更新日: 2022.03.08 年収
年収を聞かれたら手取りと総支給額のどちらを答えればいい?
労働などで得たお金は、その違いによって収入・所得・手取り・総支給額など、呼び方が異なります。それぞれの違いを理解して正しく使えるようにしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「手取り」と「総支給額」の違い
総支給額や手取りの意味を正しく理解するために、先に収入と年収の違いを説明します。パートや正社員の給与、フリーランスの報酬、店舗売上など、売り上げや私財処分を問わず、得られた金銭は全て収入と呼ばれています。
対して年収とは、1年という限られた期間の中で得られた総収入のことです。なお、年収を12ヶ月で割ったものや、1カヶ月あたりの期間における総収入は、月収と呼ばれています。
・「手取り」の意味
しかし、収入や年収の全てが手元に残るお金にならないことは、社会人の方々ならすでに知っていることでしょう。税金や社会保険料などのお金がそこから差し引かれるからです。
「手取り」とは、さまざまなお金が差し引かれた後に、手元に残るお金のことを指します。差し引かれる額面は、税金(住民税・所得税等)、社会保険料(健康保険・公的年金等)などです。雇用関係にある者なら、雇用保険料や各種拠出年金だけでなく、慰労会用の積立金なども差し引かれる額面に含まれます。
・総支給額とは
会社員として給与を受けている場合、税金や社会保険料が除かれていない額面給与のことを「総支給額」と呼びます。総支給額は給与所得者にとって収入の全てです。そのため、年収は総支給額を指して使われるのが一般的です。なお、手取りと年収の違いを明らかにして、お金が差し引かれているかどうかをわかりやすくするために、総支給額を「額面年収」あるいは「税込年収」と呼ぶこともあります。
「所得」と「手取り」額は違う
手取りと同じように使われる言葉で「所得」というものがあります。この2つは同じ意味であると勘違いしている人も少なくありません。ですが、その意味は異なります。所得と手取り額はどのような点で違うのでしょうか。
所得とは収入から必要経費を差し引いた額面です。例えば、飲食店であるなら飲食物を提供して得た額面が収入で、そこから仕入れ費用などの必要経費を除いた額面が所得です。「年間所得」であるなら年収から必要経費を差し引いた額面となります。所得額は住民税や所得税に影響を与えるため、収益を表すほかの言葉と誤用しないように気を付けましょう。
ちなみに、給与から収入を得ている「給与所得」や、年金から収入を得ている「年金所得」は、必要経費を個別に計算しません。一定の式によって必要経費を計算します。このような必要経費は、それぞれ「給与所得控除」「公的年金等控除額」と呼ばれています。
「手取り額」と「総支給額」、年収を聞かれたらどちらを答えるべき?
上述の通り、一般的には年収を尋ねられた場合には「総支給額」を答えるようにしましょう。なお、会社勤めをしている人など、1ヶ所から給与を得ている給与取得者の場合、源泉徴収票に記載された支給額の額面が総支給額となります。
・手取り額で答えてしまう場合の注意点
就職や転職あるいは税務調査などで年収が尋ねられる理由は、年収から社会保障費や税金を算出するためです。そのため、手取り額で答えてしまうと、税金や社会保障費を正しく把握できません。
特に税申告において総支給額と手取り額を間違えてしまうと、所得を意図的に過小評価して、税を逃れようとしたとみられかねないので注意しましょう。より正確に手取りとは違う意味のお金であると説明したいのなら、伝えた額面が「額面年収」あるいは「税込年収」であると付け加えるとよいでしょう。
・求人募集票の年収には注意
年収は1年間の全ての収入と説明しましたが、求人票の年収表記には注意が必要です。例えば、求人票の年収に必ずボーナスが含まれているかどうかはわかりません。ボーナスは会社の業績や労働者の貢献度によっても支給額が大きく変化します。そのため、求人募集票の年収にまとめて表記することが難しく、年収から除外されて記載されている場合があるからです。
その支給額も会社ごとで自由に決めることができます。また、同じように残業時間も求人票の年収には含まれていない場合があります。求人募集に応募する際には、これらの諸手当が年収に含んで記載されているか、しっかりと確認をとるようにしましょう。
年収は一般的に総支給額を指す
手取りは総収入に対して、税金や公的年金あるいは積立金などを除いた額面のことを指します。総支給額は、給与所得者の額面給与のことです。一般的に、年収を尋ねられた場合は総支給額を答えるとよいでしょう。
ただし、求人票に書かれている年収には、ボーナスや残業代などが含まれていない場合があります。年収が総支給額の意味だとうのみにせず、必ず諸手当が年収に含まれているか確認するようにしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部