更新日: 2022.11.21 年収
同じ医療費50万円。年収によって医療費控除で還付される額が異なるって本当?
本記事では、医療費が高額になる際に使える医療費控除を解説します。年収ごとに医療費控除でいくら得をするのかも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
年間の医療費が10万円を超えたら医療費控除を利用しよう
医療費が高額になった際に使えるお得な制度が、医療費控除です。1月1日~12月31日までの1年間に、自分や配偶者などのために支払った医療費が10万円を超えた際、10万円を超えた額を、200万円を限度に所得から控除できます。
医師や歯科医師などによる治療費が対象となります。保険適用外となるレーシックや歯の矯正も医療費控除の対象となります。レーシックや矯正は治療費が高額になるため、医療費控除を積極的に利用しましょう。
医療費控除で安くなる税金
1年間で支払った医療費が10万円を超えた額が、200万円を限度に所得から控除されます。年間所得が300万円の方が年間30万円の医療費を負担した場合、20万円(30万円-10万円)が所得から控除され、所得は280万円になります。
では、所得が下がった場合にどのようなメリットがあるのでしょうか?
所得に対して課される税金は所得税と住民税です。そのため、医療費控除を利用すると所得が下がり、所得税と住民税が減額になります。これが、医療費控除を利用するメリットです。
所得税は累進課税
所得に対しては所得税と住民税が課されますが、所得税は所得が上がるほど税率が高くなります。これを累進課税制度と呼びます。
よく、年収が高くなるほど税金が高くなるといわれますが、これは所得税の累進課税制度が影響しています。
そのため、医療費控除で同じ額の所得を控除しても、所得によって減額となる税額は異なります。
年収ごとの税金
所得が上がるほど、税金は高くなります。年収ごとの税額の目安は図表1のとおりです。
【図表1】
額面年収 | 所得税 | 住民税 | 税金合計 |
---|---|---|---|
200万 | 2万8000円 | 6万4000円 | 9万2000円 |
300万 | 5万5000円 | 11万9000円 | 17万4000円 |
400万 | 8万6000円 | 17万9000円 | 26万5000円 |
500万 | 14万2000円 | 24万6000円 | 38万8000円 |
600万 | 20万7000円 | 31万1000円 | 51万8000円 |
700万 | 31万7000円 | 37万9000円 | 69万6000円 |
800万 | 47万5000円 | 45万7000円 | 93万2000円 |
900万 | 66万円 | 54万7000円 | 120万7000円 |
1000万 | 85万4000円 | 64万2000円 | 149万6000円 |
1500万 | 214万9000円 | 111万3000円 | 326万3000円 |
2000万 | 380万2000円 | 160万4000円 | 540万6000円 |
筆者作成
図表1のとおり、所得が上がるほど税金の負担率も上がります。年収2000万の方の場合、年収の約4分の1が税金の支払いに充てられます。
年間医療費が50万円だった場合に減額となる税金
年間医療費が50万円だった場合、医療費控除を利用するといくら税金が安くなるのでしょうか?
年収ごとの減額となる税金は図表2のとおりです。税率が変わる年収ごとで作成しています。
【図表2】
額面年収 | 医療費控除で減額となる税金 |
---|---|
300万 | 6万420円 |
500万 | 8万840円 |
900万 | 12万1680円 |
1200万 | 13万3932円 |
1500万 | 17万4772円 |
図表2のとおり、同額の医療費でも所得が高い人ほど、医療費控除で減額となる税金は多いです。所得が高い方ほど、ぜひ医療費控除を利用してみてください。
保険金の受け取りがある場合は注意
医療費の支払いに際し保険金を受け取った場合、保険金分は医療費控除の対象となりません。医療費控除となる金額の計算式は以下のとおりです。ただし、200万円が限度となります。
実際に支払った医療費合計額-保険金などで補填される金額-10万円(※1)
※1:その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額
配偶者の医療費も含めると、医療費が年間10万円を超えることは意外とよくあります。医療費控除を使うことができないか、ぜひ確認してみてください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1410 給与所得控除
※2022/11/21 図表の表記の一部に誤りがあったため、修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部