〈働く女性を応援する〉②「出産」は人生の転機、ママになっても自分らしく働くには?
配信日: 2017.11.05 更新日: 2024.10.10
「キャリアウーマン」というと、1990年代は「仕事に生きる女性」というイメージがありました。男性並みに仕事をするためには、結婚や出産はどうしても足かせになってしまう、なので、結婚や出産を選択しない、という時代でした。
しかし現代の「キャリアウーマン」は、ある芸人さんのネタのように、「仕事も私生活も(思うままに)デキる女性」のイメージに変わってきました。
私も働きながら結婚・出産・子育てを経験し、その裏と表をよく知る一人です。
「出産」と「仕事」の狭間で揺れる女性たちの支えになりたい!と常々思い、この仕事をしています。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
「結婚」はあまり変わらない、でも「出産」は・・・?
私が結婚したのは銀行員の時でした。当時の銀行はまだ「寿(コトブキ)退職」(=結婚退職)という言葉が主流で、私も上司に結婚の報告をしたときに「おめでとう!で、いつまで働けるの?」と言われました。「結婚しても仕事は続けたいです」と伝えた時の上司の驚いた顔は今でも忘れられません。
結婚してしばらくはDINKS(最近言わないですね?!)で、結婚前と変わらず、毎日遅くまで仕事をしていました。妊娠し、出産するまでは・・・
「出産」は、働く女性の大きな転機
日本では、「共働き世帯」が「妻が専業主婦世帯」を超え、その差は年々広がりを見せています。にもかかわらず、女性の退職理由は育児や結婚が4割近くを占めており、ここ20年以上ほぼ変わりません。第一子出産時に6割近い女性が退職しています。
「育児・介護休業法」を初めとして、「出産」「育児」にかかわる制度は整ってきています。「制度があるか、ないか」が問題なのではなく、要は「利用できるかどうか」が問題なのです。
出産時にとる産前産後休暇は法律で定められていて、会社からすると働かせてはいけない期間です。
しかしこの産休があけても、子供はまだ2ヶ月、首も座りませんし、夜泣きもします。夜中にフラフラになりながら授乳をし、寝不足の日々です。したがって多くの女性が育児休暇を取得します。
私は育児休暇を1年取得しました。しかしこの1年の休暇は、結果としてキャリア・ロスにつながりました。「これから休む人に、人の管理ができるのか?」そう言われて何も言えませんでした。今まで頑張ってきた自分が間違っていたような気がして、やるせない想いでした。子供を言い訳にはしたくない、でも現実はこうなんだ、と実感したのでした。
男性だってケガや病気で休む人はいるのに、「出産」は女性にしかできない仕事なのに、キャリアに及ぼす影響は、「結婚」よりも「出産」が断然大きいのです。
復帰しやすい雇用形態、生涯所得も考えて選択を
日本では、女性は結婚・出産を機に退職し、子育てが一段落すると再び働き出す傾向にあります。これは、日本の多様な雇用形態によるところが大きいでしょう。パートや派遣社員等の非正規の雇用形態があることで、子育て後の社会復帰がしやすい環境にあります。
家族の都合に合わせて、無理なく働けるのは素晴らしいことです。一方で、扶養の範囲内で働くなどさまざまな制限がある場合もあります。例えば、正規雇用と比較すると収入が少ないということが、将来的にどれくらいの違いになるのか、知っておいてもいいと思います。
そして、ICT(情報通信技術)の発展により在宅でできることが多くなった今、働き方の中に「起業」や「独立」も一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士、システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表