更新日: 2021.12.22 年収
年収700万円と年収1000万円、年金の受給額はいくら違う?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年収700万円と1000万円、受け取れる年金は?
年収が700万円でも1000万円でも、加入する公的年金に変わりはありません。20歳以上60歳未満の全ての方が国民年金に加入し、会社員などであれば上乗せする形で厚生年金に加入します。
シミュレーションの条件
今回の年金額のシミュレーションは、年収による違いを確認するため、以下の条件で簡易的に行います。
●2021年11月時点で40歳の男性で、65歳から年金を受給
●20歳から国民年金、22歳から60歳まで厚生年金に加入して就業
●定年まで一定の年収(700万円と1000万円)と仮定
●国民年金の支給額は令和3年度の満額(78万900円)で計算
●三井住友銀行ホームページの「年金試算シミュレーション」を使用
年収700万円の方が将来受け取れる年金額
年収700万円の方が将来受け取れる年金額は、国民年金が月約6万5000円、厚生年金が月約11万7000円、合計で1ヶ月当たり約18万2000円です。
年収1000万円の方が将来受け取れる年金額
年収1000万円の方が将来受け取れる年金額は、国民年金が月約6万5000円、厚生年金が月約12万7000円、合計で1ヶ月当たり約19万2000円です。
年収700万円と1000万円で差が出た理由は?
年収700万円と1000万円で、1ヶ月当たりの年金額に約1万円の差が出た理由は厚生年金にあります。
国民年金は収入に関係なく月額6万5075円なので差がつきませんが、厚生年金には定額部分と報酬比例部分があり、このうち報酬比例部分が、厚生年金に加入している期間に支払ってきた保険料の額に比例するからです。
厚生年金の保険料には上限額があるものの、基本的に年収が高ければ高いほど保険料も高額なります。そのため、年収700万円より1000万円の方が将来の年金額が多いという結果になったのです。
ただし今回の計算結果は、あくまでも特定の条件で簡易的にシミュレーションしたものです。年収700万円と1000万円で比較すると、必ず年金額に月1万円の差がでるというわけではありません。
自営業者の場合の年金は?
自営業者など厚生年金に加入していない方の場合、将来の年金は国民年金のみとなり、年金額は年収に関係なく保険料納付済月数に応じて満額で月6万5075円です。
そのため、年収1000万円でも60歳の時点で国民年金の保険料の滞納分がある方と、年収700万円で全加入期間(480月)の保険料を納付している方では、年収700万円の方が年金額は多くなります。
将来の年金額が少ないと感じたときは?
将来受け取る年金額を増やしたいと考えた場合、60歳以降も厚生年金に加入して就労したり、国民年金に任意加入する、過去に猶予されていた国民年金の保険料がある方は追納をするといった方法があります。
また、勤務先に選択制の企業型確定拠出年金の制度があれば、そちらに加入することもおすすめです。そのほかにも老後への備えとして、iDeCo(個人型確定拠出年金)、つみたてNISA(少額での長期・積立・分散投資を支援する投資非課税制度)による資産形成を実施している人もいらっしゃいます。
将来の年金だけでは老後資金が不足すると感じたときは、できるだけ早いうちに何らかの対策を始めてください。
まとめ
今回の条件でのシミュレーションでは、厚生年金に加入していれば年収700万円で月額約18万2000円、年収1000万円では月額約19万2000円と、将来受け取る年金額に約1万円の差が出る結果となりました。年収の違いが将来の年金にどう表れてくるのか気になる方の一助となり、老後資金について考えるきっかけにもなればと思います。
出典
三井住友銀行 年金試算シミュレーション
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
執筆者:柘植輝
行政書士