更新日: 2021.12.20 年収

年収1000万円の可処分所得。単身・片働き・共働きで比べると、どれくらいの差が生まれる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

年収1000万円の可処分所得。単身・片働き・共働きで比べると、どれくらいの差が生まれる?
単に「年収」という場合と「世帯年収」という場合の違いを、意識していない人も多いでしょう。年収と世帯年収では、額面は同じでもさまざまな違いがあります。可処分所得もその1つです。
 
ここでは、年収1000万円と世帯年収1000万円の違いを、ケース別に試算し比較します。年収・世帯年収の違いや、可処分所得の差について、具体的なイメージをつかんでください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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可処分所得はどうやって決まる?

可処分所得とは、給与などの総支給額から所得税・住民税や、健康保険・介護保険、厚生年金保険、雇用保険などの保険料(社会保険料)を除いたあとの金額をいいます。
 
同じ年収でも、世帯の人員構成や夫婦の所得の割合などによって、可処分所得は異なります。住民税や所得税の計算に用いる課税所得は、所得額から所得控除額を引いて求めます。主な所得控除は図表1のとおりです。
 
【図表1】

基礎控除 最大48万円
配偶者控除 最大38万円
配偶者特別控除 最大38万円
扶養控除 最大63万円
社会保険料控除 前年中に納めた社会保険料の額

 
扶養家族の有無など個々の事情によって適用される控除額が変わるため、それに応じて税額が変化します。また、課税所得によって適用される所得税率も図表2のように変わります。
 
【図表2】

課税所得金額 税率 控除額
194万9000円まで 5% 0円
329万9000円まで 10% 9万7500円
694万9000円まで 20% 42万7500円

※所得税の速算表より抜粋
 
また、健康保険・介護保険料、厚生年金保険料の計算には、給与などの支給額を区切りよく等級に分けた「標準報酬月額」を用います。夫婦の年収の内訳によってそれぞれに適用される等級が変わるため、夫婦の保険料額の合計は必ずしも同じにはなりません。
 

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家族構成や世帯の収入の内訳で可処分所得はどう変わる?

家族構成や世帯の収入の内訳によって可処分所得がどう変わるのか、年収1000万円の単身世帯と、世帯年収1000万円の片働き家庭、共働き家庭を例に、具体的な金額を比べてみましょう。
 
共通条件を、次のように設定します。


・世帯主・配偶者は40代
・所得は給与所得のみ、賞与なしと仮定
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除のみ

 

単身世帯で年収1000万円の場合

単身世帯で年収1000万円の人の場合、配偶者控除や扶養控除は適用されません。そのため、片働きの夫婦や子どもがいる世帯と比べて、課税所得額が大きい傾向にあるのが特徴です。
 
このケースの所得税・住民税額および社会保険料額は、図表3のようになります。
 
【図表3】

所得税 約82万円
住民税 約64万円
健康保険・介護保険料 約58万円
厚生年金保険料 約71万円
雇用保険料 約3万円
合計 約278万円

 
可処分所得は1000万円-278万円=約722万円です。
 

世帯主のみが働いていて世帯年収1000万円の場合

世帯主が年収1000万円で、配偶者と16歳の子どもが1人いる世帯ではどうでしょうか。
 
このケースでは配偶者控除38万円(住民税33万円)、扶養控除38万円(同33万円)が適用されるため、単身世帯と比べて課税所得が76万円(同66万円)少なくなります。それにともない、所得税額・住民税額が図表4のように変化します。
 
【図表4】

所得税 約67万円
住民税 約57万円
健康保険・介護保険料 約58万円
厚生年金保険料 約71万円
雇用保険料 約3万円
合計 約256万円

 
単身世帯と比べて、所得税が約15万円、住民税が約7万円低い計算です。可処分所得は22万円多い約744万円となります。
 

夫婦共働きで世帯年収1000万円の場合

夫:年収600万円、妻:年収400万円の共働き世帯についてみてみましょう。共働き世帯の場合、夫婦それぞれの年収から税金、社会保険料を引いた手取り額を合算した金額が、世帯の可処分所得です。
 
【図表5】

所得税 約20万円 約8万円
住民税 約31万円 約18万円
健康保険・介護保険料 約35万円 約24万円
厚生年金保険料 約55万円 約37万円
雇用保険料 約2万円 約1万円
合計 約143万円 約88万円

 
このケースの可処分所得は約769万円で、単身世帯、片働き世帯よりも多くなります。
 
    

世帯年収1000万円のほうが可処分所得が多い傾向

可処分所得の計算にはさまざまな条件が影響するため、年収1000万円と世帯年収1000万円で単純に比較はできません。
 
しかし、配偶者控除や扶養控除、所得税率などの関係で、年収1000万円を稼ぐ単身者よりも、世帯年収1000万円のほうが、可処分所得が多くなりやすい傾向にあります。夫婦で働き方を検討する際などには、可処分所得がどう変化するかも、判断材料の1つになるかもしれません。
 
出典
全国健康保険協会「令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
厚生労働省「令和3年度の雇用保険料率について」
個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局
No.1410 給与所得控除|国税庁
No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
No.1199 基礎控除|国税庁
No.1191 配偶者控除|国税庁
No.1410 給与所得控除|国税庁
No.1180 扶養控除|国税庁
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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