所得税のしくみ」
国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」
国税庁「No.1180 扶養控除」
国税庁「No.1177 特定親族特別控除」
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 上級心理カウンセラー

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