更新日: 2022.05.24 年収
年収の「5割しか」もらえない⁉ お得な年収って結局いくら?
これを踏まえると、お得な年収はいくらなのでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
高位所得者ほど収入には満足
累進課税制度が採用されている日本では、課税所得金額の低い人ほど税率は低くなり、課税所得金額が195万円以下だと5%です。
2014年の「消費生活に関するパネル調査」(公益財団法人家計経済研究所、慶應義塾大学経済研究所など)によると、低位所得者層、中位所得者層、高位所得者層の所得に対する満足度は、低位所得者層では80%以上が不満を覚えているのに対し、高位所得者層では80%近くが満足と回答しています。
2019年の厚生労働省の調査によると、日本の1世帯当たりの平均所得金額は552万3000円で、中央値は437万円です。また、54.4%もの人が「生活が苦しい」と感じており、子育て世帯だと60%以上にのぼります。平均所得金額に届かないと、生活に対する不満も多くなることがうかがえます。
年収が高いと社会保障への不満が出る
一方、年収が高くなるほど公的扶助など各種福祉手当を手厚く受けることができなくなります。
子育て世帯から不満が出ているのは児童手当の所得制限です。現行の制度でも所得制限は設けられていて、例えば年収100万円以下の配偶者と子ども2人を扶養している世帯主の所得制限限度額は736万円(収入額だと960万円)です。目安年収が960万円の世帯は2021年に行われた「子育て世帯への臨時特別給付」の制度からも外れたため不満の声があがりました。
2022年10月からはこれに加え、世帯主が所得制限上限額を超えている場合は児童手当がもらえなくなります。配偶者と子ども2人を扶養している場合だと1200万円ですが、前の年に子どもが生まれていない家庭だと1071万円です。かつて子どもを扶養している人が受けられた年少扶養控除は児童手当の前の、子ども手当ができた時代に廃止されていますし、保育料は世帯年収が多い人ほど高くなります。
さらに2020年の税制改正では「配偶者控除」や「配偶者特別控除」についても年収900万円を超えると減額となり、物価の高い都心部に住む人からは子育てがしづらくなるなどの声が出ています。同じ2020年の税制改正では、年収が2400万円を超えると「基礎控除」の額が減額され、2500万円を超えると「基礎控除」を受けられなくなりました。
年収が高すぎても満足度は下がる
内閣府が2019年に公表した「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書によると、総合主観満足度のポイントが最も高いのは、世帯年収が2000万円以上3000万円未満の層で、3000万円を超えると徐々に減っていきます。
年収1億円を超える人が感じる満足度は、年収500万円以上700万円未満の人よりやや高いものの、700万円以上1000万円未満の層よりは低くなりました。
この結果から世帯年収が3000万円までならば、世帯年収の高さに伴って満足度も上がることが分かります。
最も満足度を感じるのは2000万~3000万円
年収が上がるほど所得への満足度は高くなりますが、受けられる社会保障も少なくなるため不満の声も上がります。
最も満足度が高くなるのは2000万円以上3000万円未満の層ですが、3000万円を超えると満足度は徐々に減ります。年収があまりに高くなると「お得度」が感じにくくなるといえます。
出典
内閣府 政策統括官 「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書
慶應義塾大学経済研究所 消費生活に関するパネル調査 第21回記者発表資料
国税庁 所得税の税率
読売新聞オンライン 今年度からの住民税非課税世帯にも10万円給付へ…政府、緊急経済対策で
内閣府 子ども・子育て本部 児童手当Q&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー