更新日: 2022.05.26 年収
資産を運用する人が増加! 世代別の資産運用
本記事では、どれくらいの人が投資などで資産を運用しているのか、投資を始める理由、さらに、年代別の資産運用の考え方をまとめました。資産運用を始める際の参考にしてみてください。
執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
金融資産についての考え方の変化
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2021年 総世帯)によると、株式を保有している人の割合は32.7%、投資信託を保有している人の割合は25.9%です。
預貯金を保有している人の割合が96.7%なので、預貯金での貯蓄と併用して、3割以上の人が株式や投資信託などのリスク資産(高い利回りを期待できるが、元本割れのリスクもある)を保有しているといえます。
さらに「家計の金融行動に関する世論調査」(2021年 二人以上世帯)では、金融資産を選択する際に重視することとして、安全性を重視している世帯が2019年には41.9%、2020年には37.2%、2021年には29.2%と減少傾向にあることが分かります。
代わりに、収益性を重視する世帯が、2019年には19.0%、2020年には22.0%、2021年には34.9%と増加しています。
また、元本割れを起こす可能性があるが、収益性が高いと見込まれる金融商品の保有についても、積極的に保有しようと思っている人や、一部は保有しようと思っている人の割合が増加。2020年には30.8%だったのに対し、2021年には49.6%となっており、リスク資産での運用に関心が高まっていることが分かります。
投資を始める人が増えている理由
銀行の預金金利が超低金利である
銀行にお金を預けていても、利息ではまったくといっていいほど増えません。なぜなら、大手銀行の普通預金の平均年利率は、0.001%だからです。
100万円預けたときの利息は1年間で10円であり、さらにそこから税金が引かれます。利息では増えないため、少しでも高い利回りでお金を運用し、お金を増やそうと考える人が増えているのです。
公的年金への不安
「将来どれくらいの年金を受け取ることができるのか」など、老後に不安を抱える人が増えているのではないでしょうか。
政府も、自助努力型(他を頼らず、自力を尽くして物事を成し遂げようとすること)の制度を利用した老後資金の準備を勧めており、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は税制の優遇が受けられます。
新型コロナの流行
収入が不安定になったり、社会への不安要素が高まったりする中で、自分で自分の生活を守るための意識が高まったと考えられます。
家計の資産の見直しを行った世帯も多く、コロナウイルスの流行による経済的不安が、資産の保有、または運用について考える機会になったのではないでしょうか。
ネット社会の発達
銀行などに行かなくても、インターネットで簡単に証券口座を開設することができる時代です。投資情報や運用状況なども簡単にみることができるため、投資を身近なものとして利用しやすくなったと考えられます。
資産運用の考え方
資産を運用するうえでの考え方は、世代によって変わります。
20代の若い世代
早くから将来に備えた資産を作っておくことは大切なことです。なぜなら、運用の期間は長い方が利益が出やすく、リスクを減らせるからです。
さらに、複利(利子にも、また利子がつくこと)の力でより大きな利益になる可能性が高まります。多少のリスクがある商品でも、運用期間でカバーすることができるでしょう。
例えば、債券と比べるとリスクは高くなりますがより高い利回りが期待できる、株式を中心とした投資信託に、挑戦してみてもよいでしょう。
30~40代の中間層
子どもの教育や住宅ローンの返済など、支出の多い時期ですが、収入はある程度安定する世代です。子どもの将来や自分の老後を考える時期でもあり、目を背けず現実と向き合い、将来のお金をしっかり準備する必要があります。
資産運用では、安全性を重視し商品を選ぶことが大切です。
例えば、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)など節税の効果を利用しながら、インデックス型(株価指数などのベンチマークと同じ値動きをめざす)の投資信託で運用するのがよいでしょう。
50~60代のセカンドライフに向けた世代
年金生活への不安もあり、ライフプランを見直す世代でしょう。この世代でとても大切なことは、安全性です。
充実したセカンドライフを送るためには、資産を取り崩しながら運用していく必要があります。まずは、自分の年金がどれくらいもらえるのか、資産がいくらあるのかを把握することが必要です。
そのうえで、今後必要となるお金、および緊急予備資金(不測の事態が起きた時に最低6ヶ月〜1年程度生活できるだけの預貯金)を準備し、余裕のあるお金で資産運用を始めることをおすすめします。
さらに運用商品も、元本割れのリスクが低く、安全性の高い投資信託を選ぶのがよいでしょう。
まとめ
平均寿命が伸びていることを考えると、昔のように、定年後は年金で生活し、足りない分は貯金を取り崩すということが、難しくなってきています。
寿命までに貯めた資産が底をつき、年金のみでは生活が苦しくなる場合があると予想されるからです。
資産運用の基本は、緊急予備資金として不測の事態が起きた時のためのお金を準備したうえで、余裕のあるお金を資産運用に回すということです。
少額から、将来のための資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
出典
一般社団法人投資信託協会 世代別資産運用の考え方
金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査2021年」 (二人以上世帯調査)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査2021年」(総世帯)
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP