年収に対する貯蓄割合、最も高いのはどの世代?
配信日: 2021.12.19
本記事では、老後資金はいくらくらい必要なのか、世代ごとの平均年収と貯蓄割合について詳しく解説します。老後資金を貯める方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後資金はいくら必要?
将来受け取れる年金は、一般的に「国民年金」「厚生年金」「私的年金」の3階建て構造といわれています。厚生年金は会社員や公務員の人が加入できる年金で、私的年金は被保険者が任意で加入する年金です。
総務省統計局の「家計調査(二人以上の世帯)2021年(令和3年)9月分」によると、2人以上の世帯の、1ヶ月の消費支出額は、1世帯あたり26万5306円です。仮に、60歳から80歳までの20年間、同じ金額を支出し続けた場合、老後にかかる消費支出額は6367万3440円になるでしょう。
三井住友銀行の年金試算シミュレーションを利用し、将来受給できる年金額を見てみましょう。現在年収が800万円の夫が22~60歳まで働いた場合、1ヶ月あたりの年金額は19万1000円です。また、妻が専業主婦である場合、満額なら月額およそ6万5000円(令和3年度)が受給できます。
夫と妻の年金の合計額から1ヶ月の消費支出額を差し引くと、9306円足りません。
また、年金が受け取れるのは、基本65歳からなので、60歳から65歳までの間の老後資金もしっかりと考える必要があります。
上記の不足分を合計し、消費支出額から足りない金額を計算すると、1759万3440円です。不測の事態なども考えれば、2000万円程度の老後資金を準備しておいたほうがよいでしょう。
世代ごとの平均年収と貯蓄割合
総務省統計局の、「家計調査報告(貯蓄・負債編)令和2年平均結果(二人以上の世帯)」より、図表1をご覧ください。
【図表1】
年代 | 40歳未満 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~69歳 | 70歳以上 |
---|---|---|---|---|---|
平均年収 | 660万円 | 786万円 | 869万円 | 592万円 | 441万円 |
貯蓄年収比 | 107.3% | 137.5% | 196.0% | 402.7% | 512.2% |
40歳未満の世帯は、年間収入と貯蓄現在高の比率が107.3%ですが、年代が上がるごとに増えています。60~69歳になると402.7%になることから、年間収入に対して400%以上の貯蓄があり、老後資金をしっかりと貯めていることがわかります。
年収に対する貯蓄割合が最も高いのは、70歳以上の512.2%でした。
年間収入が高いほど貯蓄額も高くなる
総務省統計局の、「家計調査報告(貯蓄・負債編)令和2年平均結果(二人以上の世帯)」によると、勤労者世帯の貯蓄現在高は、年間収入が高くなるに従って多いとの結果を示しています。
年間収入が最も低い世代の貯蓄現在高が848万円、年間収入が最も高い世代だと2315万円と、1000万円以上の差があることが分かりました。
どのような方法で貯蓄をしているのか、構成比を見てみると、普通預金や定期預金、有価証券や生命保険などの方法で貯蓄しているようです。
老後資金を貯める方法
老後資金を貯める方法はいくつかありますが、この見出しでは節税も期待できるNISAとiDeCoの2種類の方法を紹介します。2つとも人気のある制度なので、聞いたことがある人も少なくないでしょう。
メリットや特徴を知っておけば、自分に合っているかどうか判断できますので、ぜひ老後資金を貯めるための参考にしてください。
NISA(少額投資非課税制度)
NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託で得た利益などが非課税になる制度です。大きく分けて一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAの3種類があります。
一般NISAとつみたてNISAは、日本国内に居住している20歳以上の人なら利用できます。ジュニアNISAは、0~19歳の人が利用できるもので、管理運用は両親や祖父母などが行います。
また、一般NISAとつみたてNISAはどちらかしか利用できません。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は私的年金制度の1つで、掛け金や運用益・給付を受けるときに税制上の優遇措置が受けられます。各金融機関によって異なりますが、商品数が30程度と限定されているため、初心者の人でも選びやすい点がメリットです。
ただし、毎月の掛け金に上限があるため、これ以上にお金を投資したい人にはiDeCoとほかの方法で老後資金を貯めることをおすすめします。
また、原則60歳までお金が引き出せないので、貯めていた老後資金をつい使ってしまうこともありません。
70歳以上の貯蓄割合は512.2%
年収に対する貯蓄割合が、最も高いのは70歳以上の512.2%。40歳未満は107.3%と最も低いですが、年齢が高くなるにつれて、貯蓄割合は増えていく傾向があります。
今回の年収に対する貯蓄割合と、「老後資金」に関する調査を参考にして、自分の老後を今一度しっかりと考えてみましょう。
出典
総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)2021年(令和3年)9月分」
三井住友銀行「年金試算シミュレーション」
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)令和2年平均結果(二人以上の世帯)」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部