【実録】半年で使用した有給は「36日」! 休みすぎて退職に追い込まれた過酷な育児の実態と、「異次元の少子化対策」に期待すること

配信日: 2023.07.07

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【実録】半年で使用した有給は「36日」! 休みすぎて退職に追い込まれた過酷な育児の実態と、「異次元の少子化対策」に期待すること
子どもが発熱などで急に保育園を休むことになったとき、夫婦どちらが会社を休んでいますか? 育児は両親で等しく助け合うのが理想ですが、そうもいかないのが現実です。本記事では、妻である筆者が会社を休みすぎて退職に至った実体験を紹介します。
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半年で有給休暇が36日消えた

わが家には3人の子どもがおり、上は4歳、下は2歳の双子です。妻である筆者は育児時短勤務の制度を利用し1日6時間働いていました。
 
育休から復帰した段階で、有給休暇は40日支給されていました。前年度の20日間と当年度の20日間が合計されていたのです。しかし、有り余るかと思われた40日の有給休暇のうち大半の36日分は、たった半年で消化してしまいました。
 
時はコロナ禍。筆者が勤めていた会社では家族の誰か1人でも発熱すると、PCR検査を受けて陰性にならないと出社できないという決まりでした。
 
また、保育園には平時から解熱後24時間経過してからでないと登園できない決まりがあります。親の目にはただの知恵熱のように見えても、勝手な判断で登園させることはできない世の中でした。
 
発熱外来はどこもいっぱいで当日すぐ受診できるわけではなく、予約からの期間を含めると検査結果が出るまで2~3日かかったことも、有給休暇を減らす要因でした。
 
会社には当時、家族が発熱したときに使える特別休暇という制度がありましたが、筆者があまりに休みすぎるので「有給休暇を使ってくれ」と上司から注意を受けたことが記憶に新しいです。
 

勤務日の約3割休んでいた

半年で36日の休みは、月平均6日です。勤務日は月21日程度でしたので、約3割は休んでいた計算になります。単純に考えると同僚に比べて約7割しか仕事をしていないわけです。
 
仕事を詰め込んでしまうと急な休みになったときに、仕事を同僚にお願いしなければならないので、実際には他人の5割程度の仕事しかできていなかったでしょう。いつ休むか分からないので「自分の仕事」というものを持つことができず、副担当あるいはチェック役付き、という立ち位置になりました。
 

周囲の反応と上司の評価

幸いなことに休みが多いことを表立って非難してくる同僚はいませんでした。上司は「お子さんを優先してあげて」「育児があるから仕方ないね」と同情的でしたが、度重なる休みの根拠としてPCR検査の陰性証明書を求めてきました(のちに厚生労働省から職場への陰性証明書提出は不要と通知が出され廃止)。
 
給与の基準となる評価は産前と変わらず、落とされることはありませんでした。
 

夫は通勤1時間半、妻はワンオペ育児

夫と共に育児するのが理想ですが、現実はそう甘くありません。夫は都内勤務で通勤1時間半。子どもに「行ってきます」と言えればいいほうで、顔も見ずに朝早く出勤する日もあり、子どもが寝た後に帰ってきます。
 
そのため、子どもが熱を出したときにお迎えに行く担当は職場が保育園に近い筆者。夫も頑張って休みを取ってくれましたが割合としては少なく、結果として筆者の有給休暇ばかりが消えることとなりました。
 
夫の会社は大企業ですが、掲げている「有休消化日数の目標」と現実がかけ離れています。もっと夫婦どちらかのみに負担が偏らずにすむ企業であってほしいと願います。
 

●有給休暇の消化日数を増やす
●男性の育児休業取得を必須にする
●残業を減らす

 
上記のような、いわば当たり前の目標が、家庭の育児を助けることにもつながるのです。
 

どうすれば仕事と育児を両立できるか

どのようにすれば無理なく仕事と育児を両立できたのでしょうか。実は筆者が勤めていた企業は、育児と両立するという点ではかなり良い条件でした。
 

●定時退社できる
●有給休暇を自由に取れる
●半休や時間給を取りやすい
●ボーナスは年2回
●家から会社までの通勤は車で10分、保育園も近い

 
さらに、「子育て期時短勤務制度」を利用して1日の勤務を8時間から6時間に減らしました。かつ、1ヶ月当たりの労働時間を120時間確保して保育園では1日最長11時間預けられる「保育標準時間」を適用し急な残業にも対応しやすくしていました。
 
子どもたちの発熱は登園から半年後には激減したので、そこまで耐え忍べば退職しなくて済んだかもしれません。ただし発熱が減った理由は子どもが集団生活に慣れたためか、感染症がはやる冬を過ぎたためかは分かりません。
 

退職してフリーランスに。収入は激減

会社員を退職したあとはフリーランスとして再出発しましたが、収入は激減しました。働ける時間は10時から16時までの6時間ですが、実際は半分の時間を洗濯や料理、掃除などの家事に費やしています。
 
収入は減りましたが、良いこともあります。イライラすることが減り、子どもに笑顔で向き合えるようになりました。会社員時代には総菜・弁当・冷食・宅食を利用していましたが今は料理を楽しむことができ、節約にもつながっています。ほとんど行けていなかったジムに週3回行き、健康にも気を遣った生活ができています。
 
しかし、夫の収入だけで生活するのではなく、筆者も定職に就きたいのが本音です。女性の労働力率は妊娠・出産で一度落ち、再び上昇する「M字カーブ」を描くことが知られていますが、筆者は今まさに「M」の谷の位置にいるのでしょう。再びキャリアを築ける日を楽しみにしています。
 

異次元の少子化対策に期待

2023年6月、岸田内閣から「異次元の少子化対策」が発表されました。2024年度から3年かけて徐々に少子化対策の制度を施行していくというものです。
 
実際にどのように施行されていくのは分かりませんが、少子化対策には金銭的な支援はもちろん、誰もが生み育てやすい社会であることは必須でしょう。男女問わず、仕事と育児どちらも無理なく行えるよう、時代が大きく変わっていくことを期待しています。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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