更新日: 2022.11.28 年収

「年収200万以下」の世帯はどれだけいる? 10年間で割合が「変わらない」なら安心できる?

「年収200万以下」の世帯はどれだけいる? 10年間で割合が「変わらない」なら安心できる?
バブル崩壊以降、日本では長く経済が低迷する時期が続きました。この経済停滞は国民の所得にも大きな影響を与え、先進諸外国と比べて日本の給与水準は低迷を続けているといえます。特に貧富の格差が社会問題化し、一昔前に比べて貧困層が増えているともいわれますが、実際のところはどうなのでしょうか。
 
今回は、年収200万円以下の世帯が現状でどれくらいいるのか、そして10年前と比べてどの程度増えているのか検証してみました。
FINANCIAL FIELD編集部

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年収200万円以下の世帯はむしろ減っている

厚生労働省が実施する「国民生活基礎調査」によれば、2021年における所得金額が200万円未満の世帯は全体の18.5%です。200~300万円未満が13.3%、300~400万円未満が13.4%となっており、いわゆる低所得者層とされる300万円以下の世帯は合計で31.8%となります。
 
つまり、全世帯の約3割が低所得者層に定義されるということになります。なお、平均値は564.3万円、中央値は440万円です。
 
では、10年前の数字と比べてみましょう。同じ「国民生活基礎調査」の2011年版のデータでは、所得金額が200万円未満の世帯は19.6%です。200~300万円未満が13.3%、300~400万円未満が13.6%となっています。
 
低所得者層の水準である300万円以下の世帯は32.9%です。この結果から、年収200万円以下の世帯は10年前と比べて1%ほど減っており、それに合わせて低所得者層も減少していることがわかります。
 

20年前と比較したらどう変わる?

データをさらにさかのぼって検証してみましょう。20年前の2001年と比較してみます。国民生活基礎調査の2001年版によれば、所得金額200万円未満の世帯は全体の16.2%です。200~300万円未満が11.2%、300~400万円未満が12.0%となっています。低所得者層は27.4%となり、年収200万円以下の世帯と合わせて見ても、2021年や2011年と比べて2001年は少ない水準にあったことがわかります。
 
実際、平均所得金額を見ても、2021年が564.3万円であるのに対して、2011年は538万円、2001年は616.9万円です。10年前と比べれば増えていますが、ここ20年の変動を見ると全体的には減っていることがわかります。この平均所得金額の減少には、年収200万円以下の世帯が増えたことが少なからず影響しているといえるでしょう。
 

ここ10年で減少したのは100万円未満の世帯

年収200万円以下の世帯は、この10年では減少していますが、データをより俯瞰(ふかん)した場合、全体としては増加しているといえます。また、2021年と2011年のデータを比較すると、所得金額100~200万円は両方とも同じ13.1%です。一方、100万円未満の世帯は2011年が6.5%だったのに対して、2021年は5.4%に減少しています。
 
つまり、ここ10年における年収200万円以下世帯の減少は、主として所得金額100万円未満の世帯が減ったことによるものです。所得金額100~200万円未満という区切りでは、この10年で割合が変わっていません。そう考えると、全体としては数字が減少しているとはいえ、必ずしも楽観できない部分があるといえるのではないでしょうか。
 

年収200万円以下の世帯は減っている! 日本経済への影響は?

年収200万円以下世帯の推移は、2011年から2021年の10年間で約1%減少しています。国民の所得水準が経済と密接に関係していると考えれば、低所得者層に分類される年収200万円以下の世帯数が減少したということは、経済が少しずつ盛り返していることを意味しているのかもしれません。
 
ただ、年収200万円以下の実態により近い所得金額100~200万円世帯は、この10年で横ばいです。日本経済の行く末を占う上でも、この数字の推移が今後どうなっていくのか注視していく必要があるでしょう。
 

出典

厚生労働省 国民生活基礎調査 結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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