更新日: 2021.12.13 年収
地方公務員の給与や退職金っていくら? 地域で異なる収入事情
今回は、公開されている資料から地方公務員の給与や退職金事情についてご紹介します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
地方公務員の平均給与
地方公務員の給与は、総務省による「地方公務員給与実態調査」で公表されています。最新版(令2年)の調査結果によると、全国の地方公務員の一般行政職の給与は、平均基本給月額で「34万9805円」となっています(※)。
この平均基本給月額は、地域によって異なります。給与の平均が高い地域は以下のとおりです。
1. 東京都:38万4633円
2. 神奈川県:37万7620円
3. 兵庫県:36万7964円
一方、平均が最も低かったのは沖縄県の32万1759円で、東京都と比べると6万円以上の差がありました。このように同じ地方公務員の同じ職種であっても、地域によって給与が異なっています。
地方公務員の退職金
次に、地方公務員の退職金の金額を見ていきましょう。全地方公共団体の一般職員、教育公務員、警察官の25年以上勤務後の定年退職時、1人当たりの平均手当額は以下の通とおりです。
一般職員:2133万5000円
教育公務員:2267万6000円
警察官:2225万6000円
一般的に、従業員数が1000人を超えるような大企業の場合、25年以上勤務した人の退職金は2000万円くらいといわれています。地方公務員の退職金も約2000万円となっており、安定した退職金を受け取ることができていると考えられます。
公務員のメリットと注意点
公務員という仕事には、一般企業とは異なるメリットがあります。
例えば、国内や世界の経済状況に左右されにくく、安定した業務と収入を得ることができるといわれています。また、国民のために仕事をしているため、一般企業のように会社が倒産してしまったり、解雇されてしまうリスクは少ないといえるでしょう。
一方で、一般企業とは違う注意点もあります。
例えば、公務員は一部を除き、副業をすることが禁止されています。趣味やスキルを生かして空き時間で仕事をしたり、収入を増やすためにアルバイトやパートはできないため、不自由だと感じる方はいるかもしれません。
また、一般企業と公務員では求められているスキルが異なるので、「転職がしにくい」「年功序列の風土が強く、若者が活躍しにくい」と感じている公務員の方もいるようです。
さらに、コロナ禍や災害時などでは、地域の人々のために業務として危機対応をしなければならないケースもあります。
公務員の仕事や給与は、一般的に安定的といわれていますが、仕事内容や職場の環境が一般企業とは異なるため、必ずしも「公務員の仕事は良い」とは言い切れないでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。地域の役所や学校の先生など、身近な所で働いている地方公務員の方々ですが、支払われる給与の源泉は私たちの税金です。給与をチェックすることで、税金の使われ方や公務員の方々の仕事ぶりにも関心が高まるのではないでしょうか。
出典
(※)総務省 令和2年 地方公務員給与の実態
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者