更新日: 2022.03.31 年収
税負担が一気に上がるのは年収いくら以上? 損をしないための対策とは?
本記事では、所得税の累進課税制度とはどのような制度なのか、また税負担が一気に上がるのは本当に年収850万円以上なのかについてなどを詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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所得税の累進課税制度とは?
所得税は、個人の1年間の所得に対して課税される税金です。所得金額に応じて、7段階の税率が課せられます。
国税庁「No.2260 所得税の税率」より、所得税の速算表を見ていきましょう。
(表1)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円~194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円~329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円~694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円~899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円~1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円~3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
課税される所得金額が高くなれば、税率も高くなることがわかります。
日本の所得税は、「累進課税制度」が採用されています。累進課税制度とは、課税対象となる金額が一定額を超えた場合、その分に対してのみ高い税率がかかる制度です。所得税以外にも、相続税や贈与税にも累進課税制度は採用されています。
所得が給与のみの場合の所得税の計算方法は、以下を参考にしてください。
1.給与所得控除を計算する
2.社会保険料控除・配偶者控除・基礎控除など、控除される金額を計算する
3.給与から1・2の金額を差し引くと、「課税される所得金額」が算出できる
4.(表1)を確認し、「課税される所得金額」に「税率」をかけて、「控除額」を差し引く
上の4で計算された金額が、所得税の納税額です。
年収850万円超は税負担が一気に上がる?
2018年の税制改正により、2020年から年収850万円以上の給与所得者の所得税が増税になります。税制改正の大きなポイントは、「給与所得控除の改正」や「基礎控除の改正」があります。
この見出しでは、それぞれの制度について、控除額がいくらくらい変わったのかを詳しく解説します。年収850万円以上の給与所得者は、しっかりと確認していきましょう。
給与所得控除の改正
給与所得控除は、給与などの収入金額から、給与所得控除を差し引いて算出します。平成29年分から令和元年分の年収850万円の人の給与所得控除額は、下記を参考にしてください。
・660万1円~1000万円まで:収入金額×10%+120万円
しかし、令和2年度以降は、下記のように控除額が変わりました。
●660万1円~850万円まで:収入金額×10%+110万円
●850万1円~:195万円(上限)
年収850万円を超えた場合の控除額が、上限195万円となりました。
基礎控除の改正
基礎控除は、確定申告や年末調整で所得税額の計算をするときに、総所得金額から差し引ける控除です。2019年以前の基礎控除額は、一律38万円でしたが、現在年収2400万円以下の人の控除額は48万円と10万円増えています。
したがって、年収850万円以上の人は、基礎控除が10万円増えても、給与所得控除が10万円以上減るため、課税所得が増えて所得税が増える訳です。
税金で損しないための対策は?
税負担を増やさないためにも、年収850万円以上の人は意識して節税する必要があるでしょう。節税対策にはさまざまな方法がありますが、下記で挙げる方法がおすすめです。
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
●ふるさと納税
●つみたてNISA
iDeCoは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度の1つです。掛け金、運用益、給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が受けられます。原則として60歳まで給付が受け取れないため、老後資金を貯めたい人におすすめです。
ふるさと納税は、「納税」とありますが、自分の好きな都道府県や市区町村に「寄付」を行う制度です。原則として、自己負担額から2000円差し引いた額が控除されます。寄付をすれば、返礼品として自治体から特産品などがもらえます。
つみたてNISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。一般的には、投資で得た利益は「売買益」として約20%かかりますが、つみたてNISAならかかりません。ただし、新規投資額で毎年40万円まで、非課税投資枠は20年間で最大800万円と上限額が決まっています。
このほかにも、節税対策には多くのものがありますので、ぜひ自分にあった方法を見つけてみてください。
年収850万円以上の人は、意識して節税対策を行おう
2018年の税制改正により、2020年から年収850万円を超える人の税負担が増えました。その理由には、主に給与所得控除や基礎控除の改正などが挙げられます。基礎控除は10万円増えましたが、給与所得控除が10万円以上減ったため、結果として所得税が増える訳です。
税負担を少しでも軽くするためにも、節税対策は意識して行いたいものです。本記事を参考にして、ぜひ自分にあった節税対策を見つけてみてください。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
総務省 ふるさと納税ポータルサイト
金融庁 つみたてNISAの概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員