更新日: 2021.11.24 年収

年収が約360万円を超えると、障害年金が減額される? 仕組みを解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

年収が約360万円を超えると、障害年金が減額される? 仕組みを解説
病気やけがで障害が残り、障害認定日に一定の障害等級に該当すると受給できる障害年金。生活を維持するために受け取っているのに、年収が約360万円を超えると減額されるという話を耳にしたことはありませんか?
 
今回は、障害年金が減額される条件について詳しく解説します。また、障害年金の種類や受給額についても説明します。障害年金をこれから受給する方、すでに受給している方はぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

障害年金とは

 
障害年金とは、病気やけがで仕事や日常生活に支障があると認められたときに受給できる年金です。この障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、受給できる条件はそれぞれ定められています。初診日に国民年金の被保険者である人は障害基礎年金、厚生年金保険の被保険者である人はその両方を受給可能です。まずは障害年金の概要を解説します。
 

年金の種類は障害基礎年金と障害厚生年金

 
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。障害基礎年金は初診日に国民年金の被保険者あった人、または20歳前の人や国民年金の被保険者であった人で60歳以上65歳国内に住んでいる人が対象です。国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方の加入が義務付けられており、幅広い方々が対象の年金です。
 
障害厚生年金は初診日に厚生年金に加入している方が受け取れる年金で、会社員や公務員の方が該当します。厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれており、厚生年金に加入している方は自動的に国民年金にも加入しています。
 

受給要件

 
障害基礎年金の受給要件は次のすべてを満たすことです。

1.障害の原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間にあること。

●国民年金加入期間
●20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間

2.障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当していること。
 
3.初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
 
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。
 
障害厚生年金は以下の要件すべてを満たしている場合に受給できます。

1.厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があること。
 
2.障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していること。ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる場合があります。
 
3.初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
 
※各障害年金の受給要件は、日本年金機構のWEBサイトから引用
 
障害基礎年金の受給要件と似ていますが、厚生年金保険に加入している期間に初診日があること、1級から3級までが対象となっているのが大きな違いです。
 

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20歳未満の傷病では所得制限あり

 
20歳より前に障害を負った方に関しては、国民年金の加入が受給要件となっていないため、障害基礎年金については所得による支給制限・調整があります。
 
支給制限は以下のとおりです。
 

前年の所得額 支給内容 1級の支給額(年額) 2級の支給額(年額)
472万1000円超 全額停止 なし なし
370万4001円
~472万1,000円
2分の1に減額 48万8063円 39万450円
370万4000円以下 全額支給 97万6125円 78万900円

 
1級も2級も前年の所得額が370万4000円以下なら減額されませんが、それを超えると段階的に減額されます。
 
扶養家族がいる場合、1人につき38万円加算します。老人控除対象配偶者または老人扶養親族なら1人につき48万円、特定扶養親族なら1人につき63万円の加算です。
 
20歳前の障害で障害基礎年金を受給する方は、毎年、前年所得の確認後、受給額が決定されます。
 
20歳以降すなわち国民年金に加入している期間に負った障害については、所得制限は設けられていません。
 
一方の障害厚生年金では、加入していない期間に負った障害は、そもそも受給対象外です。そのため所得制限はありません。

 

子の有無や収入によって変わる? 障害年金の受給額

 
障害基礎年金は、子の有無によって受給額が異なります。子がいる場合はいない場合より金額が高いです。障害厚生年金は子の有無を問われませんが、年収や加入期間によって金額が変わり、配偶者の加給年金額の加算もあります。
 
ここでは、障害基礎年金、障害厚生年金の年金額をご紹介します。いくらくらい受給できるのかを確認しましょう。
 

障害基礎年金の年金額

 
障害基礎年金の受給額は、以下のとおりです。

●1級:97万6125円
●2級:78万900円

生計を維持している子がいる場合(18歳を迎えた後、最初におとずれる3月31日まで。または障害等級1級または2級の20歳未満の子)は、以下の額が加算されます。

●2人まで:1人につき22万4700円
●3人目以降:1人につき7万4900円

加入期間や年収による違いはなく、子の有無によって金額が変わります。

 

障害厚生年金の年金額

 
障害厚生年金の年金額は、次の計算式で算出します。

●1級:報酬比例の年金額× 1.25+配偶者の加給年金額
●2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
●3級:報酬比例の年金額(最低保障額 58万5700円)

1級と2級に該当し、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合は、配偶者の加給年金額として22万4700円が加算されます。
 
報酬比例の年金額は次のAとBを足した金額です。

●A:平均標準報酬月額×7.125/1000※×2003年3月までの加入月数
●B:平均標準報酬額×5.481/1000※×平成15年4月以降の加入月数

※昭和21年4月1日以前生まれの場合、給付乗率は異なります

障害厚生年金は、障害基礎年金と違って年収や加入期間によって受け取る金額に差が生じます。
 

20歳以降の傷病なら所得制限なし

 
20歳前に障害を負った方については、前年の所得額が370万4000円を超えると障害基礎年金が減額されます。20歳以降で国民年金に加入している期間に障害を負った方については、所得制限はありません。
 
障害厚生年金は加入している方のみ受給できるため、年齢による所得制限はなく、心配する必要はないでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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