更新日: 2022.11.14 年収
日本の「平均給与額」と「中央値」の推移って?
そこで今回は、平均値と中央値の違い、日本の年収の平均値や中央値、中央値がここ10年でどう推移しているのかを詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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平均値と中央値の違い
まずは平均値と中央値の違いについてしっかり理解しておきましょう。だいたい真ん中がどの程度なのかを知りたいとき、一般的には平均値がどのくらいなのかを知ろうとします。しかし、平均値は必ずしも真ん中あたりを示しているとは限りません。国税庁が発表している平均給与額を見ても、それは高すぎるのではないかと思う人も多いのではないでしょうか。
平均値とは、すべての値を足してそれを個数で割った数値です。平均給与額であれば、すべての給与額を足して、その額を給与を得て働いている人すべての数で割った数です。そのため、平均値は少数の極端に高い給与額や極端に低い給与額に影響を受けた値になります。
例えば、100人中10人が年収100万円で80人が年収300万円、残りの10人が年収1億円だったとしましょう。その場合、平均値は年収1034万円になります。80人の年収300万円の人は、この平均額に違和感を覚えるでしょう。
一方、中央値はデータを小さい順に並べた際、中央に位置する値です。先ほどの例であれば、80人の年収300万円が中央値となります。このように中央値は極端な数値の影響を受けないという特徴があります。
しかし、中央値は数値の変化を見る際にはそれを正しく反映しないことがあるので注意が必要です。例えば、平均年収額は下がっているのに中央値は上がっている、というようなことが起こるのです。
日本の平均給与額と中央値はどうなっているの?
それでは、日本の平均給与額と中央値はどのように推移しているのかを見てみましょう。国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の合計は5245万人、全体の平均給与額は433万円です。
一方、厚生労働省の「令和3年賃金基本構造基本統計調査の概況」や「毎月勤労統計調査」の令和3年9月分、令和4年2月分を基に計算した結果、中央値は約398万円となりました。平均給与額よりもやや少ない給与の人が日本ではもっとも多いといえます。
平均給与額と中央値の推移
厚生労働省が令和2年に発表した「厚生労働白書」によると、平成20年から30年までの平均給与額は平成20年で約439万円、平成21年で約421万円、平成22年で約431万円、平成23年で約429万円、平成24年で約428万円、平成25年で約432万円、平成26年で約419万円、平成27年で約420万円、平成28年で約422万円、平成29年で約430万円、平成30年で約433万円でした。およそ420万円から430万円の間で上下していることが分かります。
一方、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果」から1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与を基に中央値を計算すると、直近10年間の中央値は、平成23年は376万円、平成24年は375万円、平成25年は380万円、平成26年は382万円、平成27年は387万円、平成28年は388万円、平成29年は398万円、平成30年は405万円、令和元年は401万円、令和2年は399万となっています。こちらもおよそ375万円から405万円の範囲内でほぼ横ばいのまま上下しているようです。
日本の給与水準はここ10年横ばい
調べた結果、日本の給与の中央値は平均給与額よりも少し低めの375万円から405万円程度であることが分かりました。この中央値は平均給与額とともに、ここ10年ほどほぼ横ばいの状態が続いています。
過去の推移を見る限りでは、日本の給与額の中央値や平均値がこの先急激に上がるとは考えにくいと言わざるを得ません。将来のことを考えると、より節約や資産運用といった家計へのアプローチが重要となるのではないでしょうか。
出典
国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果確報
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果確報
厚生労働省 令和2年版厚生労働白書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部