税負担が一気に上がるのは年収いくら以上? 損をしないための対策とは?
配信日: 2022.03.31
本記事では、所得税の累進課税制度とはどのような制度なのか、また税負担が一気に上がるのは本当に年収850万円以上なのかについてなどを詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
所得税の累進課税制度とは?
所得税は、個人の1年間の所得に対して課税される税金です。所得金額に応じて、7段階の税率が課せられます。
国税庁「No.2260 所得税の税率」より、所得税の速算表を見ていきましょう。
(表1)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円~194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円~329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円~694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円~899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円~1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円~3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
課税される所得金額が高くなれば、税率も高くなることがわかります。
日本の所得税は、「累進課税制度」が採用されています。累進課税制度とは、課税対象となる金額が一定額を超えた場合、その分に対してのみ高い税率がかかる制度です。所得税以外にも、相続税や贈与税にも累進課税制度は採用されています。
所得が給与のみの場合の所得税の計算方法は、以下を参考にしてください。
1.給与所得控除を計算する
2.社会保険料控除・配偶者控除・基礎控除など、控除される金額を計算する
3.給与から1・2の金額を差し引くと、「課税される所得金額」が算出できる
4.(表1)を確認し、「課税される所得金額」に「税率」をかけて、「控除額」を差し引く
上の4で計算された金額が、所得税の納税額です。
年収850万円超は税負担が一気に上がる?
2018年の税制改正により、2020年から年収850万円以上の給与所得者の所得税が増税になります。税制改正の大きなポイントは、「給与所得控除の改正」や「基礎控除の改正」があります。
この見出しでは、それぞれの制度について、控除額がいくらくらい変わったのかを詳しく解説します。年収850万円以上の給与所得者は、しっかりと確認していきましょう。
給与所得控除の改正
給与所得控除は、給与などの収入金額から、給与所得控除を差し引いて算出します。平成29年分から令和元年分の年収850万円の人の給与所得控除額は、下記を参考にしてください。
・660万1円~1000万円まで:収入金額×10%+120万円
しかし、令和2年度以降は、下記のように控除額が変わりました。
●660万1円~850万円まで:収入金額×10%+110万円
●850万1円~:195万円(上限)
年収850万円を超えた場合の控除額が、上限195万円となりました。
基礎控除の改正
基礎控除は、確定申告や年末調整で所得税額の計算をするときに、総所得金額から差し引ける控除です。2019年以前の基礎控除額は、一律38万円でしたが、現在年収2400万円以下の人の控除額は48万円と10万円増えています。
したがって、年収850万円以上の人は、基礎控除が10万円増えても、給与所得控除が10万円以上減るため、課税所得が増えて所得税が増える訳です。
税金で損しないための対策は?
税負担を増やさないためにも、年収850万円以上の人は意識して節税する必要があるでしょう。節税対策にはさまざまな方法がありますが、下記で挙げる方法がおすすめです。
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
●ふるさと納税
●つみたてNISA
iDeCoは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度の1つです。掛け金、運用益、給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が受けられます。原則として60歳まで給付が受け取れないため、老後資金を貯めたい人におすすめです。
ふるさと納税は、「納税」とありますが、自分の好きな都道府県や市区町村に「寄付」を行う制度です。原則として、自己負担額から2000円差し引いた額が控除されます。寄付をすれば、返礼品として自治体から特産品などがもらえます。
つみたてNISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。一般的には、投資で得た利益は「売買益」として約20%かかりますが、つみたてNISAならかかりません。ただし、新規投資額で毎年40万円まで、非課税投資枠は20年間で最大800万円と上限額が決まっています。
このほかにも、節税対策には多くのものがありますので、ぜひ自分にあった方法を見つけてみてください。
年収850万円以上の人は、意識して節税対策を行おう
2018年の税制改正により、2020年から年収850万円を超える人の税負担が増えました。その理由には、主に給与所得控除や基礎控除の改正などが挙げられます。基礎控除は10万円増えましたが、給与所得控除が10万円以上減ったため、結果として所得税が増える訳です。
税負担を少しでも軽くするためにも、節税対策は意識して行いたいものです。本記事を参考にして、ぜひ自分にあった節税対策を見つけてみてください。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
金融庁 つみたてNISAの概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員