「年収300万・600万・900万」で将来の年金額はどう違う? 年収どおり「3倍」の受給額にならない理由も解説
配信日: 2023.02.12 更新日: 2024.07.29
今回は、年収300万円・600万円・900万円それぞれの場合に年金額がおおよそでいくらになるのか、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収300万円の場合
まず知っておくべきことは、老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算と加給年金額を合計した金額が受給できるということです。このうち、受給額の大半は報酬比例部分が占めることになります。
報酬比例部分の計算式は、加入期間が平成15年4月以降の場合は「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数」です。平均標準報酬額とは、加入全期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割って得た額で、額によって32等級に分かれます。
仮に加入全期間の平均年収が300万円だったとしましょう。その場合、平均月収は25万円となるので、令和4年度の場合、厚生年金保険料の等級は17、平均標準報酬額は26万円になります。加入期間が22歳から60歳までの38年だとすると、厚生年金の比例報酬分は「26万円×5.481÷1000×12ヶ月×38年」で64万9827円です。
厚生年金に加入している人は、老齢厚生年金だけでなく国民年金による老齢基礎年金も受給できます。加入者は20歳から国民年金保険料を満額支払い、厚生年金保険料は大学卒業後22歳から支払っているとしましょう。老齢基礎年金の満額は令和4年度で77万7800円です。
ということは、老齢基礎年金を満額受給できる場合、年収300万円の人の年金受給額は「64万9827円+77万7800円」で142万7627円、月あたり11万8968円になります。
年収600万円の場合
それでは、加入期間全体の平均年収が600万円だった場合はどうでしょうか。その場合、厚生年金保険料の等級は27、平均標準報酬額は50万円になります。
先ほどと同じ加入期間だとすると、「50万円×5.481÷1000×12ヶ月×38年」で124万9668円です。この金額に先ほどと同じく満額の老齢基礎年金を加えると、合計額は202万7468円、月あたり16万8955円になります。
年収900万円の場合
加入期間全体の平均年収が900万円だった場合はどうでしょうか。その場合、平均月収は75万円になります。ここで気をつけなければならないのは、標準報酬月額には上限があるということです。
標準報酬月額は等級32、標準報酬額65万円(月収63万5000円以上)が上限となっています。月収が63万5000円を超えた場合、100万円でも200万円でも等級32として扱われるのです。それ以上保険料が高くなることがない代わりに、年金額も増加しません。
それでは、等級32の人の年金額はいくらになるでしょうか。先ほどまでと同じ式をあてはめると「65万円×5.481÷1000×12ヶ月×38年」で162万4568円です。満額の老齢基礎年金77万7800円と合わせると240万2368円、月あたり20万197円になります。年収900万円の人の平均月収は75万円ですが、年金受給額は平均月収が63万5000円の人と同じになるのです。
年収が3倍だからといって年金受給額も3倍になるわけではない
このように、老齢厚生年金額は収入額によって金額が変わるものの、収入額がダイレクトに反映するわけではありません。年収600万円の人は年収300万円の人の2倍の収入を得ていますが、受給できる年金額はおよそ1.5倍です。
年収900万円の人は年収300万円の人の3倍の年収ですが、年金額はおよそ2倍になります。ある程度年収がある人は、公的年金とは別に個人年金等を活用することも検討するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
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