更新日: 2021.12.23 年収

年収1000万円、単身・片働き・共働き世帯別の可処分所得はいくら?

年収1000万円、単身・片働き・共働き世帯別の可処分所得はいくら?
年収に対して可処分所得がどれほどなのかを、詳細に把握していないご家庭もあるのではないでしょうか。年収から税金や社会保険料を差し引いたものが可処分所得ですが、額面に対してかなり目減りするケースも少なくありません。
 
ここでは、年収1000万円世帯の可処分所得をケース別に算出し、比較します。年収に対して可処分所得がどのくらいになるのか、具体的にイメージしてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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世帯年収1000万円の可処分所得はいくら?

可処分所得は、年収から税金や社会保険料を差し引いて計算します。一般的な会社員の場合、年収から次のものを除いた金額が、可処分所得です。


・所得税
・住民税
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料

以下で、世帯年収1000万円世帯を単身世帯、片働き世帯、共働き世帯に分けて、収入から引かれる項目ごとの金額と、可処分所得を比べてみましょう。共通条件を以下のように設定します。
 

《条件》

・世帯主および配偶者は30代
・東京都在住
・収入は給与所得のみ
・賞与は考慮しない
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除以外考慮しない

 

単身世帯の場合

世帯年収1000万円の単身世帯にかかる税金、社会保険料のおおよその金額は、それぞれ図表1のとおりです。
 
【図表1】

所得税 約84万円
住民税 約64万円
健康保険料 約49万円
厚生年金保険料 約71万円
雇用保険料 約3万円
合計 271万円

 
税額と社会保険料額の合計約271万円を年収1000万円から差し引いた約729万円が、年収1000万円、単身世帯の人の可処分所得です。ただし、40歳以上になって介護保険の徴収が始まったり、住宅ローン控除などの税額控除の適用があったりすると、この数字は増減する可能性があります。
 

片働き世帯の場合

同じく1人で年収1000万円を稼ぐ場合でも、配偶者や子どもがいると、税額の計算時に配偶者控除や扶養控除が適用されるため、単身世帯よりも所得税・住民税が安くなります。そのため、可処分所得も単身世帯と比べて多くなる傾向です。
 
夫婦のみの世帯では、税金、社会保険料のおおよその金額は、それぞれ図表2のようになります。
 
【図表2】

所得税 約76万円
住民税 約61万円
健康保険料 約49万円
厚生年金保険料 約71万円
雇用保険料 約3万円
合計 260万円

 
可処分所得はおよそ740万円と、配偶者がいない場合と比べて10万円程度多い計算です。夫婦と19歳の子の世帯では、図表3のように数字が変化します。
 
【図表3】

所得税 約64万円
住民税 約57万円
健康保険料 約49万円
厚生年金保険料 約71万円
雇用保険料 約3万円
合計 244万円

 
可処分所得はおよそ756万円と、単身世帯より20万円以上多い計算です。16歳以上の子どもなど扶養親族が増えれば、扶養控除の額が増え、可処分所得の金額はさらに上がります。
 

共働き世帯の場合

まずは、夫:年収700万円、妻:年収300万円の場合について考えましょう。このケースでは、夫婦それぞれに税金や社会保険料が発生します。項目ごとの金額は、図表4のとおりです。
 
【図表4】

所得税 約31万円 約5万円
住民税 約38万円 約12万円
健康保険料 約35万円 約15万円
厚生年金保険料 約65万円 約29万円
雇用保険料 約2万円 約1万円
合計 約171万円 約62万円

 
世帯年収から引かれる税金・社会保険料は夫婦合計約233万円となります。可処分所得はおよそ767万円です。次に夫が年収900万円、妻が扶養内の年収100万円のケースをみてみましょう。夫の給与から引かれる税金や社会保険料は図表5のようになります。
 
【図表5】

所得税 約57万円
住民税 約52万円
健康保険料 約44万円
厚生年金保険料 約71万円
雇用保険料 約3万円
合計 227万円

 
このケースの可処分所得は、およそ773万円です。なお、このケースでは妻の所得税・住民税ともに考慮していませんが、扶養内であっても年収100万円前後になると、住んでいる自治体によっては住民税がかかることがあります。
 
   

年収1000万円世帯は年収500万円世帯と比べて家計に余裕がある?

年収1000万円の片働き夫婦+19歳の子の世帯の可処分所得は、計算の結果およそ756万円でした。 一方、年収500万円の同様の世帯について計算すると、可処分所得は約406万円です。つまり年収が倍になっても、可処分所得が倍になるわけではありません。
 
また、年収1000万円になると児童手当や高等学校就学支援金などの公的な給付の制限を受けるケースが多いという問題もあります。年収500万円の世帯と比べて、支出に対する厚い備えが必要となるでしょう。
 
家族構成などにもよりますが、年収1000万円世帯の家計は年収500万円の世帯と比べて、額面の差ほどの余裕はないといえそうです。
 
  

年収1000万円の可処分所得は額面から想像するよりも少ない

年収1000万円というとかなり裕福な世帯という印象がありますが、可処分所得は額面の7割強~8割弱です。ここから2割ほどを貯蓄に回し、住居費が2~3割、その他固定費が……と、考えていくと、使い道が自由になるお金は意外と多くありません。
 
1000万円という額面に惑わされず、世帯の可処分所得を把握したうえで、収支のバランスのとれた家計を目指すことが大切です。
 
出典
全国健康保険協会「令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
厚生労働省「令和3年度の雇用保険料率について」
個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局
No.1410 給与所得控除|国税庁
No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
No.1199 基礎控除|国税庁
No.1191 配偶者控除|国税庁
No.1410 給与所得控除|国税庁
No.1180 扶養控除|国税庁
児童手当Q&A: 子ども・子育て本部 – 内閣府
文部科学省「高等学校等就学支援金」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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