更新日: 2022.09.21 年収
年収の額面と手取りの差の正体とは?2022年10月から手取りが減る原因も解説
自分の額面年収と実際に受け取れる金額が違うことは知っていても、なぜ違うのか、要因を完璧に理解している方は少ないです。
本記事では、年収の額面と手取りが異なる理由を解説します。また、2022年10月から手取りが減る理由も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
額面と手取りの違い
まずは、額面と手取りの違いを解説します。
「額面」とは、会社が従業員に対して支払う給与全額を指します。一般的に「年収」とは、この「額面」のことを指します。
一方で、「手取り」とは実際に従業員が受け取る給与の金額です。
差額の正体は「税金」と「社会保険料」
額面と手取りの金額に差が生じるのは、「税金」と「社会保険料」が原因です。
会社は従業員の代わりに、税金や社会保険料を国や市区町村に納めています。
額面と手取りに差が生じるのは、会社が額面給与から、「税金」と「社会保険料」を差し引いた後の金額を従業員に支払っているからです。
「税金」は国や地方の維持・発展のため支払うお金
税金は国や地方の維持・発展のために、国民が強制的に支払うお金です。
税金には、消費税や酒税・たばこ税・自動車税などたくさんの税金がありますが、会社員の給与から差し引かれる税金は以下のとおりです。
●所得税
●復興特別所得税
●住民税
所得税
所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。所得が増えるほど、所得税も高くなります。
独身会社員の、年収ごとの所得税の目安は図表1のとおりです。
【図表1】
年収(額面) | 所得税の目安 |
---|---|
500万 | 約15万円 |
1000万 | 約85万円 |
2000万 | 約370万円 |
※筆者作成
復興特別所得税
復興特別所得税は、2011年に起きた東日本大震災の復興に必要な財源確保のために納める税金です。
所得税×2.1%が納税額で、2037年まで納税が必要です。
住民税
住民税は、居住している市区町村に対して納める税金です。
所得の約10%を納税します。「所得」とは年収からさまざまな控除をした後の金額です。年収の10%ではないので注意しましょう。
独身会社員の、年収ごとの住民税の目安は図表2のとおりです。
【図表2】
年収(額面) | 住民税の目安 |
---|---|
500万 | 約25万円 |
1000万 | 約65万円 |
2000万 | 約160万円 |
※筆者作成
「社会保険料」は社会保険に対する保険料
次に、社会保険料を解説します。社会保険とは、病気や失業・老後に備えるための保障です。
会社員が給与から差し引かれる社会保険料は以下のとおりです。
●健康保険料
●介護保険料
●厚生年金保険料
●雇用保険料
健康保険料・介護保険料
健康保険は、病気やけがに備える保険です。病気やけがをした際に、病院で支払う医療費が一部負担になります。会社員の多くは治療費の3割のみを負担していて、残りの7割は保険金で賄われています。
また、毎月の治療費にも上限がかかります。さらに、けがや病気で働けなくなった際には、最大で1年6ヶ月、生活のための手当金が支払われます。
40歳未満の独身会社員の、年収ごとの健康保険料の目安は図表3のとおりです。
【図表3】
年収(額面) | 健康保険料の目安 |
---|---|
500万 | 約25万円 |
1000万 | 約50万円 |
2000万 | 約80万円 |
※筆者作成
介護保険は、介護が必要な高齢者を社会全体でサポートするための仕組みを支える保険です。なお、介護保険料の負担は40歳から始まり、健康保険料の一部として徴収されます。
厚生年金保険料
厚生年金は、毎月年金保険料を支払って、原則65歳から年金を受け取る制度です。厚生年金保険料を多く納めるほど、受け取る年金も多額になります。
独身会社員の、年収ごとの厚生年金保険料の目安は図表4のとおりです。
【図表4】
年収(額面) | 厚生年金保険料の目安 |
---|---|
500万 | 約25万円 |
1000万 | 約70万円 |
2000万 | 約70万円 |
※筆者作成
雇用保険料
雇用保険は、失業した後の休職期間中に保険金が受け取れる制度です。
また、要件を満たせば、資格取得のために資格学校に通う費用の補助も受けられます。
保険料は職種によって異なりますが、一般的な独身会社員の、年収ごとの雇用保険料の目安は図表5のとおりです。
【図表5】
年収(額面) | 雇用保険料の目安 |
---|---|
500万 | 1万5000円 |
1000万 | 3万円 |
2000万 | 6万円 |
※筆者作成
2022年10月から、雇用保険料が値上げ
社会保険料の1つである雇用保険料が、2022年10月より改定されます。
従来は、一般事業の場合、従業員負担の雇用保険料は、年収(額面)×0.3%でした。2022年10月以降は、保険料が年収(額面)×0.5%に変更になります。
年収が1000万円の会社員は、保険料が3万円から5万円へ引き上げとなります。
税金を把握・コントロールしよう
年収の額面と手取りの違いを解説しました。
税金は、さまざまな控除を使うことで安くできます。今回解説した税金の仕組みを把握したうえで、iDeCoやふるさと納税などのお得な制度を使って、税金をコントロールしましょう。
知っているだけで得をするのが税金の世界です。まずは、自分の給与明細や源泉徴収票を見て、税金や社会保険料がいくらかかっているのかを、ぜひ確認してみてください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1410 給与所得控除
国税庁 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし
東京都主税局 個人住民税
全国健康保険協会ホームページ
全国健康保険協会 令和4年度保険料額表
厚生労働省 医療費の自己負担
厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部