大学無償化の対象は年収いくらまでの世帯?
配信日: 2021.12.04
2020年4月からスタートした大学無償化(高等教育の修学支援新制度)の対象になると、授業料等の減免制度や給付型奨学金の支援を受けられます。ただし、対象となるには、収入や資産、学力などの要件をクリアしていなければなりません。
ここでは、大学無償化制度の内容や条件、支援額などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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大学無償化とは
大学無償化は2020年4月からスタートした制度で、正式名称は「高等教育の修学支援新制度」です。家庭の経済状況に関係なく、大学などに進学できるチャンスを与えることを目的としています。大学無償化の条件に該当する場合は「授業料等の減免制度」と「給付型奨学金」の支援を受けられます。
「経済的な理由で大学進学を諦めないといけない」といった方も、大学無償化の制度を活用することで大学などへの進学を実現することが可能です。ただし、進学先での成績が悪かったり、あまり出席したりしていない場合などは支援が打ち切られる可能性がありますので注意が必要です。
大学無償化制度を利用する条件
大学無償化制度には、収入や資産、学力などの条件が設けられています。これらの条件をクリアする学生しか、授業料等の減免制度や給付型奨学金の支援を受けることはできません。大切な条件となりますので、しっかり把握しておきましょう。
ここでは、大学無償化制度を利用するための「収入」「資産」「学力」の3つの条件について紹介します。
収入基準
大学無償化制度の支援の対象となるのは「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生」です。世帯年収に応じて、支援額も変わります。支援を受けられる年収の目安と支援額は、図表1のとおりです。
【図表1】
支援対象者 | 年収目安 両親、本人(18歳)、中学生の家族4人の場合 |
年収目安 両親、本人(19〜22歳)、高校生の家族4人の場合 |
支援額 |
---|---|---|---|
住民税非課税世帯の学生 | 〜270万円 | 〜300万円 | 満額 |
住民税非課税世帯に 準ずる世帯の学生 |
〜300万円 | 〜400万円 | 2/3 |
〜380万円 | 〜460万円 | 1/3 |
※家族構成や年齢などによって収入条件が変わります。
資産基準
支援対象となる資産の基準額は、生計維持者の人数によって異なります。大学無償化制度を受けるには、図表2の資産基準を満たす必要があります。
【図表2】
要件 | 基準額 |
---|---|
生計維持者が2人 | 2000万円未満 |
生計維持者が1人 | 1250万円未満 |
資産は預貯金やそれに準ずるものが対象であり、土地などの不動産は含まれません。
学力基準
対象となる学力の基準は、予約採用の場合は、高校2年次までの評定平均値が3.5以上であれば進路指導などで学修意欲を見て、3.5未満であればレポートや面談で学修意欲を確認し、認められた方はクリアとなります。ただし、大学入学後の申し込み(在学採用)の場合でも、学修意欲や目的などが認められれば、支援の対象となります。以下は、大学入学後に申し込みをする場合の主な学力基準です。
・入学1年目:高校の評定平均値や学修計画書の提出などで学修意欲が認められた方
・入学2年目以降:在学中のGPA(平均成績)や単位の取得状況、学修計画書の提出などで学修意欲が認められた方
大学無償化の支援内容
大学無償化は、大学や短期大学などの進学先の入学金や授業料が一部免除・減額される「授業料減免制度」と、JASSO(日本学生支援機構)から毎月振り込まれる「給付型奨学金」の2つの支援内容があります。それぞれの支援額は、進学先や家庭状況により異なりますので、事前に把握しておくことが大切です。
ここでは、大学無償化の支援内容について見てみましょう。
授業料減免制度
授業料減免制度では、大学などに収める入学金や授業料から、図表3の金額が免除・減額されます。
【図表3】
国公立 | 私立 | |||
---|---|---|---|---|
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 約28万円 | 約54万円 | 約26万円 | 約70万円 |
短期大学 | 約17万円 | 約39万円 | 約25万円 | 約62万円 |
高等専門学校 | 約8万円 | 約23万円 | 約13万円 | 約70万円 |
専門学校 | 約7万円 | 約17万円 | 約16万円 | 約59万円 |
※昼間制の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、支援額が3分の2または3分の1になります。
給付型奨学金
給付型奨学金は、学生生活を送るための生活費としてJASSO(日本学生支援機構)から、図表4の金額が毎月振り込まれます。
【図表4】
国公立 | 私立 | |||
---|---|---|---|---|
自宅生 | 自宅外 | 自宅生 | 自宅外 | |
大学 | 2万9200円 (3万3300円) |
6万6700円 | 3万8300円 (4万2500円) |
7万5800円 |
短期大学 | ||||
高等専門学校 | ||||
専門学校 | 1万7500円 (2万5800円) |
3万4200円 | 2万6700円 (3万5000円) |
4万3300円 |
※昼間制・夜間制の場合
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、支援額が2/3または1/3になります。
※()内は生活保護世帯で自宅から通学する方および児童養護施設などから通学する方の金額
大学無償化の対象になるのか確認してみましょう
大学無償化の対象となる場合は、授業料減免制度や給付型奨学金の支援を受けられます。支援を受けられるのは住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生です。対象となる世帯年収の目安は、住民税非課税世帯が270万円以下、住民税非課税世帯に準ずる世帯は380万円以下です。
ただし、家族構成や年齢などによって変わりますので注意してください。また、年収だけでなく、資産や学力の要件もクリアする必要があります。日本学生支援機構のホームページにある「日本学生支援機構 進学資金シミュレーター」で大まかに調べられますので、自分が対象となるか確認してみるとよいでしょう。
出典
文部科学省「大学生の皆さんへ 学びたい気持ちを応援します」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員