更新日: 2022.12.13 年収
日本の「物価」と「平均年収」は海外と比べてどうなの? 物価上昇に追いつけている?
執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
消費者物価指数を比較する
消費者物価指数とは、各種の財・サービスの価格の変動を示す指標です。ここでは、日本と海外諸国の消費者物価指数の推移を比較してみます。
日本の消費者物価指数
総務省によると、日本の消費者物価指数(2022年10月分)の 総合指数は、2020年を100として103.7となっており、 前年同月比でみると3.7%上昇しています。 生鮮食品を除く総合指数でも103.4で前年同月比は3.6%上昇、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.7で前年同月比は2.5%上昇となっています。
2022年消費者物価指数(総合指数)の前年同月比からみる上昇率は、図表1のとおりです。
図表1
2022年 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
---|---|---|---|---|---|
前年同月比 | 2.4% | 2.6% | 3.0% | 3.0% | 3.7% |
総務省統計局 消費者物価指数より筆者作成
このとおり日本の消費者物価指数は今年に入って上昇が続いており、さまざまな分野での物価の上昇傾向が見て取れます。
世界の消費者物価指数
では、諸外国の消費者物価指数はどうなのでしょうか。図表2では抜粋したいくつかの国の、消費者物価指数変化率の前年同月比を見てみます。
図表2
2022年 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 9.1% | 8.5% | 8.3 % | 8.2% | 7.7% |
ドイツ | 7.6% | 7.5% | 7.9% | 10.0% | 10.4% |
イギリス | 9.4% | 10.1% | 9.9% | 10.1% | |
韓国 | 6.0% | 6.3% | 5.7% | 5.6% | 5.7% |
イタリア | 8.0% | 7.9% | 8.4% | 8.9% |
総務省統計局 消費者物価指数参考表より筆者作成
アメリカを始め諸外国の消費者物価指数をみると、日本よりも物価の上昇率が高いことがわかります。日本だけでなく多くの主要国で、物価が上がっていることが分かります。
日本の平均年収
国税庁の民間給与実態統計調査(2021年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は図表3のとおりです。
図表3
年 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|---|---|
平均給与 | 432万円 | 441万円 | 436万円 | 433万円 | 443万円 |
国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査より筆者作成
日本の平均年収は、ここ数年、あまり伸びていないことがわかります。
では、諸外国と比べるとどうなのでしょうか。経済協力開発機構(OECD)によると、2021年のデータでは、日本の平均賃金は3万9711(米)ドルです。アメリカが7万4738ドル、ドイツが5万6040ドル、イギリスが4万9979ドル、韓国が4万2747ドル、イタリアが4万767ドルという結果になっています。
OECDの中で1位のアメリカに対し、日本は25位という結果です。この結果を見ると、日本の平均賃金は世界各国と比べ高いとは言えません。さらに、図表4では諸外国の平均賃金の推移をみてみます。
図表4
年 | 2013 | 2015 | 2017 | 2019 | 2021 |
---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 6万3588ドル | 6万6140ドル | 6万6934ドル | 6万8842ドル | 7万4738ドル |
ドイツ | 5万1221ドル | 5万3278ドル | 5万4664ドル | 5万6332ドル | 5万6040ドル |
イギリス | 4万6022ドル | 4万6813ドル | 4万7614ドル | 4万8616ドル | 4万9979ドル |
韓国 | 3万7209ドル | 3万8323ドル | 4万374ドル | 4万3200ドル | 4万2747ドル |
イタリア | 4万784ドル | 4万1300ドル | 4万1355ドル | 4万1625ドル | 4万767ドル |
日本 | 3万8418ドル | 3万7542ドル | 3万8151ドル | 3万9077ドル | 3万9711ドル |
経済協力開発機構(OECD) 平均賃金より筆者作成(単位は米ドル)
平均賃金の推移を見ても、イタリア以外の国の平均賃金は、日本よりも伸びていることが分かります。特に、アメリカは平均賃金の伸び率が高くなっています。
まとめ
日本は足元では、物価上昇の局面ではありますが、世界の物価上昇と比べると上昇率が高い方ではないことが分かります。また平均年収も、主要先進国のなかでは、決して高くありません。物価が上がっても賃金が上がらなければ、人々の生活は苦しくなってしまいます。今、日本では物価の上昇をカバーするだけの賃金アップも求められているのではないでしょうか。
出典
総務省統計局 消費者物価指数2022年10月
経済協力開発機構(OECD) 平均賃金
国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査結果
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP