更新日: 2022.05.26 年収
富裕層は日本に何%いるの? 純金融資産保有額に見る富裕層の増減
日本で富裕層が増えた理由について考えることで、目標としている生活水準を達成するための資産の振り向け方について、考え直すきっかけになるかもしれません。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
富裕層には5つの段階がある
株式会社野村総合研究所は「純金融資産保有額」という指標を用いて、あらゆる世帯を5つに分類しています。
純金融資産保有額とは、世帯が保有する預貯金や株式といった金融資産から、負債を差し引いた額です。
●超富裕層:純金融資産保有額が5億円以上
●富裕層:純金融資産保有額が1億円~5億円未満
●準富裕層:純金融資産保有額が5000万円~1億円未満
●アッパーマス層:純金融資産保有額が3000万円~5000万円未満
●マス層:純金融資産保有額が3000万円未満
この記事では、資産保有額が1億円以上、つまり「超富裕層」と「富裕層」の総称を広い意味での富裕層として捉えることにします。
総世帯の約2.4%が富裕層に該当
野村総合研究所が2020年に行った調査によると、「超富裕層」と「富裕層」は国内に133万世帯います。日本の全5583万世帯のうち、およそ2.4%が富裕層という計算になります。
「超富裕層」と「富裕層」の世帯数の推移は図表1の通りです。
図表1 *単位はすべて世帯
調査年 | 2005年 | 2007年 | 2009年 | 2011年 | 2013年 | 2015年 | 2017年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
超富裕層 | 5.2万 | 6.1万 | 5.0万 | 5.0万 | 5.4万 | 7.3万 | 8.4万 | 8.7万 |
富裕層 | 81.3万 | 84.2万 | 79.5万 | 76.0万 | 95.3万 | 114.4万 | 118.3万 | 124万 |
出典:株式会社野村総合研究所 ニュースリリース より筆者が作成
「超富裕層」と「富裕層」の世帯数は、2013年に増加ペースが加速しています。
この時期は、アベノミクスによって株式市場が上り調子を維持した期間と重なります。「準富裕層」や「アッパーマス層」が保有していた株式などの資産価値が高まり、富裕層の増加に結び付いたと考えられます。
富裕層の純金融資産保有額は333兆円
「超富裕層」と「富裕層」の保有額の推移をみると、富裕層世帯数の増加と同じように、いずれも2013年以降の増加が目立ちます。
図表2
調査年 | 2005年 | 2007年 | 2009年 | 2011年 | 2013年 | 2015年 | 2017年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
超富裕層 | 46兆円 | 65兆円 | 45兆円 | 44兆円 | 73兆円 | 75兆円 | 84兆円 | 97兆円 |
富裕層 | 167兆円 | 189兆円 | 150兆円 | 144兆円 | 168兆円 | 197兆円 | 215兆円 | 236兆円 |
出典:株式会社野村総合研究所 ニュースリリース より筆者が作成
富裕層の純金融資産保有額は上記2つの階層を合わせると333兆円に上ります。
富裕層は総世帯の約2.4%だが今後も増加するか注目
ここまでみてきた通り、富裕層の資産規模はその時々の株式市場の状況に大きく左右されます。
足元では景気後退の懸念も広がる中、今後も富裕層世帯数や純金融資産保有額が増加基調を維持するのかに注目が集まります。
出典
株式会社野村総合研究所 ニュースリリース 野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計
総務省統計局 令和2年国勢調査
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー