更新日: 2022.05.25 年収

【物価上昇】お金の価値が下がるかも? 安全資産とリスク資産を解説!

【物価上昇】お金の価値が下がるかも? 安全資産とリスク資産を解説!
「最近いろいろな物が値上がりしている」と感じている人も多いのではないでしょうか。とくにガソリンなどエネルギー価格は高騰しています。物価が高くなっている今、将来のお金への不安も大きくなるでしょう。
 
私たちは資産を増やすために、お金を銀行に預貯金として預けます。しかし低金利が続いていることもあり、今は銀行に預貯金として預けても資産は増えません。家計の資産を形成する上で、資産には、安全資産とリスク資産の2種類があります。
 
本記事では、安全資産とリスク資産について解説します。資産管理の参考にしてみてください。
勝川みゆき

執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)

ファイナンシャルプランナー2級・AFP

安全資産、リスク資産とは?

安全資産とは、将来得られる収益が決まっている資産をいいます。無リスク資産とも呼ばれ、預けた元本が減るリスクが極めて低いものです。たとえば、普通預金や定期預金、日本国債(日本政府が発行する債権)、一部の貯蓄型保険などがあります。
 
リスク資産とは、将来得られる収益が決まっていない資産をいいます。元本も保障されないため、預けたお金が減ってしまうリスクがあります。たとえば、株や債券、投資信託などです。
 

物価でお金の価値が変わる

家計資産の多くを、安全資産といわれる預貯金や貯蓄型保険で形成している人は多いでしょう。日本銀行の2021年「資金循環の日米欧比較」によると、日本において家計の金融資産の54.3%が現金や預金、27.4%が保険・年金・定型保証で構成されています。米国やユーロエリアと比べると、日本は現金や預金の割合が多く、株式や投資信託の割合が少ないことがわかります。
 
しかし、物やサービスの価格が上がると、お金の価値は下がってしまいます。つまり、銀行の預貯金で貯めているお金は、物価が上昇すると、価値が下がってしまうのです。
 
たとえば、今欲しいと思っている車が100万円として、銀行の普通預金口座に100万円の貯金があるとします。今ならその貯金で車を買うことができます。しかし5年後、物価が上昇し100万円だった車が105万円になっていたとすると、普通預金に預けていた貯金は100万円のままで車を買うことはできません。
 
銀行の預金金利は、0.001%程度とほぼゼロに近く、預けていても利息でお金が増えることは期待できません。見た目には減っていないように見える預貯金も、物価が上昇すると、資産価値は下がってしまうということです。
 

物価の上昇に有効な資産

一般的に物価の上昇に有効な資産は、株式や不動産などです。株式は、企業の業績などにより価格が変動します。物価が上がり、物やサービスの値段が上がると、企業の収益も上がり株価も上昇傾向になります。
 
物価上昇により全ての企業の株価が上がるわけではありませんが、収益が出やすい企業に投資をすることで、物価上昇の有効な対策となるでしょう。
 
不動産は、現物資産ともいわれ、そのもの自体に価値があるため、価格が下がりにくいという性質があります。立地や築年数、物件の管理状況などにもよるため一概にはいえませんが、物価の上昇局面においては、物の価値が上がるため家賃や不動産価格も上がりやすい状況といえるでしょう。
 
物価が上昇しても、投資や不動産で物価上昇以上の利益が出ていれば、投資や不動産で築いた資産価値は下がりません。
 
投資信託は、多数の投資家から集めた資金を株式や不動産、債券などに分散投資し、得た利益を投資家に分配するしくみの金融商品をいいます。したがって、投資する商品によっては、物価の上昇時でも、高い利回り(投資金額に対する収益の割合)が期待できます。
 
2022年1月に公表された日本銀行の「経済・物価情勢の展望」によると、消費者物価は前年比上昇率1%程度の上昇率が続くと考えられています。さらに、日本銀行は「物価安定の目標」を前年比上昇率2%とし、実現に向け金融政策を続けています。このことから、物価は今後も上昇する可能性が高いと予想されます。
 

安全資産とリスク資産のバランスが大切

家計の資産形成において、安全資産とリスク資産をバランスよく持つことが重要です。物価の上昇に有効だから、高い利回りが期待できるからといって、資産の全部をリスク資産で持つことはおすすめできません。なぜなら、リスク資産には文字通りリスクがあるからです。期待できる収益率が大きいほど、リスクも大きくなります。
 
生活費と、緊急予備資金(不測の事態に備え用意しておくお金)、当面使わないが使う予定があるお金(住宅購入資金や教育費など)は安全資産でもち、それ以外のお金をリスク資産として投資するとよいでしょう。
 
リスク資産としては、NISAやiDeCoなど、国が税金を優遇してくれる制度もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本銀行 2021年8月「資金循環の日米欧比較」
日本銀行 2022年1月「経済・物価情勢の展望」
 
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP

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