家賃補助は年収に含まれる? 会社の手当と税金の関係とは?

配信日: 2022.01.31

この記事は約 5 分で読めます。
家賃補助は年収に含まれる? 会社の手当と税金の関係とは?
会社から受け取る給料のうち、基本給以外に家賃補助、または住宅手当の名目で手当がついている方もいるのではないでしょうか。この家賃補助は所得税の計算のもととなる年収に含まれるのか、それとも非課税なのか、気になるところです。
 
家賃補助や住宅手当を始めとした会社の手当てと、税金の関係について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

家賃補助は年収に含まれる?所得税はかかる?

会社に雇用されて働いている人が毎月の給料を受け取る際には、社員・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、一般的に会社側が月給の総額から所得税を差し引いて支給しています。
 
会社側が本人に代わって国に所得税を納付する制度を「源泉徴収制度」といい、月々の納付と、年末に控除額などを差し引く年末調整を行うことで、個人が確定申告を行わなくても済むのです。
 
基本給以外の手当てについても年収に含まれ、所得税の対象になるのでしょうか。賃貸の家賃の一部を会社が負担してくれる家賃補助や、持ち家の住宅ローンにも使える住宅手当など、住居に関する補助や手当てが支給された場合は、どのように考えればいいのでしょう。
 
実は、会社が雇用している人に支給する手当は、原則として給与所得とみなされるため、家賃補助や住宅手当も所得税の対象になります。
 

会社の手当と税金の関係とは?

会社から支給される手当は、原則として給与所得となることがわかりました。家賃補助や住宅手当以外にも、残業手当や休日出勤手当のほか、職務手当や地域手当、家族手当なども給与所得となります。
 
一部に例外があり、給与所得にならず所得税の課税対象にならないのは、一定金額以下の通勤手当や、転勤や出張にかかる旅費のうち必要分と認められるもの、一定金額以下の宿直・日直の手当などです。
 

・手当にかかる所得税はどれくらい?

年収に含まれる手当から、どれくらいの税金が引かれるかは、手当の金額だけで計算はできません。所得税の額は、1年間の「所得」=「収入から控除額などを差し引いた金額」に応じて決まる税率をもとにして計算するからです。
 
例えば、所得が195万円から329万9000円までの場合は、所得税率が10%となり、控除額として決まっている9万7500円を引いた額が所得税額になります。年間所得が300万円の場合、所得税率10%をかけた30万円から、控除額9万7500円を引いた「20万2500円」を所得税として払う必要があるのです。
 
年間所得が300万円の人が、家賃補助を含めて会社からもらう手当の総額が毎月3万円だとすると、3万円×12ケ月=36万円で、合計所得は336万円となります。
 
所得金額が330万円を超える場合には、所得税率が20%に上がるため、336万円に所得税率20%をかけた67万2000円から控除額として決まっている42万7500円を引いた、「24万4500円」が所得税の支払額です。このように、手当の金額によっては所得税の税率が変わる場合もあります。
 

寮や社宅に住んでいる場合は?

家賃補助や住宅手当のように、給料にプラスして支給されるわけではありませんが、同じように住宅関係の福利厚生として考えられる寮や社宅は課税されるのでしょうか。
 
これには、「現物給与」という税金の考え方が関わってきます。
 
給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、土地・家屋などを無償または低い対価で貸し付けることで経済的利益がある場合は給与所得とみなされる、という税法上の考え方です。
 
給与所得とみなされないためには、会社側が雇用した人に寮や社宅を貸すにあたって、一定額の家賃以上を受け取っている必要があります。
 

・給与所得とみなされない「一定額の家賃以上」とは?

一定額の家賃以上とは、各物件の土地や建物の固定資産税などから計算する「賃貸料相当額」の50%以上です。
 
例えばこの「賃貸料相当額」が1万円だった場合に、寮費や社宅費が無料で住んでいるなら全額の1万円が給与所得とみなされて、毎月の所得に加算されます。
 
同様に、寮費や社宅費が3000円の場合は、「賃貸料相当額」50%以下の金額のため、差額の7000円も給与所得とみなされるのです。しかし、寮費や社宅費が6000円の場合は、50%以上の金額を支払っているため、差額の4000円は給与所得とみなされず、課税もされません。
 
このように、寮や社宅を借りる場合は、「賃貸料相当額」の50%以上を支払えば、残りの金額については課税されずに割安に住むことが可能です。非課税で家賃の補助を受けるのと、同様のメリットがあるといえるのではないでしょうか。
 
ただし、寮や社宅は会社が用意する物件のため、一般の賃貸のように自分の好きな部屋を選んで住むのは難しいでしょう。寮や社宅に住むか、一般の賃貸に住んで家賃補助を受けるか、会社の福利厚生もさまざまです。福利厚生が選べる会社であれば、手当と課税額の差を考えて選ぶのも、ひとつの方法といえるでしょう。
 

手当と税金の関係について知っておこう

会社から受け取るさまざまな手当は、家賃補助を始め、ほとんどが給与所得として年収に含まれ、課税対象となります。手当が多くついて喜んでいると、支払う税金が増えていた、ということもあるでしょう。
 
会社からの福利厚生の中には、寮や社宅など課税対象にならない制度もあります。手当を始めとした福利厚生についてよく知ることで、税金を引かれたあとの手取り年収を、賢く増やしたいものです。
 
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より「給与所得となるもの」、手当と現物給与
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より「所得税の税率」
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より「年末調整のしかた」
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より「使用人に社宅や寮などを貸したとき」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集