更新日: 2022.09.29 年収
「収入」と「所得」って何が違うの? いまさら聞けない用語を確認
「所得制限に引っかかった」
こういった、給与に関する言葉を耳にしたことがあるでしょう。「収入」や「所得」について質問されたとき、あなたは正確に答えることができますか? ここでは、いまさら人に聞くことができない給与に関する用語について詳しく解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
収入とは
まずは「収入」(年間)についてです。「収入」とは、その字の通り、「入ってきたお金」のことを指します。自営業の方の場合は、年間の売上金額がこれに当たります。
一方、会社員の場合は、毎月の給与やボーナスの年間合計金額で、源泉徴収票の支払金額欄に記載されている金額が「収入」と呼ばれます。また、この支払金額は、所得税や社会保険料を引く前の金額となっています。つまり、「収入」=「手取り」ではないのです。
さらに、「収入」と似たような言葉に「年収」がありますが、実はこれらの言葉は、同じ意味になります。しかし、税法の用語には「年収」という用語は存在しません。税金に関する用語で「収入」とあったら、「年収」のことを指していると理解してください。
所得とは
「所得」とは、収入金額から必要経費を引いたものとなります。自営業の方は、事業を運営していく上で必要な税金や事業所の家賃・水光熱費、通信費などさまざまな経費が掛かりますね。これらの経費を引いたものが、自営業の方の「所得」となるわけです。
それでは会社員の方にとっての「必要経費」とは何でしょう。一部の場合を除き、会社員には自営業のような必要経費は、原則として認められていません。しかし、会社員の場合は「給与所得控除」を受けることができます。
この「給与所得控除」は、自営業の方のような必要経費が認められていない分、会社員に与えられた必要経費相当額ともいえるのです。また、この給与所得控除は年間の収入額によって定められています。
つまり所得は、自営業の方は、
「所得=収入-必要経費」
会社員の方は、
「所得=収入-給与所得控除」
このように求めることができるのです。そして毎月納めている「所得税」は、これらの計算によって出された「所得」を基に納税額が決められていきます。
手取りとは
先ほども少し触れた「手取り」についてご説明しましょう。手取りとは、給与所得のうち、実際に手にすることができる額のことです。会社員の方の場合は、給与振り込みという形で口座に振り込まれる給与が手取りだと理解されている方も多いでしょうが、実際には手取りはどのように決まるのでしょうか。
手取り額は、毎月の収入から経費(ある場合)・社会保険料(健康保険・年金保険等)・所得税・住民税を引いた額ということになります。「可処分所得」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。この「可処分所得」は、給与から天引きされた後の自由に使えるお金を示す言葉なので、手取りとほぼ同異義語といえます。
言葉の意味を知ることで給与の形が理解できる
一見同じ意味に捉えられがちなこれらの用語ですが、実は全く意味が異なります。特に税金を納める上ではこの用語の違いは非常に重要となってきます。
会社員の方は源泉徴収という形で納税をしているため、自ら納税手続きをすることがなく、これらの用語の違いを理解していなくとも困ることはなかったかと思われます。
しかし、自分の納税額がどのように計算されているか知るためにも、この機会に「収入」と「所得」について理解しておきましょう。
出典
国税局 No.1410 給与所得控除
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級