更新日: 2022.11.15 年収
日本の給与水準は「変わってない」? 年収中央値の推移は?
では、日本の給与水準は、1990年代以降どのように推移してきたのでしょうか。
ここでは、平均値より実態を把握しやすい年収中央値のデータを参考に、1990年代以降に日本の給与水準がどう変化しているのか読み解きます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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平均値と中央値の違い
統計データを参照する際、よく「平均値」を参照して状況を把握することがあります。もちろん、平均値も重要な指標の一つであり、それ自体が役に立たないわけではありません。しかし、給与水準のように、データの中に極端な数字が紛れてしまうような場合、平均値から正確な実態を把握することは難しいといわれます。
給与水準の平均値では、一部の極端な高額所得者の存在によって数字が大きく引き上げられてしまうことがあります。これでは、給与水準の実態を正確には把握できません。
一方、中央値は数字を低い順から並べた際の真ん中にあたる数字のことです。給与水準の場合、どれだけ高額所得者がいても、中央値の数字に何ら影響は与えません。その分、より実態に即した正確な水準を知ることができるのです。
日本の年収中央値はいくら?
厚生労働省が実施する「国民生活基礎調査」では、3年に1度国民生活にまつわる大規模な調査を実施しています。
この調査では、国民の所得金額に関する調査も行われ、年収の平均値と中央値のデータを公表しています。2021年に実施された大規模な「国民生活基礎調査」のデータによれば、所得金額の平均値は564万3000円です。これに対して、年収中央値は440万円でした(図表1)。
【図表1】
厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」より引用
平均値と中央値の間には100万円程度の誤差があり、やはり一部の高額所得者の存在によって平均値が引き上げられていることが分かります。年収中央値を一般的な水準と考えると、2021年における日本国民の給与水準は440万円ということになります。
年収中央値の推移
国民生活基礎調査は1995年から行われている調査です。1995年から2019年にかけて、大規模調査が行われる3年ごとに年収中央値の推移を見ていきます。1995年の年収中央値は545万円、1998年は536万円、2001年は500万円、2004年は476万円、2007年は451万円、2010年は438万円、2013年は432万円、2016年は427万円、2019年は437万円です。
2021年こそ440万円と少し盛り返してはいますが、このデータによれば、1995年以降の26年で年収中央値は100万円ほど少なくなっています。もちろん、ここには物価の変動などは反映されておらず、この給与水準の変化が生活にどこまで直接的な影響を与えているのかは分かりません。
しかし、日本の給与水準が1990年代に比べて変わっていないどころか、むしろ大幅に下がっていることは確かなようです。
減少が続く日本の給与水準! 今後の動向に注目
年収中央値のデータを見ると、日本の給与水準は経済低迷の影響で1990年代以降に下がり続けています。特に2000年代の最初は下がり幅が顕著で、この時代に大幅に給与水準が停滞していることが分かります。
一方、2019年、2021年はわずかながら金額が上向いていることも事実です。新型コロナウイルス流行による経済停滞の影響もあり、今後の年収中央値がどう推移するのか不透明なところはありますが、この先も上昇傾向が続くのかどうか要注目です。
出典
厚生労働省 国民生活基礎調査 結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部