更新日: 2022.05.31 年収
「年収300万円」地方なら豊かに暮らせる?固定費削減に可能性を見出す!
国税庁が毎年実施している「民間給与実態統計調査」によると、令和2年の給与所得者の年間給与が300万円を下回った人の割合は22.1%にのぼり、年収300万円での生活を余儀なくされる人が想像より多いことがわかります。
本記事では、年収300万円で独身生活を送るとき、都市部で平均的な支出の生活を送れるのか、さらに地方に移り各種節約を施すとどんな生活を送れるのかを考えるものです。
執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
年収300万円→手取りは240万円
最初に、年収300万円の場合、手取り金額がいくらになるのか確認しましょう。
独身で介護保険料を支払わない40歳以下であると仮定すると「240万円」ほどになります。改めて社会保険料、及び税金の重みを感じますね。240万円を12で割り戻すと月々使えるお金は20万円程度と、あまり余裕は感じられなさそうです。
社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り |
---|---|---|---|
44万7516円 | 5万5700円 | 10万9200円 | 238万7584円 |
年収300万円で「都市部での平均的な生活」を送る
次に支出を考えてみましょう。
総務省が毎年実施している家計調査の結果から独身勤労世帯の数値を抜き出しました。
食料 | 3万8410円 |
住居 | 6万8527円 |
光熱・水道 | 1万1358円 |
家具・家事用品 | 5687円 |
被服及び履物 | 4606円 |
保健医療 | 7625円 |
交通・通信 | 1万8819円 |
教育 | 7円 |
教養娯楽 | 1万7082円 |
その他の消費支出 | 2万9226円 |
合計 | 20万1347円 |
「住居」の項目は、都市間の違いや、会社からの補助が考慮されていない金額が入っているので、全国賃貸管理ビジネス協会が実施している「全国家賃動向 令和4年2月東京都/一部屋」の家賃6万8527円としました。すると、月々の支出は「20万1347円」との結果になりました。
毎月の手取り金額と同程度かわずかに上回っており、年収300万円では、東京都に住み平均的な支出の暮らしを送るのは困難だと思われます。
年収300万円で「地方に居住し節約を施す」
一方で、地方に居住し節約に励むとどんな生活が送れるのか見てみましょう。
筆者の生活圏内である大分県を例にすると、全国家賃管理ビジネス協会による全国家賃動向によると、月の平均的な家賃は4万1337円。住居費の差額分を差し引くだけでも生活費の合計額は17万4157円となり、毎月20万円の手取りだとしても2万5843円を貯蓄に回すことができそうです。
食料 | 3万8410円 |
住居 | 4万1337円 |
光熱・水道 | 1万1358円 |
家具・家事用品 | 5687円 |
被服及び履物 | 4606円 |
保健医療 | 7625円 |
交通・通信 | 1万8819円 |
教育 | 7円 |
教養娯楽 | 1万7082円 |
その他の消費支出 | 2万9226円 |
合計 | 17万4157円 |
格安SIMの利用や食費の削減、不要な保険の解約、内容の不明瞭なその他の支出を削るなど節約の幅を広げればさらに黒字の幅の拡大を図れます。
豊かな暮らしは年収300万円でも送れる!?
年収300万円で豊かな暮らしを送れるのか、独身の平均的な支出像から検討しました。
実際に使える手取りの金額は月々20万円ほどになり、東京で平均的な生活を送ると収入と支出が一致してしまい、豊かな生活を送るのは厳しそうです。一方で、地方に居住して住居費を抑えることで、年収300万円でも貯蓄を図り豊かな暮らしを送れる可能性が見られました。
コロナ禍でテレワークなど、会社に出社せずに収入を得る方法が普及し始めている現在、地方に居住して慎ましく生活するスタイルを検討してみてもよいのではないでしょうか。
出典
民間給与実態統計調査結果
総務省統計局 家計調査 令和3年度版
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士