更新日: 2021.12.12 年収

国民健康保険料の上限引き上げ。年収1140万円以上の人の節税対策って?

国民健康保険料の上限引き上げ。年収1140万円以上の人の節税対策って?
「国民健康保険料の上限額引き上げについて合意に至った」というニュースに触れて、自分にも影響があるだろうかと心配になった人は多いでしょう。
 
令和4年度の上限額引き上げに関して、影響が大きく出る年収の目安は単身世帯で1140万円だといわれています。ここでは、国民健康保険料の上限額引き上げの内容や、影響を抑えるための節税方法をまとめました。
 
国民健康保険料の上限額引き上げの影響を知りたい人や、節税に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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中村将士

監修:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

国民健康保険料上限額引き上げの概要は?

国民健康保険料(国民健康保険税)は、次の3つで構成されています。

●基礎賦課(基礎課税)分
●後期高齢者支援金等賦課(後期高齢者支援金等課税)分
●介護納付金賦課(介護納付金課税)分

各料額(税額)には限度額が設けられており、保険料の計算上限度額を超えても、限度額までしか支払わなくてよい決まりです。
 
国民健康保険料の賦課限度額は、協会けんぽや組合健保などの被用者保険とのバランスを取るために、現在、段階的な引き上げが行われている最中です。具体的には、最高等級の標準報酬月額に該当する被保険者の割合が0.5%~1.5%の間となるように法定されており、賦課限度額超過世帯の割合が1.5%に近づくように、限度額の変更が重ねられています。
 

令和4年度の限度額引き上げで保険料はどう変わる?

令和4年度の国民保険料の限度額引き上げでは、基礎賦課分、後期高齢者支援金等賦課分、介護納付金賦課分の限度額の合計が、3万円引き上げられます。3万円の内訳は、基礎賦課分2万円、後期高齢者支援金等賦課分1万円です。
 
引き上げ前と後では、賦課限度額は図表1のように変化します。
 
【図表1】

基礎賦課分 後期高齢者支援金等
賦課分
介護納付金賦課分
引き上げ前 63万円 19万円 17万円 99万円
引き上げ後 65万円 20万円 17万円 102万円

 
引き上げ後の賦課限度額に該当するのは、年収約1140万円以上の世帯です(単身世帯の場合)。まとめると、単身世帯で年収約1140万円以上の人の国民健康保険料が、令和4年度以降は3万円上がるということになります。
 

年収1140万円の国民健康保険加入者ができる節税対策は?

 
国民健康保険料の引き上げ分を、節税対策で取り返すことは可能でしょうか。国民健康保険に加入する高所得者が活用できる効果的な節税対策には、次のようなものがあります。

●青色申告をする
●経費を見直す
●iDeCoやふるさと納税などを活用する

それぞれの制度の仕組みや節税効果を、以下で簡単に説明します。
 

青色申告をする

 
青色申告とは、個人事業を営む人などが一定水準の記帳に基づいて確定申告をする際に、所得金額の計算などにおいて優遇を受けられる制度です。
 
青色申告をすると、国民健康保険料の計算の基準となる所得金額を算出する際に、白色申告では認められない次のような控除を、所得から差し引いて計算できます。

●青色申告特別控除(最高65万円)
●青色事業専従者給与(同一生計の親族に給与として支払った金額)
●貸倒引当金
●純損失の繰り越しと繰り戻し

控除が多いほど所得金額は少なく計算できるため、結果として国民健康保険料も抑えることが可能です。
 

経費を見直す

 
事業所得を計算する際には、次のものを経費として差し引けます。

●売上原価やそのほかの収入金額を得るために直接使った費用
●その年に発生した販売費、一般管理費など業務上の費用

経費が増えると所得金額が減るため、国民健康保険料の削減につながります。現在申告している経費を見直して、できるだけ漏れのないように算入しましょう。
 

iDeCoやふるさと納税などの制度を活用する

節税対策として、iDeCoやふるさと納税などの制度を活用するのも手です。
 
iDeCoは、掛け金が全額所得控除の対象となる仕組みです。そのため、iDeCoの掛け金が多いほど所得金額が少なくなり、国民健康保険料の削減につながります。
 
ふるさと納税は、寄付額のうち2000円を超えた部分が、全額所得税と住民税から控除される制度です。これらの制度を利用することでトータルの納税額を効果的に節税できます。
  

国民健康保険料引き上げに備えて節税対策を検討しましょう

 
令和4年度の国民健康保険料の上限額引き上げにより、年収約1140万円を超える単身世帯は、保険料負担が3万円増加します。引き上げの影響を抑えるために、国民健康保険料やそのほかの税金を削減するための対策を講じるとよいでしょう。
 
確定申告を青色申告に切り替える、経費を見直す、税制上の優遇を受けられる制度を活用するなど、節税対策はさまざまです。ご自身の状況に合わせて、効果が期待できる方法を選択しましょう。
 
出典
厚生労働省「社会保障審議会医療保険部会資料」(第146回社会保障審議会医療保険部会(ペーパレス) 資料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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