給与が「デジタル払い」になったときのメリット・デメリットは?税金はかかるの?

配信日: 2022.10.07

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給与が「デジタル払い」になったときのメリット・デメリットは?税金はかかるの?
政府によるデジタル化推進の一つとして、「従業員への給与のデジタル払い」が検討されています。しかし、給与がデジタル払いになるかもしれないと聞いても、内容がよく分からずに不安に思う方もいることでしょう。
 
そこでここでは、デジタル払いのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。また、デジタル払いに際しての税金についても触れていますので、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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デジタル払いの概要と背景とは? 税金についても知りたい!

給与のデジタル払いとは、今までは現金や銀行口座への振り込みで支払われていた従業員の給与が、資金移動業者のアカウントを使って支払われるシステムのことです。厚生労働省が中心となって検討しています。「資金移動業者」とは、銀行以外で送金サービスを担う登録事業者のことで、PayPayやPayPal、LINE Payなどがよく知られています。資金決済法で認められている事業者であり、2021年5月時点では全国で80業者が登録されています。
 

・政府によるデジタル払い検討の背景

政府がデジタル払いを検討するに至った大きな要因には、労働人口の減少や少子高齢化などの「社会情勢の変化」があります。減少する労働力を確保するためには外国人労働者が必要であることや、人口減少により今後増えていくと予想される実店舗の無人化・省力化への対応などのためにキャッシュレス化が求められているのです。
 
こうした社会情勢を見すえた日本の経済力・国際競争力の成長戦略のために、政府は決済インフラの見直しとキャッシュレスの環境整備を推進し、2025年までの「キャッシュレス決済比率」の目標達成を目指しています。
 

・税金について

給与がデジタル払いになることで、税金が変わるのではないかと気がかりな方もいるかも知れません。しかし、支払い方法が変更されるだけですので、いまのところ税金に影響が出るようなことにはなっていません。
 

デジタル払いのメリットとは?

デジタル払いには、主に3つのメリットがあります。
 
1つ目のメリットは「キャッシュレス決済を利用しやすくなる」ことが挙げられるでしょう。デジタル払いにより、資金移動業者へチャージする手間が不要となり、チャージ手数料が軽減します。
 
2つ目のメリットは「給与の受け取りやすさの向上」です。デジタル払いでは銀行口座を開設する必要はありません。そのため、外国人や日雇い労働者、一部の非正規の労働者のように銀行口座の開設が難しい人たちは、給与が受け取りやすくなります。
 
3つ目のメリットとしては「海外への送金のしやすさ」が挙げられます。外国人労働者は銀行口座を介さずに、海外の家族の元へ送金が可能です。
 
以上のように、キャッシュレス化の推進や不足している労働力を確保するためにも、給与のデジタル払いは非常に有効な手段です。
 

デジタル払いのデメリットとは?

デジタル払いには、主に3つのデメリットが考えられます。
 
1つ目は「資金移動業者の安全性への疑問」です。資金移動業者には、法律による補償の規定はなく、補償内容は業者によって異なります。そのため、経営破綻や払い戻し、または資金保全や不正引き出しなどが起きた場合の安全性に疑問が残ります。連合(日本労働組合総連合会)は、この安全性を問題視して、給与のデジタル化に反対の立場です。
 
2つ目のデメリットは「公共料金の引き落としの多くが対応していない」ことです。そのためデジタル払いされた給与で公共料金を払うには、現金化や銀行口座への振り込みなどの手間がかかります。
 
3つ目のデメリットは「振込金額の上限」です。資金移動業者への振り込みには100万円の上限が設定されています。そのため高額な給与の支払いには適さないのです。
 
以上のようなデメリットが、給与のデジタル払い推進の課題とされています。
 

デジタル払いの今後に注目


政府は、給与のデジタル払い解禁を目指し、デメリットの1つである安全性の確保のために、資金移動業者を選定する条件の明確化を検討しています。また、もう1つのデメリットである資金移動業者からの公共料金支払いも、次第に取り扱いが可能となっていくでしょう。給与のデジタル払いは近い将来、皆さんに大きく関わってくる可能性が高く、今後の動きに注目する必要があるでしょう。
 

出典

内閣府 成長戦略実行計画(令和3年6月18日)

首相官邸 成長戦略フォローアップ(令和2年7月17日)116頁ウ)デジタルマネーによる賃金支払い(資金移動業者への支払い)の解禁

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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