更新日: 2021.12.12 年収
所得金額調整控除が適用される年収とその他の条件って?
所得金額調整控除は2種類あり、それぞれ年収などの適用条件が異なります。ここでは、2つの所得金額調整控除について、それぞれの適用条件と控除額をまとめました。年末調整や確定申告に向けて、改めて制度の詳細を確認しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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目次
所得金額調整控除とは?
所得金額調整控除とは、条件に合致する給与所得者の総所得金額の計算において、一定金額を給与所得から控除できる制度です。給与所得控除額や公的年金等控除額の引き下げにともなう負担増の解消を目的に、令和2年より運用されています。
所得金額調整控除には、次の2種類があります。
(1)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
(2)給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
控除の適用は、確定申告時に申告書に記入することで受けられます。また(1)に該当する場合は、年末調整でも適用の申請が可能です。
年末調整で適用を受けるときは「所得金額調整控除申告書」を記入して、勤務先に提出しましょう。提出した申告書は、所轄税務署長から提出を求められるまで、勤務先が保存します。
「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用条件と控除額
「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」は、給与収入が850万円超の場合の給与所得控除額を引き下げることによって、子どもや特別障害者等を扶養する家庭の負担増を防ぐために創設されました。適用を受けられるのは、その年の年収が850万円超の給与所得者のうち、次のいずれかに該当する人です。
●本人が特別障害者である
●23歳未満の扶養親族がいる
●特別障害者に該当する同一生計配偶者または扶養親族がいる
特別障害者とは、重度の知的障害者や精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級の人、身体障害者手帳に記載の障害の程度が1級または2級の人、寝たきりで複雑な介護が必要な人などをいいます。
控除額の計算式は、次のとおりです。
控除額=(給与等の収入額(1000万円超は1000万円)- 850万円)×10%
※1円未満切り上げ
例えば年収900万円の場合の控除額は、(900万円-850万円)×10%=5万円となります。
特筆するべきポイントは、扶養控除と違って、同一生計内の複数の所得者が適用を受けられる点です。例えば両親ともに年収850万円を超えている場合は、23歳未満の子ども1人に対して、父母の両方に控除が適用されます。
「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の適用条件と控除額
「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」は、給与所得控除額と公的年金等控除額がともに10万円引き下げられたのにともない、給与所得と年金所得の両方がある人が、重複して引き下げの影響を受けないために創設されました。適用を受けられるのは、次の人です。
●同年に給与所得と公的年金等に係る雑所得があり、給与所得控除後の給与等と公的年金等の合計額が10万円を超える人
控除額は次の式で計算します。
控除額=(給与所得控除後の給与等の金額(10万円超は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超は10万円))-10万円
例えば給与等が100万円、公的年金が100万円の場合、控除額は(10万円+10万円)-10万円=10万円です。
「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用もある場合は、適用後の給与所得から控除されます。
条件をチェックして漏れなく適用を受けましょう
所得金額調整控除は、税制改正による負担増を解消するために設けられた制度です。2種類の所得金額調整控除があり、年収などの要件や、適用を受ける方法がそれぞれ規定されています。内容をよく確認して、自分が当てはまるかどうかをチェックしましょう。
要件を満たしている場合は、控除を確実に受けられるよう、申請方法やスケジュールを把握し、もれのないよう手続きすることが大切です。
出典
No.1411 所得金額調整控除|国税庁
国税庁「所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー