更新日: 2022.01.11 年収
年収1000万円の手取りが年々下がってきているって本当? 10年前と比較してみました
本記事では、年収1000万円の手取り額が10年間でどれくらい変わっているのかを紹介します。手取り額が減る主な原因も解説していますので、この記事をきっかけに年収の正しい仕組みを理解しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
額面と手取りの違い
年収1000万円は、「額面年収」といわれるものです。「額面」とは、会社から支払われる給与の合計額であり、給与明細の「総支給金額」の欄に書かれています。
基本給以外にも、残業手当や通勤手当などがあり、給与明細ではそれぞれの項目ごとに金額を確認できます。
「総支給金額」から、税金や社会保険料などが控除された金額が「手取り額」であり、給与明細では「差引支給額」などと記載されています。
給料日に振り込まれている金額が「手取り額」ですが、何がいくらくらい控除されているのかを把握している人は、意外にも少ないものです。手元に給与明細がある人は、ぜひ一度確認してみてください。
年収1000万円の手取り額は10年間でどれくらい変わっている?
社会保険料の負担や増税などの理由により、10年間で手取り額にどれくらいの変化をもたらしているのでしょうか。
10年前と比べた場合の、現在のおおよその手取り額の変化を見ていきましょう。年収ごとに、いくらくらい手取り額が減っているのかが分かるように、年収500万円・年収1000万円・年収1500万円で比較してみました。
●年収500万円:▼11万5096円
●年収1000万円:▼20万6000円
●年収1500万円:▼54万6900円
年収1000万円の手取り額は、10年間で20万6000円も減っていることが分かります。年収500万円との差は9万904円ですが、年収1500万円とは約34万900円も変わります。つまり、高所得者ほど、手取り額が大きく減少している訳です。
手取り額が減る主な原因
10年間で年収1000万円の人の手取り額は、20万6000円も減っています。では、10年間で何が変わったのか、手取り額が減る主な原因について見ていきましょう。
これから先、さらに手取り額が減る可能性もあります。日本の社会保険料制度や控除について、正しい知識を身につけましょう。
社会保険料の総報酬制
社会保険料の総報酬制とは、厚生年金保険料を毎月の給与だけではなく、ボーナスからも同一の保険料率で徴収し、給付にも反映させる考え方です。
平成16年度から、厚生年金保険料は月給とボーナスの両方に対して「13.58%」が課せられるようになりました。そこから、毎年「0.354%」ずつ引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引き上げは終了し、現在は「18.3%」で固定されています。
配偶者特別控除の一部廃止
平成29年度の税制改正により、配偶者控除・配偶者特別控除の控除額等が改正されました。それにより、配偶者だけではなく、控除を受ける人自身の所得要件が追加され、合計所得金額が1000万円を超える人は控除が受けられなくなりました。
配偶者特別控除は、段階的に控除額が変わります。もっとも多い38万円の控除が受けられる人は、配偶者の合計所得金額が48万円超95万円以下、控除を受ける人自身の合計所得金額は900万円以下の人です。
合計所得金額が1000万円を超える人は、配偶者特別控除が受けられなくなったため、それまで控除を受けていた人は手取り額が大きく減ったと考えられます。
定率減税の廃止
定率減税とは、市県民税(住民税)と所得税の税額を一定の割合で減額する制度のことです。景気対策のために導入されていましたが、2007年に廃止されました。
廃止により減額されなくなった市県民税と所得税は高くなるため、手取り額に影響しています。
年収1000万円の手取り額は10年間で20万6000円減少している
年収1000万円の手取り額は、10年間で20万6000円も減っています。手取り額が減る原因には、社会保険料の総報酬制や配偶者特別控除の一部廃止、定率減税の廃止などがあります。
年収1000万円は今回紹介した制度以外でも、控除の対象外になるケースが多いため、今後も手取り額が減り続けるのか、気を付ける必要があるでしょう。
出典
日本年金機構 総報酬制
国税庁 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員