更新日: 2021.12.19 年収
年収1000万円ですが、うつ病になってしまいました…何か補償は受けられますか?
しかし、仕事を病気で長期休業せざるを得なくなったときには、年収にかかわらず、働いているときの収入をベースに支給される補償制度を利用できます。
ここでは、年収1000万円を例に、うつ病で休業や退職をした際にどのような補償を受けられるのかをまとめました。うつ病発症時に利用できる制度を知り、収入を確保したうえで安心して療養しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
うつ病で休業した際は「傷病手当金」を受給できる
うつ病を発症して一時的に仕事に就けなくなった場合、加入している健康保険から「傷病手当金」を受給できる可能性があります。
傷病手当金とは、被保険者と家族の休業中の生活を保障するための給付金です。次の4つの要件を全て満たすと受給できます。
●業務外の事由による病気やけがの療養を目的とする休業である
●仕事に就けない状態である
●連続する3日間を含む4日以上の休業である
●休業期間の給与の支払いがない
業務外の病気・けがの療養であれば、自費診療や在宅療養も対象です。仕事に就けない状態かどうかは、療養担当者の意見や業務内容を考慮して判定されます。
休業の日数に関しては、必ず3日連続の休み(待機)を含む必要があるため注意しましょう。
休業・休業・出勤・休業・休業⇒受給不可
休業・休業・休業・休業・休業⇒受給可
休業・休業・休業・出勤・休業⇒受給可
休業手当の支給期間は、支給開始日から最長1年6ヶ月です。1年6ヶ月の間に仕事に復帰した期間があった場合、復帰期間も1年6ヶ月に含めます。
支給額の基本の計算式は、次のとおりです。
支給日額=支給開始日以前の連続した12ヶ月間の標準月額の平均÷30日×2/3
年収1000万円(ボーナスなし)の人の休業1日あたりのおおよその受給額は、次のように計算できます。
83万円÷30日×2/3=1万8446円
なお、休業期間に給与が支払われたとしても、傷病手当金よりも少ないケースはその差額を受け取ることができます。
業務上の理由で罹患した人は「休業補償給付」を受けられる
業務上の精神的負担などが原因でうつ病に罹患し、いわゆる「労災認定」を受けた場合は、労災保険の「休業補償給付」が受給できます。労災にあたる場合、傷病手当金の受給はできません。
うつ病で休業補償給付を受給するための要件は、次のとおりです。
●発病前おおむね6ヶ月の間業務上の強い心理的負荷(パワハラ、セクハラ、長時間労働など)が認められる
●業務以外の心理的負荷による発病ではない
●本人の個体的要因(既往歴や生活習慣など)による発病ではない
●仕事に就けない状態である
●休業期間の給与の支払いがない
休業補償給付の支給は、休業4日目からです。3日目までは労働基準法にのっとって、事業主による休業補償の支給のみです。
支給額は、基本的に次の式で計算します。
休業補償給付・休業給付=給付基礎日額×60%×休業日数
休業特別支給金=給付基礎日額×20%×休業日数
給付基礎日額とは、発病日直前の賃金締切日の直前3ヶ月間の給与総額を、日数で割った額です。
例えば年収1000万円の人の月給を83万3000円、発病直前の3ヶ月間の日数を91日、とすると、給付基礎日額および給付日額は、次のように計算できます。
給付基礎日額=83万3000円×3ヶ月÷91日=2万7462円
休業補償給付の日額=2万7462円×60%=1万6478円
休業特別支給金の日額=2万7462円×20%=5493円
したがって休業4日目以降は1万6478円+5493円=2万1971円が支給されます。なお、休業補償には支給期間の上限はなく、原則として仕事に就けない状態が続く間は受給できます。
うつ病により減収や退職した際に受けられる補償は?
うつ病による減収や退職時には、次のような制度を利用できる場合があります。
●自立支援給付
●失業手当
●障害年金
自立支援給付(自立支援医療)とは、うつ病などの精神障害で継続的な通院が必要となった場合に、医療費の原則9割が公費負担となる制度です。世帯の住民税(所得割)額が年23万5000円以上の人は利用できません。そのため年収1000万円の人は対象外ですが、退職をした際などには利用できる可能性があります。
うつ病で退職せざるを得なくなった場合は、雇用保険の失業手当の受給も選択肢になるでしょう。ただし、就職の意思があり「すぐに働ける状態にあること」が受給要件のため、症状の重さによっては病気の軽快を待つ必要があります。
うつ病により日常生活や仕事が困難な状態と認められると、障害年金を受給できることもあります。年金事務所などの窓口で、相談してみるとよいでしょう。
うつ病になったら補償を受けながらゆっくり休養を
うつ病など、精神疾患によって働けなくなったときには、年収に関係なく一時的な休業を補償する傷病手当金や休業補償給付をはじめ、さまざまな補償・支援制度があります。
働けなくなるとどうしても焦る気持ちが生まれますが、まずはゆっくり療養して心身の状態を整えることが最優先です。利用できる制度があればフルに活用し、安心して休養できる環境を整えましょう。
出典
病気やケガで会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
厚生労働省「精神障害の労災認定」
休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続|厚生労働省
(休業(補償)等給付について)
自立支援医療(精神通院医療)について 東京都福祉保健局
ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
障害等級表|日本年金機構
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員