給与所得控除の改正で所得税は増えた? 年収によっては増税になる理由とは。

配信日: 2022.10.30

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給与所得控除の改正で所得税は増えた? 年収によっては増税になる理由とは。
皆さんは、2020年1月、所得税を計算するうえで重要な「給与所得控除」の改定がおこなわれたことをご存じでしょうか? 会社員は会社が税金や社会保険料の支払い手続きをするため、税金や社会保険料をいくら払っているか知らない方も多いのではないでしょうか?
 
本記事では、2020年1月実施の給与所得控除改定について解説します。改定の影響や所得税が増税となる場合も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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所得税は、給与から控除を差し引いて計算する

そもそも、会社員の所得税はどのように計算されているのでしょうか? 所得税は、給与からさまざまな控除を差し引いたあとの「所得」に対して課されます。控除の種類はさまざまですが、多くの方が適用を受ける控除は基礎控除・給与所得控除・社会保険料控除の3つです。これらを用いた所得税の計算式は以下の通りとなります。
 
所得税=(給与-給与所得控除-基礎控除-社会保険料控除-その他控除)×税率ー税額控除
 
各控除額が大きくなるほど、所得税は少なくなります。
 

2020年1月に給与所得控除・基礎控除が改定


 
給与所得控除と基礎控除は、2020年1月にどちらも改定が行われました。給与所得控除の改定内容は図表1の通りです。
 
図表1
 

 
筆者作成
 
図表1の通り、年収850万円以下の方は、改定前と比べて10万円控除額が減額となっています。ただし、2020年10月には基礎控除の改定も同時に行われており、改定内容は図表3の通りです。
 
図表2
 

 
筆者作成
 
合計所得金額が2400万円を超える方は少ないと思うので、多くの方にとって基礎控除額が10万円増額となりました。
 
図表1と図表2より、年収850万以下の会社員の給与所得控除と基礎控除の合計額の変更は生じず、所得税の増減はありません。
 

年収850万超は所得税が増える

では、年収850万超の会社員はどうでしょうか? 年収別の給与所得控除額は図表3の通りです。
 
図表3
 

 
筆者作成
 
基礎控除が10万円しか増えないのに対して、給与所得控除の減額は10万円を上回っており、実質的な所得税の増税と言えます。
 

所得金額調整控除が受けられる場合がある

年収850万超1000万以下の会社員で、以下のいずれかにあてはまる方は所得金額調整控除を受けられます。
 

1)特別障害者である
2)23歳未満の親族を扶養している
3)生計を共にする配偶者や扶養する親族が特別障害者である

 
控除額は以下の通りです。
 
所得調整控除額=(給与などの収入金額ー850万)×10%
 
年収1000万の会社員の所得控除額は15万円となります。このように、年収1000万以下で要件を満たせば、控除が適用でき実質的な所得税の増額は免れます。
 

税金を理解しよう

本記事では、給与所得控除の改定について解説しました。制度を知ることで、税金はコントロールできます。所得金額調整控除の適用要件を満たしている方は、年収を1000万未満に抑えた方が手取り額が増えるかもしれません。税金の正しい知識を身に着けて、賢く生活を送りましょう。
 

出典

国税庁ーNo.1410 給与所得控除

国税庁ーNo.1199 基礎控除

国税庁ーNo.1411 所得金額調整控除

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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