更新日: 2022.08.17 年収

大学授業料無償化の影響で下がった!?大学職員の年収は?

大学授業料無償化の影響で下がった!?大学職員の年収は?
2020年4月1日から「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。それによって、要件を満たした学生は大学や短期大学などの授業を実質的に無償で受けられるようになっています。
 
しかし、無償化によって大学側で働く人たちの給料等に悪影響が出ないか不安になる人もいることでしょう。
 
そこで、大学で働く職員の給与事情について紹介していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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大学無償化は大学職員の給与に影響を与えない?

結論からいうと、大学無償化によって大学で働く職員の給与に悪影響が及ぶことは基本的にありません。なぜなら、高等教育の修学支援新制度の財源には税金(国・地方)が充てられているからです。
 
そもそも高等教育の修学支援新制度で支給される金額は、対象となる世帯の年収や大学の種類、通学方法などによって細分化されており、それぞれに上限額が決められています。例えば、最も手厚いサポートを受けられる住民税非課税世帯の第1区分の人が私立大学に通う場合、最高で入学金約26万円、授業料約70万円が支給される仕組みです。
 
各大学によって授業料や入学金は異なるため、もしも支給される以上の金額がかかる場合は、あくまでも自己負担となります。
 
無償化と聞くと、学生は一切のお金を支払わずに授業を受けられるというイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、実際には国に大学側へ支払うお金を肩代わりしてもらうと考えるとよいでしょう。そのため、大学側が入学金や授業料を受け取れず、経営的に苦しくなるという事態は起こらないわけです。
 
ただし、全ての大学等にこの制度が適用されているわけではありません。「実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学は124単位)の1割以上、配置されていること」「直近3カ年に連続して、在籍学生数が各校の収容定員の8割を上回っている」等の要件を満たしていない場合は学校名を公表の上、翌年度から国の支援対象を除外されます。
 

大学職員の給与状況


 
国立大学の職員給与については文部科学省が公表している「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の役職員の給与等の水準(令和3年度)の取りまとめ」が参考になります。同資料によると、事務・技術職員の平均年間給与は595万9000円(諸手当を除く)でした。
 
一方、私立大学の職員給与については、国立大学のような公的な資料はありません。しかし、2005年に日本私立学校振興・共済事業団が調査した際には、734万5000円というデータが残っています。東京6大学など、有名な私立大学では事務職員の平均年収が1000万円を超えるケースもあるなど、大学職員の給与は国立大学と私立大学で差があることが分かるでしょう。
 
国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与が433万円であったことから、国立大学の職員の給与も決して低いわけではありません。また、国立大学の職員は雇用が安定しているというメリットもあるでしょう。
 
とはいうものの、高収入を目指すのであれば、私立大学の職員として働くほうがベターです。私立大学の職員はとても人気のある仕事で、限られた人しか働けない職場ですが、それに見合う待遇が用意されているといえます。
 

大学職員は民間平均より高収入である点に変わりはない

国税庁の資料から大学職員の給与は民間の平均値よりも高いことが分かりました。特に私立大学の給与はかなり高く、年収1000万円以上を目指すのも夢ではないでしょう。
 
大学無償化によって給料が減るのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、大学経営に悪影響を及ぼす制度ではありません。大学職員はこれまでと同様に高収入が期待できる職業といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 国立大学法人及び大学共同利用機関法人の役職員の給与等の水準(令和 2 年度)の取りまとめ
文部科学省 独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和3年度)
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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