更新日: 2021.11.24 年収
大卒と大学院卒では生涯年収にどれくらい差が生まれる?
今回は大卒と大学院卒の生涯年収を比較します。また、大学院に進学すると学費がかかりますが、生涯年収の差と相殺できるのかどうか検証します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大卒と大学院卒の生涯年収を比較
大卒と大学院卒の賃金を比較するため、初任給、月収、生涯年収の3つのデータを紹介します。初任給は、就職活動時に企業の募集要項などで確認できますが、その後の月収がどのように変化するのかを知らない方は多いでしょう。
初任給、月収、生涯年収を比較すると、いずれにおいても大学院卒が高いです。ここでは、具体的にどれくらいの差があるのか解説します。
学歴別の平均初任給と月収
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、学歴別の平均初任給は図表1のとおりです。
【図表1】
大学院 | 大学 | |
---|---|---|
男女計 | 25万5600円 | 22万6000円 |
男性 | 25万4100円 | 22万7200円 |
女性 | 26万100円 | 22万4600円 |
大卒と大学院卒の初任給は、男女計では2万9600円、男性は2万6900円、女性は3万5500円の差があります。
次に、年齢別の月収の差にも着目しましょう。図表2が学歴・性・年齢階級別賃金のグラフです。
【図表2】
男性の年齢計では大学院卒の月収が46万5200円、大卒が39万1900円で、7万3300円の差があります。1年間に換算すると87万9600円もの差です。
女性の年齢計では、大学院卒の月収が40万4300円、大卒が28万8300円で、11万6000円の差があります。年間では139万2000円の違いで、男性より差が大きいです。
また、グラフを見ると年齢を重ねても大卒より大学院卒のほうが賃金が高く、むしろ年齢が上がるほど差が開いています。
大卒と大学院卒の生涯年収の差
2014年に内閣府経済社会総合研究所が発表した「大学院卒の賃金プレミアム―マイクロデータによる年齢-賃金プロファイルの分析―」によると、性・学歴別の生涯年収は図表3のとおりです。
【図表3】
大学院 | 大学 | |
---|---|---|
男性 | 3億4009万円 | 2億9163万円 |
女性 | 3億1019万円 | 2億6685万円 |
男性の場合4846 万円、女性の場合 4334 万円の差があります。
初任給や月収にも差がありましたが、生涯年収はさらに大きな差が生じていると分かります。
大学院の学費はどれくらい?
大学院に進むか、大卒で就職するかで悩む方は多いかもしれません。大学院に進学するときに気になるのが、学費ではないでしょうか。
ただ、生涯年収は大卒より大学院卒のほうが高いです。大学院の学費負担は一時的に大きな痛手かもしれませんが、生涯年収の差で十分カバーできます。ここでは国立と私立の大学院の学費を解説します。
国立の大学院
国立大学の授業料や入学料などの費用は、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成十六年文部科学省令第十六号)」で標準額が定められています。各大学は標準額を元に学費を決めているため、多くの国立大学院の学費はほぼ同額です。
授業料(年額)の標準額は53万5800円です。修士課程に進学した場合、2年間で107万1600円、博士課程に進学した場合、5年間で267万9000円となります。
入学料の標準額は28万2000円です。
私立の大学院
文部科学省の「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査」によると、私立大学院の授業料、入学料は図表4のとおりです。
【図表4】
授業料 | 入学料 | 施設設備費 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
博士前期課程 | 76万6889円 | 20万6203円 | 7万5753円 | 104万8445円 |
博士後期課程 | 60万3496円 | 19万6972円 | 5万831円 | 85万1298円 |
専門職学位課程 | 108万3048円 | 19万2098円 | 6万4372円 | 133万9517円 |
例えば、博士課程に5年間(前期2年、後期3年)通うと、授業料は前期が153万3778円、後期が181万488円となり、計334万4266円かかります。国立と比べると高いですが、生涯年収の差を考えると十分補えます。
大卒と大学院卒では生涯年収に大きな差がある
大卒と大学院卒では生涯年収の差は、男性の場合4846万円、女性の場合 4334万円です。初任給や年齢階級別の月収を比較しても、大学院卒のほうがもらえる賃金が高いと分かりました。
大学院の授業料は国立が年53万5800円、私立が年76万6889円~108万3048円でした。大学院に進学すると学費がかかりますが、生涯年収の差が大きいので十分カバーできます。
お金の心配から大学院進学を迷っている方もいるかもしれませんが、研究したい分野があるのなら進学すると良いでしょう。
大卒の方は、大学院卒の方より生涯年収が低いため、老後を考えて早めに貯蓄や資産運用の計画を立てるのがおすすめです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部