更新日: 2021.12.23 年収
厚生年金保険料の給与ごとの違い。最も高い保険料を払っている人の年収はいくら?
では、最も高い等級で厚生年金の保険料を払っている方は、どれくらいの金額を払っているのでしょうか。その場合、どれくらいの年収になるのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金の保険料はどう決まる?
厚生年金の保険料の決まり方について簡単に説明すると、毎年4月から6月の平均給与を基に報酬月額、ならびに標準報酬月額を決定し、さらにその標準報酬月額を厚生年金保険料額表の等級に当てはめることで簡単に算出できます。
例えば、4月、5月、6月の給与の平均が25万円だった場合、厚生年金保険料額表の16等級に該当して、本人の支払う保険料は2万1960円ということになります。このように基本的に給与の高い人ほど保険料が高くなっていく仕組みになっています。
詳細については日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)をご参照ください。
しかし、中には4月から6月の間にたまたま残業が多かったり、閑散期や繁忙期と重なるなどして、ある人と自分の年収を比較したときに同じくらい、あるいは自分より年収が低いのに、保険料はある人の方が高いといったことも起こり得る点にはご注意ください。
なお、厚生年金保険料は賞与にもかかります。賞与にかかる厚生年金保険料は標準賞与(税引き前賞与から1000円未満を切り捨てたもの)に18.3%の保険料率をかけて算出します。
厚生年金保険料の上限と下限は?
厚生年金の保険料の等級は1等級から32等級まであります。32等級となると、報酬月額は63万5000円以上、つまり、少なくとも4月から6月の3ヶ月間の毎月の平均で63万5000円以上の給与を得ていると想定されます。
逆に最も等級が低い1等級ですと、報酬月額が9万3000円未満となるため、毎月の平均が9万3000円未満で、年収が高くても111万6000円と扶養内のパート主婦より少々高い程度だと想定されます。
そして、この場合の毎月の保険料は上限である5万9475円となります。年間では少なくとも71万3700円の保険料を払っていることになります。
賞与にも保険料の上限が定められており、標準賞与が150万円を超えると150万円とされます。この場合、150万円×18.3%で1回賞与を受けるごとに27万4500円を支払っていることになります。賞与が年2回あれば、年間で54万9000円支払っていることになります。
最も高い保険料を払っている人の給与・年収はどれくらい?
最も高い保険料を払っている人(報酬月額63万5000円以上で32等級に該当すると想定)の給与は少なくとも毎月63万5000円以上受け取っていると想定され、毎月の給与のみで年収762万円以上稼いでいることが想定されます。
さらに、賞与について1回150万円、年2回支給されるものとして考慮すると、1062万円以上の年収を有していると想定されます。
しかし、これはあくまで最も高い保険料を支払っている人の下限給与・年収の想定です。人によっては毎月100万円以上の給与を得ていたり、年収2000万円以上となる場合もあります。
厚生年金は32等級まで年収に比例して高くなる
厚生年金の保険料は1等級から32等級まであり、給与や年収が高ければ高いほど年間の保険料の支払額も高くなります。
最も高い保険料を支払っている場合、少なくとも年収762万円~1062万円程度は稼いでいることが想定されます。これを機に、一度自分の給与と毎月の厚生年金の保険料を確認し、厚生年金の保険料について理解を深めてみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:柘植輝
行政書士