更新日: 2022.10.03 年収
生活保護は収入があるともらえない? 受給要件を確認しよう!
今回は、生活保護を受給できる要件について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活保護とは経済的困窮者への生活費支援制度
「生活保護」とは、生活保護法に基づいてさまざまな理由から経済的に困窮している人に対して、最低限の生活が送れるように生活費を支援する国の公的扶助制度です。収入が厚生労働省で定める「最低生活費」に満たない場合には、満たない部分の金額が生活保護費として支給されます。よって、仕事をしていたとしても受給することが可能です。
生活保護は8種類
生活保護には8種類あり、目的に応じて図表1の通り支給されます。
図表1
内容 | 支給先 | |
---|---|---|
生活扶助 | 食費、水道光熱費、被服費などの一般的な生活費 | 本人 |
住宅扶助 | 家賃、地代などの住居費用 | 本人 |
教育扶助 | 授業料や学用品などの就学費用 | 本人 |
医療扶助 | 通院や入院などの医療費用 | 医療機関 |
介護扶助 | 介護サービスなどの利用費用 | 介護施設 |
出産扶助 | 分娩や入院など出産費用 | 本人 |
生業扶助 | 就業するための技能習得費用 | 本人 |
葬祭扶助 | 葬式や通夜などの葬祭費用 | 本人 |
厚生労働省「生活保護制度」を基に筆者作成
生活保護の受給要件
生活保護の受給要件は次の5つです。
●収入が厚生労働省の定める最低生活費を下回っていること
●病気やけが、障害などによって働けないこと
●車や家などの財産がないこと
●公的扶助や公的融資など他の制度を利用しても最低生活費を賄えないこと
●3親等内の親族から支援を受けられないこと
生活保護は年収で判断されない
生活保護の受給の可否は、年収によって決まるわけではありません。困窮時点において、できる限りのことをしても、収入が最低生活費を下回る場合に受給することができます。
最低生活費は地域によって異なる
最低生活費は、全国誰でも同じわけではありません。居住地域、家族構成、障害の有無、子どもがいることなど、個人の状況を考慮して算出されるようになっています。基本的な算式は次の通りです。
図表2
最低生活費=A+B+C+D+E+F
●A:「生活扶助基準(第1類+第2類)(1)×0.855」または「生活扶助基準(第1類+第2類)(2)」のいずれか高い方)+生活扶助本体における経過的加算
●B:加算額
●C:住宅扶助基準
●D:教育扶助基準、高等学校等就学費
●E:介護扶助基準
●F:医療扶助基準
厚生労働省「【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )」を基に筆者作成
東京23区で1人暮らしの最低生活費は約13万円
東京23区での1人暮らしで障害などなく、生活保護費が生活扶助と住宅扶助のみの場合を計算してみます。
図表3
年齢 | 生活保護費 |
---|---|
25歳 | 13万10円 |
45歳 | 13万10円 |
65歳 | 12万7920円 |
85歳 | 12万3510円 |
厚生労働省「【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )」を基に筆者作成
例えば、25歳の人が病気で働けなくなり月収がゼロになった場合には、13万10円の生活保護費を受け取ることができます。どうにか少し働けるようになり、月5万円を稼いだ場合であっても、8万10円受け取ることが可能です。
まとめ
生活保護は年収で判断しません。現時点において最低生活費を得られていない場合には、受給できる可能性があります。自分は受給できるのかと悩む気持ちもあるかもしれませんが、生活保護は国民に平等に与えられている権利です。困ったときは積極的に相談しましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部