更新日: 2022.02.01 年収

年収の昔と今の違い。30年前は今より高かった?

年収の昔と今の違い。30年前は今より高かった?
日本の労働者の給与は、ここ何年も増えていないといわれています。実際、政府の統計データから示される通り、30年前の給与に比べても低く抑えられた状態です。しかし、男女間の賃金格差は、徐々に縮まってきているという社会的な進歩もみられます。
 
そこで、長期間のデータから、日本の労働者に関するそれぞれの状況を見てみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

主要先進国の中で、なかなか伸びない日本の労働者の給与

日本と比較して主要先進国の労働者の給料は伸びており、日本はこの10年間で経済的にも置いてきぼりの状況になった、ともいわれています。実際、国税庁のウェブページで公開している「令和2年分民間給与実態統計調査結果」の長期時系列データから、日本の給与額平均の推移を見てみると、データのある昭和24年から平成10年までは、右肩上がりで金額が上昇を続けていました。
 
しかし、平成10年をピークにして、平成11年以降は平成21年までの約10年の間で、給与額平均が徐々に減少していきます。その後の平成22年から令和2年までの約10年の間では、緩やかな傾きではありますが、労働者の給与額平均はわずかに増加またはほぼ横ばいの状態が続いているのです。
 
さて、バブル経済が最高潮を迎えていた頃の平成3年の給与額平均と、新型コロナ感染症の影響で経済的な見通しがなかなか立たない令和2年の給与額平均とを比較してみると、令和2年の方が平成3年よりも20万円以上も減っていました。
 
「令和2年分民間給与実態統計調査結果」のデータから、平成3年の給与額平均はおよそ394万円となっているのに比べ、令和2年のそれはおよそ370万円となっています。実は、この30年間で日本の労働者全体の給与額平均は、増えずに減ってしまいました。
 
ただし、この10年ほどを見ると、「アベノミクス」や「骨太の成長戦略」などの影響により、再び労働者の給与額平均は、前年を上回り続けているという良い材料もあることがデータから分かります。
 
ちなみに、この30年間の日本の経済的な背景を見ると、平成5年頃のバブル景気の破綻により日本社会全体がかなりの痛手を被り、その後の「失われた10年」といわれる状況が続きました。
 
また平成20年には、「リーマンショック」といわれる世界規模の金融危機が発生し、日本経済も大きく打撃を受けます。これまで、右肩上がりだった労働者の年収の伸びにもストップがかかり、給与額平均が前年を割る状況が続くことになりました。
 

男女間の賃金の格差は時代が進むとともに変わったか

最近では、男女間の格差是正について、いろいろな取り組みが行われています。賃金格差があることについても、是正すべく企業含めて社会全体で取り組みが行われているのです。厚生労働省が公表している「令和2年賃金構造基本統計調査」の結果に、男性と女性、それぞれの賃金について年ごとのデータが示されていました。
 
データは昭和51年からあり、令和2年までの賃金の推移をみることができます。30年前の平成3年の男女間賃金格差の数字と令和2年の男女間賃金格差の数字とを比較すると、徐々にではありますが賃金差がなくなる方向に進んでいると読み取れるでしょう。また、女性の賃金に限ってみても、10年前の平成23年と令和2年との賃金を比較すると、明らかに増加していることが分かります。
 
実は同期間の男性の賃金の推移を見ると、微増あるいはほぼ横ばいの状態でした。女性の賃金が増えていくなかで、男性の賃金は伸びなかったことが分かります。ちなみに、この30年間の男女の賃金を比較しても、男性の増加分に対して、女性の方はおよそ2倍以上の伸びとなっていました。
 
これは、昨今の日本の社会変化のなかで女性の労働環境の変化や、労働環境における格差の是正などが進んでいることも影響していると考えられるでしょう。
 
この30年間の労働環境の変化をみると、1985年の男女雇用機会均等法の制定があり、施行後は雇用に関連して、男女平等に扱われるよう事業主に対して義務づけがされました。このことから、募集や採用、昇進などの面で、男女間に差がないように改善がすすめられてきたのです。
 
また、最近では企業内の管理職ポストに就く女性の割合も徐々に増えています。令和2年時点では、男女間の賃金にはまだ開きがある状態です。しかし、能力主義が日本でも浸透してきたことなどから、賃金の面においても男女間格差が是正されていく方向に進むものと考えられます。
 

日本の労働環境は日々変化している

長期間の統計データから、日本の労働者の給与額の推移について解説してきました。日本の労働者の給与は、バブル経済崩壊後の30年間は基本的に下落傾向が続いてきた状態でした。しかし、少なくとも男女間の賃金格差については、この10年間で徐々に小さくなっています。なかなか伸びない日本の労働者の給与の状況はありますが、日本の労働環境の変化は着々と進んでいる状況にあります。
 
出典
国税庁民間給与実態統計調査
国税庁民間給与実態統計調査 長期時系列データ
厚生労働省令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況
厚生労働省令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況 統計表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集